近年、成長がめざましいシェアリングエコノミー業界。

そんな中、ここ数年で存在感を特に現しているのが、会議室から球場まで様々なスペースを気軽に貸し借りできるプラットフォームを提供する、株式会社スペースマーケット

同社が2019年春に提案したキャンペーン「インドア花見」は、文字通り室内でお花見をするサービスで、貸切のプライベート空間で天候や混雑などを気にすることなくお花見パーティーを楽しむことができます。

同施策は、花見に行きたい気持ちはあるものの様々な理由から苦手意識を持っていた人々にもリーチし、多くのスペースマーケットのインドアスペースでの花見客を生み出しました。そして、まだカテゴリとしては新しい「レンタルスペース」の認知拡大につながる機会となりました。

このような前代未聞の取り組みを行ったスペースマーケット社ですが、果たしてどのようにユーザーの認知を獲得し、ブランド確立へと繋げているのでしょうか。

 

今回、Growth Hack Journalのマーケターインタビュー企画「Sailing Report」では、株式会社スペースマーケット マーケティングチーム 堀田 遼人(ほったりょうと)氏に「インドア花見キャンペーンの裏側」についてお話をお伺いしてきました。

記事の最後に、堀田氏も登壇するイベント「aCrew」の告知もありますので、お見逃しなく!

プロフィール

 

株式会社スペースマーケット マーケティング担当  堀田 遼人

1993年生まれ。一橋大学商学部卒。スタートアップ企業や広告会社の社内ベンチャーでインターンとしてマーケティングや新規事業開発のコンサルティング業務を経験。その後株式会社リクルートホルディングスに入社し、不動産メディアのプロダクト企画開発を担当。

現在は株式会社スペースマーケットにて、マーケティング全般に従事している。

https://twitter.com/ryo10hottie

スペースのシェアで世の中をもっと面白く

 

―スペースマーケットとはどのような会社なのでしょうか。

堀田:会議室からオフシーズンの球場まであらゆる空きスペースを貸し借りできるプラットフォーム「スペースマーケット」を運営している会社です。

Webとアプリでサービスを展開しており、スペースのシェアによって、テクノロジーがまだまだ浸透していない不動産の領域から世の中を面白くしようとしています。

 

私は、新卒でリクルートに入社して「SUUMO(スーモ)」を担当してからスペースマーケットに転職し、約2年ほどスペースの利用者獲得のためのマーケティングを担当しています。

花粉症泣かせのお花見の常識を覆す新しい取り組み

 

では、今回の本題でもある「インドア花見キャンペーン」についてお聞かせください。

堀田:その名の通り、スペースマーケットの室内スペースでお花見体験ができる企画で、3月から4月にかけて開催しました。

 

花見といえば日本人にとって恒例のビッグイベントですが、楽しさと隣り合わせで大変な面もつきものです。

例えば、3月の外はまだ寒かったり、花粉が辛い方がいたり、特に土日は大変混雑するため、場所取りも大変だったり。

 

確かに外でやる花見も素晴らしいのですが、お花見の魅力というのは、桜を見ることも勿論のこと、同じ空間に集まって同じことを体感したり、お酒を飲んだりしながら楽しい時間を共有できることなのではないかと考えていて。

室内であれば花粉症の方も辛くありませんし、予約制であれば場所取りの必要もない。そして寒さや混雑を避けることもできる。

 

そんな外でのお花見の欠点を全て解決できるということで、本キャンペーンを思いつき、2018年からやっています。今年で2回目ですね。

 

 

ーすごく理にかなっているキャンペーンですね。このアイデアは堀田さんが考えたんですか?

堀田:いいえ、元々はキャンペーンを始める2年も前からスペースのホストさんが始めていたものなんです。

ホストさんが自分たちで創意工夫して、桜の木やおしゃれな装飾で部屋で彩ったスペースは、常に予約が殺到していました。

 

また、前年のこの時期の利用データをみると「屋外でお花見予定だったが、雨予報なので急遽レンタルスペースでパーティーすることにした」という内容の利用が多く、インドア花見の需要がありそうだという仮説をたて、キャンペーンとして実施することになりました。

 

―現場のアイデアがベースになったんですね。このキャンペーンをすることでどのような成果が出たのですか。

堀田:成果に関しては具体的な数字は言えないのですが、スペースの体験者の数は昨年対比で5倍以上伸びました。

キャンペーンをおこなうスペースの数も昨年の数十件から大きく伸びて、約150件ほどに。

 

メディアの露出もありがたいことにたくさんさせていただき、テレビ番組やwebメディアなど30近くのメディアで取り上げていただきました。

 

また、「インドア花見」という言葉の指名検索件数においても、昨年対比で約60%ほどアップしているなど、あらゆる観点から昨年を上回るキャンペーンになったのではないかと思います。

「イメージの作り込み」に限られた予算を投資

 

―素晴らしい成長ですね!これくらい盛り上がっているとなると、けっこう予算を割かれたのではないでしょうか。

堀田:実はぜんぜん予算はかけてないんです(笑)。スペース利用者向けのマーケティングも専任は私1人。あとは兼務のメンバーとインターン生でやりくりしています。

 

ー少人数かつ低予算で成功させるとは、なおさらすごい…!限りある予算はどういったところに使われたんですか。

堀田:サンプルスペースの作り込みですね。キャンペーンをするにあたって、全国のホストさんに展開する前にまずは見本となるスペースを作るんです。

「“インドア花見”という(今まで世の中にない)文化を創りたいんです!」といくらいっても、普通の人はイメージが沸きませんよね。なので、最初にちゃんとイメージを作り込むことが最も大事だと考え、ここに特に投資しました。

 

作り込みが甘かったり、イメージ写真があまりイケてなかったらホストの方は「誰も使わなそう」と思うでしょうし、キャンペーン拡散のために協力してくれるインフルエンサーの方もあまり広めたいとは思わないかなと。

 

ーホストさんに企画を拡げる前に、まずはイメージを固めたと。

堀田:その通りです。他に「インドア花見」という言葉のリスティング広告を出したりだとか、お花見のローンチイベントを一度開催したので、そのイベントの費用ぐらいですかね。

多くない予算の中で成果を残すためには、まずどこにお金を費やせば一番レバレッジが効くのか判断することがすごく重要だと思います。

PR起点でマーケティングの企画を練っていく

 

―ずばり今回の成功要因としてはどういったものがあったと思いますか。

堀田:私たちマーケティングチームとPRチームとがっつり連携し、PR起点でマーケティングの企画を作ることに重きを置いたのが大きかったかなと。

本キャンペーンは、予算が限られていたため、お金をかけて自分たちで広告を出稿することは難しいという背景がありました。

だからこそ、メディアに取り上げていただいたり、ユーザーからのUGC(口コミ投稿)が効果的に生まれるような仕掛けを考えるのがとても重要でした。

 

そこで、最初のキックオフのミーティングの段階から、どういうメッセージをどう届けるか、どうしたら行動を起こしてもらいやすいか、なども含め、スケジューリング、細かいメディア戦略まで、マーケとPRが一丸となって考えました。そして、結果的に色んな人たちがインドア花見について言及する仕組みが生まれたのだと思います。

①体験を作る→②拡める 戦略的にキャンペーンを組み立てる

 

―マーケとPRが連携して行ってきた施策の内容を教えてください。

堀田:1つ目は、前述したように実際にインドア花見を体験できるサンプルスペースを作りました。そして認知を広めるため、オフラインでイベントを開催しました。

 

もう1つは「インドア花見」に対しての調査PRです。そこでインドア花見を世の中ごと化するきっかけを作り、じわじわ広げていきました。

 

ー具体的にはどのような調査PRを実施されたのですか?

 

堀田:インドア花見関連の調査を進めるにあたって、「2019年の花見シーズンは花粉の量が昨年の7倍になるらしい」ということがわかりました。
そこで「花粉症でも楽しめるインドア花見」というコンセプトでプレスリリースを発表しました。

 

様々な種類のメディアで、それぞれの文脈で報道いただき、ソーシャル上でも情報が連鎖しました。

 

また、別途PRイベントとして、メディアの方々やインフルエンサーさんをお呼びし、実際にインドア花見を体験できるパーティーを開催しました。

 

結果的に、設計した様々な接点や体験から、情報が拡散し、インドア花見に関しての言及がソーシャル上でも増えていきました。いろんなタッチポイントで「インドア花見」について見聞きする機会が重なることで、「自分もやってみたい!」という行動喚起へつながっていったのだと思います。

 

これ以外にもいろいろ施策はやってきましたが、ベースとしては①体験を作る、②コミュニティやイベント、メディアをクロスさせて体験を広げるといった、マーケティングの基本的な考え方に則ってキャンペーンを組み立てています。

弊社は少数精鋭かつ節約志向のスタートアップなので(笑)。泥臭く色々なことをやっていくことがすごく大事だと思っています。

 

―緻密に戦略を練って運用されたのですね。インドア花見をしたことでの売り上げ以外の面で副次的に良かったことはありましたか。

堀田:利用者が増えたことは勿論ですが、テレビやメディアなどの露出が増えることで、ターゲット層以外にも様々な方に知っていただくことができ、お問い合わせや、メーカーさんからタイアップのお話をいただく機会も増えました。

 

あと、やはりスタートアップの会社というと少し怪しく感じる方もいると思うのですが、NHKや朝のニュースで取り上げられていたりすると、「ちゃんとしている会社なんだ」と家族や友達から思ってもらえ、安心に繋がります(笑)。

 

僕たち社員としても、自分たちの会社がやっているサービスを外向けに発信できているということに関しては、モチベーションが上がる要素でした。

自分が本当にやりたいと思えるかを自問自答する

 

―代理店を使わずにインハウスで進められたそうですが、企画する上で特に大事に思うポイントはありますか。

堀田:n=1としての自分の感覚というか、いちユーザーとしての感覚みたいなところを大切にしたいと思っています。

 

まずこういった企画をするにあたって、自分が使ってみたい、または自分がやってみたいと思えるかを問うことは、とても大事だと思っています。

 

自分がやりたいと思えることを世の中に広められるというのは、マーケターとして、1つの楽しさでもあります。

一方で、勿論自分だけがユーザーではないですし、スタートアップなので、非連続的な成功をしなきゃいけないという点で、スケールさせるというところもとても大切だと思っています。

7月9日の不動産テックイベントに向けて

 

―最後に、7月に登壇をされるイベントへの意気込みをお聞かせください。

堀田:マーケティングって、一見華やかな業種に思われがちですが、実際にやっていることってめちゃめちゃ泥臭かったりするんです。

 

一人ひとりにメールを送り続けたり、何十社ものメディア企業に取材交渉したり、メッセージ案を100個作ったり、地道な作業が多くて。

しかし、そういった泥臭さが根本にあるからこそ、企画が大きな成果を生みだすと思うんです。

 

なので、その辺りのリアルな泥臭い部分や、2年の経験から培ったものなどをお話出来たらと思っています。

— 堀田さん、本日は、ありがとうございました!

 

【執筆】花岡 郁 【撮影】櫻井文也 【編集】Growth Hack Journal編集部

 

7/9(火) aCrew for Real Estate 開催!

不動産×テクノロジー”の急成長企業にサービス成長の秘訣や今後の業界動向を聞く!

開催日時:7/9(火)18:30〜

 

イベントテーマ

今回のテーマは「不動産業界のディスラプト」です!

30兆円を超える巨大市場を抱える不動産業界。現在では大手から新興ベンチャー企業がIT活用による事業効率化だけでなく新しいビジネスモデルを模索するなど、古くからの慣習や法規制により長らくIT化が遅れていた同業界にイノベーションが起ころうとしています。

今回のイベントでは、「インド発ユニコーン」として不動産業界以外も大きく巷を賑わせたOYO(オヨ)、”インドア花見”という新しいブームのけん引にも貢献したスペースマーケット、中古マンションの売買サービス「カウル」を中心に不動産業界に革新を持ち込むハウスマートのマーケティング/事業責任者をお招きし、ビジネス成功のためのノウハウを共有していただきます。

不動産業界に在籍の方のみならず、これから新規参入を検討されている方や、新規事業のヒントを見つけたい方にとってもためになること間違いなしですので、ぜひご参加ください!

 

登壇者・予定テーマ

第一部

OYO LIFE マーケティング責任者 山口氏

テーマ(仮):OYO日本市場のサービスグロースの展望

https://growthhackjournal.com/oyo-marketing/

 

スペースマーケット マーケティング部 堀田氏

テーマ(仮):インドア花見ブームの舞台裏を仕掛人が語る!

 

ハウスマート CTO 高松氏

テーマ(仮):「カウル」アプリのサービスグロースすべて見せます!

 

グッドルーム株式会社 webマーケティング主任 越智氏

テーマ(仮):goodroomのマーケティング施策について

 

第二部

パネルディスカッション 登壇者4名 + モデレータ

 

↓ イベント詳細・申込みはこちらから ↓

https://repro.connpass.com/event/132492/

主催:Repro株式会社

開催日時:7/9(火)

開催場所:Repro株式会社

東京都渋谷区代々木1丁目36−4 全理連ビル

参加費:無料

 


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