Growth Hack Journalのマーケターインタビュー企画「Sailing Report」

2018年後半から急激な盛り上がりを見せたスマホ決済サービス市場。

大手企業が続々と参入し、資金力と人的リソースを活かした大規模マーケティングを実施するなか、2015年からスマホ決済サービスOrigami Payを提供する株式会社Origamiは、「オープン」「ローカル」「グローバル」の3つの戦略の下、競合他社とは全く異なる戦略を展開。スタートアップながら着実に利用範囲を拡大しています。

Origami Pay利用促進施策を実施するにあたりどのような指標を重視しているのか。競合優位性はどこにあるのか。
具体的な戦略を、マーケティングディレクターを務める古見 幸生氏に聞いてみました。

グロースのカギは「加盟店数」。顧客満足を高めるためにまずは利用可能店舗を増やす

―Origami Payをグロースさせるために重視している指標はなんでしょうか。

 

加盟店舗数です。

スマホ決済サービスは、加盟店とアプリユーザー双方が揃わなければ成立しませんよね。
どちらも伸ばしていく必要があるのですが、ユーザー数を先に増やしてしまうのはリスクだと考えています。使える店舗が少ないと、ユーザー満足度が下がってチャーンレートが高くなってしまう。
ユーザー満足度を下げないよう、まずは加盟店とのパートナーシップ拡大に注力しています。

―直近で目指している目標加盟店舗数を教えてください。

2019年末までに、国内145万箇所の導入を目指しています。
その数字を達成させるためには、大手チェーンとの連携だけでなく、地方にもアプローチしなければいけません。地方での導入を促す場合、いきなり当社のようなスタートアップがローカル店舗に営業しても受け入れてもらえる確率は限りなく低いですよね。
なので、まずは各地域の地方銀行、信用金庫や地方自治体と提携し、ローカル店舗へアプローチしています。

地方ではキャッシュレスに対する認知がまだそれほど高くないので、できる限り利用ハードルを下げ、「使えば得する」ことをわかりやすく伝えるために様々な取り組みを実施しました。

青森県内のキャッシュレス促進を狙い、JR東日本, JR 東日本スタートアップ株式会社と共同で開催した「あたらしい青森」キャンペーンを例に挙げてみましょう。オフラインからのアプローチに注力し、東北新幹線車内サービス誌「トランヴェール」内の特集ページや青森駅と新青森駅等に設置されている「あたらしい青森」リーフレット、Origami加盟店掲出のポスターに、市内の加盟店で利用できる500円OFFクーポンを掲載しました。

駅や店頭など、多くの方が気づきやすい箇所にクーポンを設置したので、観光客だけでなく地元の皆様にも利用いただけました。

高リテンション率の秘訣は、Origami Pay独自のCRM機能にあり

―加盟店がOrigami Payを導入するメリットはどこにあるのでしょうか。

 

最大のメリットは「CRM機能」にあるでしょう。

Origami PayにはCRM機能が搭載されているので、店舗の売上に貢献する販促ツールとしてご利用いただけます。
例えば、Origami Payで決済されたお客様に対し、再来店を促すようなクーポンを配信できます。
ユーザーはお得情報を受け取れる、店舗は売上が増えるので、双方にとって利用するメリットを提供できていると自負しています。

CRM機能をご活用いただいている店舗様が多く、Origami Payのリテンション率は驚くほど高いです。
一度Origamiを使っていただいたユーザーに対してアプローチできるので、2回目の決済ハードルは当然、限りなく低いのがリテンションの高さにつながっていると思います。

―スマホ決済サービスは、現在競合が多数存在すると思います。加盟店がOrigamiを選ぶポイントはどこにあるのでしょうか。

Origami独自の戦略から生まれた「提携Pay」が挙げられます。
各企業が保有するアプリの中にSDKとしてOrigami の決済機能を組み込める「提携Pay」は、自社のシステムのなかで決済からCRMを完結させることができます。
提携Pay最大の強みは、「自社のユーザーが、どのOrigami加盟店でお支払いしたか、などの新たなマーケティングデータを作ることができる」点でしょう。たとえば、A社のアプリに弊社の提供するSDKを組み込んでいただくと、A社のCRM担当者は自社ユーザーがB店、C店などでお支払いしたということが見えてきます。

つまり、自社のアプリユーザーが、いつ、どのような店舗でどれだけの金額を使ったのかという決済情報を把握できるんです。他店舗での決済情報という貴重なマーケティングデータから、自社ユーザーの行動やライフスタイルを予測するなど、マーケティングの幅が広がると思います。

提携Payから提供される情報には個人を特定できるようなものは含まれていません。
1つのIDの購買データ(決済した店舗・時間・金額)が蓄積されていくイメージです。

インバウンド・アウトバウンド双方を重視、国内外で不自由ないキャッシュレスライフを

―様々な海外決済サービスと提携を積極的に進めていますよね。

インバウンド・アウトバウンド双方でOrigami Pay利用拡大を狙っています。インバウンドに関しては、Alipay、銀聯QRユーザーは日本国内のOrigami加盟店で決済できるようにしています。

オリンピックに向け、今後さらにインバウンド需要は増えていきます。国内の店舗にとって、海外の様々な決済サービスにいちいち登録するのってすごく面倒ですよね。そこを、Origami Pay1つ入れておけばあらゆる海外決済サービスに対応できますよ、という状態を目指しています。

逆に、日本人が海外に渡った時、意外と決済が面倒だったりしますよね。
そこで銀聯国際(Union Pay International)と業務提携し、世界24カ国、750万のUnion Pay加盟店でOrigami Payが利用できるようにしていく予定です。

金融会社として、ネット上でのなめらかな資金移動の実現を目指す

―ソーシャルECアプリ「Origami」から事業をスタートした貴社が、キャッシュレス決済サービスを始めた理由を教えてください。

当社は、もともと金融事業をやりたかったんですよ。インターネット上で資金が移動する仕組みを作ろうという思想から始まりました。
EC事業に取り組んだのも、インターネット上で資金移動が発生するポイントをおさえるためです。

―なぜ、インターネット上での資金移動に着目したのでしょうか。

金融ビジネスって、基本的に手数料モデルなんですよね。クレジットカードを使う時やATMからお金をおろすときなど、資金が動く際は様々なシステムを動かす必要があり、どうしても手数料が発生してしまう。

でも、インターネットで資金移動する場合は、インフラがほぼ無料なので手数料も限りなくゼロに近づけるはずなんです。

収益の柱である手数料がない世界で金融事業を成立させるためには、「データ」が肝となります。
たとえばGAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc.)は、保有するデータ量に対して価値を認められ、世界的に評価されています。

もちろん金融業者も、膨大なデータを保有しています。インターネットと融合することで、データを軸とした新たな収益構造を生み出せるのではないかと考えています。
ただ、詳細すぎる個人情報を持っているだけに、インターネット活用に踏み切れない事業者が多い。
そこはスタートアップならではの機動力を持つ当社がリードし、新たな金融ビジネスを構築していきたいですね。

【執筆】水落 絵理香
【編集・撮影】GHJ編集部

 

 

関連記事はありません