Growth Hack Journalのマーケターインタビュー企画「Sailing Report」。

今回ご紹介するのは、中古マンション売買アプリ「カウル」のグロースハックについて。

不動産領域の中でも中古マンションの売買に特化し、ターゲットも限られたサービスながら、リリースから約3年で3.5万会員を突破。異例のスピードで成長しています。

ここまでスピード感を持ってグロースできた要因はどこにあるのか、カウルを運営する株式会社ハウスマートでCTOを務める高松 智明氏に聞いてみました。

記事の最後に高松氏、OYO、スペースマーケット、グッドルームのマーケターが登壇するイベント「aCrew」の告知もありますのでお見逃しなく。

 

プロフィール

株式会社Housmart(以下ハウスマート) CTO  高松 智明

早稲田大学理工学部の修士課程修了後、2011年楽天株式会社に入社。

ビックデータを活用した広告・マーケティング関連のプロダクト開発を経験。

2016年2月に株式会社Housmartに参画し、 現在取締役CTOに就任し開発チーム全体のマネジメントを担当。

中古マンション購入サービス「カウル」や不動産会社向けSaaSの「プロポ」、同社の提供する不動産データベース・価格推定エンジンの開発を行う。

 

不動産アプリの場合、単純にリテンション率向上を追ってはダメ

 

―まず、カウルのサービス概要を教えてください。

主に東京23区と横浜市、川崎市で中古マンションを探している方や、売りたい方に向けたサービスです。

アプリに自分の属性や希望条件を入力すると、自分で探しに行かなくてもAIがおすすめの物件をレコメンドしてくれるのが特徴で、ユーザーからは、「待っているだけで物件がどんどん出てくるから楽だ」とご好評いただいています。

また、「マンションジャーナル」というメディアで中古マンションの購入に役立つ知識を発信しており、Webだけでなくアプリ内からも記事を読むことができます。

 

―リリースからわずか3年で3.5万会員を獲得されていますが、不動産領域のアプリをグロースさせるポイントはどこにあるのでしょうか?

一生懸命コストをかけて、新規会員を獲得しても、ユーザーが離脱してしまうような状態では意味がありません。

そのためにもまずは、ビジネスモデルとユーザーへの理解が必要です。

 

不動産は日常生活の中で常に情報をチェックするものではなく、引っ越しや転勤などのライフイベントが発生した時に一気に情報収集するもの。

そして、家を購入するか売るかなどの目的を果たせばまたユーザーは離れる。

すなわち、一般的なアプリと違って毎日ひたすらプッシュ通知を送って、リテンションをあげてスケールするようなモデルではないんです。まずはそこを理解しておかないといけない。

 

そこを履き違えて、リテンション率ばかりを追ってしまうと、ユーザーの課題解決とかけ離れた機能を実装してしまう恐れがあります。

不動産に限った話ではないと想いますが、一般的なアプリマーケティングの考え方は理解した上で、ターゲットとなるユーザーに心地よく使ってもらうにはどのような指標を追うべきなのかは深く考えるべきですね。

 

また、同じマンション購入を目的としているユーザーでも、短期で決めたかったり、時間をかけてじっくり情報収集したかったりと様々なニーズを持った方がいます。

まずはどのようなニーズがあるのかを徹底的に把握し、各ユーザーに合わせたコンテンツを適切な形で提供できるように設計しています。

データ分析だけでなく、ユーザーヒアリングで生の声にも耳を傾けた

 

―ユーザーのニーズを把握するために、どのような施策を実行されているのでしょうか。

定量・定性どちらの情報も踏まえたうえで仮説を構築し、機能改善や開発に落とし込んでいます。

具体的には、アプリ上で取得できる定量的な行動データと、月に1度実施しているユーザーインタビューで定性データを収集しています。

 

たとえば、行動データを収集する中で、「アプリ利用者全員がマンションを購入したいわけではない」という気づきを得たとします。

「それでは何を目的にアプリを開いているのか?」という問いを、より深い行動データから読み取り、「将来の購入を考えて情報収集している層が多い」という仮説を構築する。

その仮説を元にユーザーインタビューを実施し、正しいかどうか検証して機能開発に落とし込む、という流れが基本です。

 

ユーザーインタビューは生の声を聞ける貴重な機会なので、開発メンバー全員で順番に担当しています。

 

―月に1回、開発もある中でユーザーインタビューを実施するって、かなりの工数が必要になるんじゃないですか?

そうですね(笑)。決して楽な運用ではないのですが、やはりユーザーから学べることは多い。それだけの工数を割いてでも実施する価値があると実感しています。

 

というのも、アプリをリリースした当初は、そもそもカウルのような、アプリひとつで情報収集コンテンツの提供から、物件情報の閲覧、見学、購入の手続きまでをカバーする一気通貫モデルにニーズがあるかどうかを検証するのに苦労していて。

当初は、ユーザーが流入してもすぐに離脱してしまっていたんです。せっかく流入してくれたユーザーが定着せず、常にバケツに穴が空いているような状態でした。

 

ー「バケツの穴」対策として、どのような打ち手をとられたのですか?

 

このままではまずいと思い、2017年夏にアプリのリニューアルを実施しました。

それまでは正直、思いつきで機能実装をしてしまうことなどもありました。

しかし、リニューアル後からは感覚で開発・運用するのをやめ、ペルソナを決めてカスタマージャーニーを作成し、サービス改善のための自分たちなりのフレームワークを構築したんです。

これは本当にやってよかった。リニューアル後も行動データやユーザーの意見をもとに細かな改善を重ね、やっとアプリストアにおいても「使いやすい」と高く評価していただけるアプリになりました。

 

この取り組みを通じて、個人の「なんとなく」ではなく、チームとして仕組みで丁寧にユーザーに向き合うことの大切さを実感しましたね。

ターゲットユーザーごとにセグメントを切り、それぞれの行動データを細かく分析したうえでボトルネックを見つけ出し、インタビューを通じてユーザーにも直接意見を聞いて仮説を補強する。

工数はかかりますが、ユーザーと真摯に向き合うことがグロースのカギになると思います。

 

参考:KPI&フレームワークから考える失敗しないアプリ改善

 

「北風」ではなく「太陽」的なコミュニケーションでユーザーに寄り添いたい

 

―ユーザーと向き合い、どのような気付きが得られたのか、具体例を教えてください。

ユーザーインタビューしていると、マンション購入に関してものすごく質問されるんですよ。やっぱり、人生でそう何度も経験することではないし、複雑な話が多いから不安を抱えている方が多いんですよね。

 

マンションを購入しようか検討している時期、マンション選びの時期、購入を決めた後など、各フローごとの不安を解消してもらうためのコンテンツが必要だと感じています。

なので、「マンションジャーナル」でただ記事を更新するだけでなく、ユーザーの状況に応じてアプリ内で適切な記事をレコメンドしていきたいなと。

 

Webと違って、ターゲットユーザーの悩みに合わせてレコメンドする記事を変えられるのもアプリの強みですしね。

 

―ユーザーの課題解決に徹底的にフォーカスしているんですね。

はい。当社では「カスタマーファースト」をコアバリューとしてサービスを運営しています。

不動産業界って、まだまだユーザーに寄り添える余地が大きい。当社代表の針山はもともと不動産会社で仲介や用地の仕入れ、住宅企画に従事していました。実際に働くなかで、顧客によりよい体験を提供したいという想いをもとにカウルを設立したんです。

 

イメージ的には、童話「北風と太陽」の太陽のような存在を目指しています。

カウルは、太陽のようにユーザーに寄り添い、テクノロジーを通じて行動のきっかけを与えられるようなコミュニケーションを取りたいと思っています。

 

―最後に、7月9日に登壇いただく不動産×テクノロジーイベント「aCrew for Real Estate」に向けての意気込みをお願いします。

これまでの経験で培ってきた、感覚に頼らず定量データと定性情報を組み合わせて確実にアプリを伸ばす方法についてお話しさせていただきます。

他登壇者様とお話しするのも楽しみですね。

7/9(火) aCrew for Real Estate 開催!

不動産×テクノロジー”の急成長企業にサービス成長の秘訣や今後の業界動向を聞く!

開催日時:7/9(火)18:30〜

 

イベントテーマ

今回のテーマは「不動産業界のディスラプト」です!

30兆円を超える巨大市場を抱える不動産業界。現在では大手から新興ベンチャー企業がIT活用による事業効率化だけでなく新しいビジネスモデルを模索するなど、古くからの慣習や法規制により長らくIT化が遅れていた同業界にイノベーションが起ころうとしています。

今回のイベントでは、「インド発ユニコーン」として不動産業界以外も大きく巷を賑わせたOYO(オヨ)、”インドア花見”という新しいブームのけん引にも貢献したスペースマーケット、中古マンションの売買サービス「カウル」を中心に不動産業界に革新を持ち込むハウスマートのマーケティング/事業責任者をお招きし、ビジネス成功のためのノウハウを共有していただきます。

不動産業界に在籍の方のみならず、これから新規参入を検討されている方や、新規事業のヒントを見つけたい方にとってもためになること間違いなしですので、ぜひご参加ください!

 

登壇者・予定テーマ

第一部

OYO LIFE マーケティング責任者 山口氏

テーマ(仮):OYO日本市場のサービスグロースの展望

https://growthhackjournal.com/oyo-marketing/

 

スペースマーケット マーケティング部 堀田氏

テーマ(仮):インドア花見ブームの舞台裏を仕掛人が語る!

 

ハウスマート CTO 高松氏

テーマ(仮):「カウル」アプリのサービスグロースすべて見せます!

 

グッドルーム株式会社 webマーケティング主任 越智氏

テーマ(仮):goodroomのマーケティング施策について

 

第二部

パネルディスカッション 登壇者4名 + モデレータ

 

↓ イベント詳細・申込みはこちらから ↓

https://repro.connpass.com/event/132492/

主催:Repro株式会社

開催日時:7/9(火)

開催場所:Repro株式会社

東京都渋谷区代々木1丁目36−4 全理連ビル

参加費:無料

 

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