日本でiPhoneが発売されてから今年で10年。モバイル市場の急成長とともにさまざまな企業がwebやアプリをビジネスに取り入れています。スマートフォンの普及がひと段落しつつありますが、モバイル業界の継続的な発展のためには、先行企業の事例から学び、業界全体で知見を共有していくべきかもしれません。

5月16日に開催した「APP BUSINESS CAFE」では、人気メディアを運営する企業3社からメディアビジネスの未来と最新のマネタイズについての取り組みをお話しいただきました。貴重なノウハウと参考になる事例が満載のイベントレポートをお届けします!

サイバーエージェントメディアの最新マネタイズと今後の展望

登壇者紹介

株式会社サイバーエージェント メディアディベロップメント事業本部 統括 野屋敷健太(のやしき・けんた)氏

事業の紹介

アメーバブログ』は20,000人以上の有名人やタレントがブログを開設している、国内最大級のブログサービス。会員数は5,300万人、20〜40代の男女を中心に幅広いユーザーが利用しています。 現在ではスマートフォンからの閲覧が8割ほどを占めています。

『アメーバブログ』のマネタイズ手法

ユーザー体験を大切にする

マネタイズの方針として大前提に掲げているのは、メディアが提供するコンテンツ価値を損なわずに収益を生み出すこと。 ユーザビリティーを阻害した広告であれば簡単に収益やCPMを上げることはできますが、長期的に見るとグロースする可能性が低くなってしまう。そのため、ユーザーの体験を損なわず、支持されるような広告作りを心がけています。

広告手法例

『アメーバブログ』で採用しているのは、運用型のInfeed広告をはじめとしたディスプレイ広告と、有名人にスポンサーとして企業の商品を宣伝してもらうタレントブログ記事広告の2つです。

ディスプレイ広告については、先ほどお伝えしたように、法に抵触するようなクリエイティブやユーザーに不快感を与えるものは一切配信せず、純粋に1PVあたりの単価を上げるような取り組みを行っています。

『アメーバブログ』はもともと純広告の販売をメインに行っていましたが、ここ3年くらいで運用型広告の市場が伸びてきていたのでいち早くピボットし、指標はinviewに、フォーマットもネイティブアドに統一しました。 ネイティブアドは他社のSSPやADNWを併用した方がCPMやCPVを上げられるとわかったので、これらを併用しながら1PVの単価をどう上げるかに重きを置いて運用しています。

発生した課題とその解決方法

メディア特性を活かしたディスプレイ広告の売上げは全体的に右肩上がりに伸びましたが、同時に多くの課題も発生してしまいました。 他社のSSPやADNWの利用でCPMは上がりましたが、その一方で、法律に抵触する恐れのあるクリエイティブが掲載されてしまったり、不必要に露出が多かったりするなど、ユーザーに不快感を与えてしまうような広告の掲載が増えてしまったのです。

とはいえ『アメーバブログ』は月間2,500万人を超えるユーザーから利用される巨大なプラットフォームのため、全ての広告を審査していると工数が膨大に膨れ上がってしまう。改善に向けて審査の可否を厳格化した結果、審査を通過するクリエイティブの数が限られてしまい、結果的にCPVを下げてしまいました。

この課題を解決するために2つのことを行いました。

①可否オペレーション体制の構築

サイバーエージェントグループは沖縄に400名体制のオペレーションチームを持っていますので、現在はそこで広告の審査を行っています。入稿も配信もこのチームが全てチェック。 そして薬事法や景表法に触れるものに関しては、バナーとLPをセットにして審査を厳格化しました。掲載可否がNGであれば修正依頼を出して、OKなものだけを配信します。掲載可否のオペレーション体制をしっかりと構築することで、配信するクリエイティブの数を増やしつつも、ユーザーを不快にさせるようなクリエイティブを大幅に減らすことができました。

②動画プロダクトの強化

動画の比率を上げることで、単価の向上に取り組みました。 ブログメディアなのでユーザーの滞在時間が長く、動画と親和性が高いだろうという仮説の元に動画広告を強化しています。広告主のブランドを守るためのブランドセーフティへの取り組みに加えて、各業種のKPIを満たすような弊社独自の広告商品開発も行っています。

  1. Amazon購入向け促進動画

    Amazonでの購入を促進する動画フォーマットを展開しています。

  2. 『C CHANNEL』×「Ameba動画」

    「Ameba」のリーチ力と『C CHANNEL』の動画制作力を掛け合わせ、女性に特化した商品を動画で配信。

  3. コスメ特化フォーマット動画

    化粧品の動画と化粧品の詳細を即見できる動画も展開しています。

これらの施策によってPV単価があがり、収益性の向上に成功しました。 デジタルの比率が伸びれば、デジタル広告への責任も大きくなってきます。私たちのキーワードは健全なマネタイズ。責任を持って、ユーザーに刺さる適正な広告を展開していきたいですね。

独自の価値を提供する『C CHANNEL』のメディア戦略

登壇者紹介

C Channel株式会社 広告事業部専任役員 武藤崇雄(むとう・たかお)氏

事業の紹介

C CHANNEL』は女性の“知りたい!”を動画で解決する、日本最大規模の女性向け動画メディア。SNSファン数は2,500万人を突破し、動画の月間再生数は6億回に到達。 海外展開も積極的に進めており、現在ではアジアを中心とした10ヵ国に配信しています。

従来メディアと分散型メディア『C CHANNEL』の違い

分散型メディアの中心にある(柱になる)のは何と言ってもコンテンツです。 『C CHANNEL』でもコンテンツ制作には一番力を入れているので、月間300〜400本が制作・配信できるように制作メンバーを揃えています。

従来のメディアはSEOが重視されていましたが、分散型メディアで重視すべきはSNSでいかに見てもらえるか、再生数がどれだけあるか。 そのため、多くの人にしっかりと受け取ってもらえる情報とは何かを常に考えながら、日々、企画・制作とPDCAを回しています。

コンテンツ制作のポイント

コンテンツを作る上で要となるのは、「人」「トレンドと季節感」「データ」の3つ。コンテンツを制作したら分析したデータからニーズや傾向を見極め、配信する時間やプラットフォームを選択します。

各SNSプラットフォームの特徴に合わせて尺の長さや企画内容を調整すれば、多くのリーチ数を獲得できたり、エンゲージメントが高くなったりと、全体的に良い結果が出るようになります。

『C CHANNEL』が提供する広告ソリューション

私たちはメディアとして成長を遂げる中でF1層から確実かつ熱い支持を受けてきました。ですので、F1層のニーズを捉えながら、企業が抱える課題に対して最適なソリューションを配信できることが何よりの強みです。 そこから発展して、今はメディア以外にイベント事業やEC事業、インフルエンサー事業など幅広い領域をカバーしています。

より多くの女性にリーチするために

『C CHANNEL』の開始から約3年。サービスと同じようにユーザーも年齢を重ねていきます。 F1層だったユーザーはすでに結婚して子供を持つママになっているかもしれません。そうすれば知りたい情報や悩みごとの中身も自然と変わっていく。彼女たちのライフステージとともに等身大の情報を発信しようということで、ママ世代に向けた分散型メディア『mama+(ママタス)』を立ち上げ、Instagramを中心にフォロワー獲得とコンテンツ配信を行っています。

『C CHANNEL』はF1層がターゲットなので化粧品メーカーの広告がメインですが、『mama+(ママタス)』はおむつメーカーをはじめ、ママ世代に向けた広告ソリューションの提供が可能になりました。

さらなる事業の拡大とマネタイズポイントの創出

さらなる事業の拡大とマネタイズポイントの創出を目的として、未来のスターを発掘、応援する新サービス『mysta』も立ち上げました。『mysta』には広告とは別に「アプリ内で購入した課金アイテムをアーティストに送る」という新しいビジネスモデルも取り入れ、ターゲットも拡大していきたいと考えています。

『C CHANNEL』ならではの価値を提供

現在は『C CHANNEL』の強みを活かしながら、さまざまな企業とのパートナーシップやアライアンスに注力している最中です。直近では集英社と一緒に新しいインフルエンサーの事業形態を作りました。 これは、集英社の読者モデルをインフルエンサーに活用して動画制作を行い、集英社の雑誌アカウントから広告を配信するというもの。『C CHANNEL』の持っているメディアパワーを使いながら、より幅広いチャネルでコンテンツを届けることができる“ならでは”の取り組みです。

このように『C CHANNEL』にしか提供できない価値を提供しながら、メディアパワーに磨きをかけていきたいですね。

コンテンツの価値最大化と『GANMA!』のビジネスモデル

登壇者紹介

コミックスマート株式会社 取締役 上河原圭二(かみかわら・けいじ)氏

事業の紹介

GANMA!』はオリジナルマンガ150作品以上が読み放題のマンガアプリです。アプリの評価はiOS、Androidともに4.7と高評価をいただいています。 特徴は10〜20代の若年層ユーザーが8割を占めていること。オリジナルマンガを中心に配信しているため、『GANMA!』でしか読めないマンガがたくさんあることも、人気を博している理由です。

マネタイズ展開例

コミックスマートの強み

マネタイズする上でコミックスマートの強みは2つあります。

① プラットフォーム

『GANMA!』というプラットフォームを利用して若年層にリーチできます。

② 漫画家マネジメント

専属の作家が約100名所属しているので、連載中のマンガやキャラクターを企業のプロモーションに活用できます。

『GANMA!』の広告展開における強み

一般的な広告は「誰に・何を・どのように」伝えるかを中心に考え制作されますが、私たちはそこに「誰が」をプラスして制作しています。この「誰が」に当てはまるのがマンガ作品やキャラクターです。

広告はユーザー体験を妨げることがあったり、敬遠されがちだったりしますが、『GANMA!』は広告もコンテンツの一つであると捉え、クリエイティブにも工夫を凝らしています。例えば、広告主様の商品やサービスを当社で人気のマンガ作品やキャラクターが説明をすることで、そのマンガ作品の読者に対して好意的に情報を届けることができるのです。 また、作品のジャンルや特徴は様々で、例えば100万人以上の読者を抱える作品のキャラクターや10代の女性から支持されているキャラクターをキャスティングすることもできますし、専属作家がプロモーション用に描きおろしたオリジナルマンガなど、目的やターゲットに合わせた広告を作ることも可能です。

広告のフォーマットは静止画、動画、漫画の3種類をご用意しています。 広告クリエイティブに関するユーザーからの意見は9割以上がポジティブなものですので、広告主様もユーザーもご満足いただけるプロモーションの手段になっていると思っています。

外部コンテンツの出張掲載

オリジナル作品が中心ではありますが、出版社様の作品プロモーションの場としても活用いただいています。その際のマネタイズは次の2つです。

① 広告費還元型

他社コンテンツを期間限定で無料掲載し、そのコンテンツ経由で得た広告収益の一部を還元するモデル。

② 課金促進型

期間限定の有料コンテンツとして『GANMA!』有料会員向けに提供するうえで、掲載料を対象コンテンツの版元に対して固定費でお支払いするモデル。

出版社様には若年層に向けたプロモーションの場としてメリットを感じてもらえていますし、掲載した作品は書店での販売実績も伸びています。

自社IPの多角展開事例

単行本出版

『GANMA!』で生まれたコンテンツが40タイトルも単行本化しました。

物販

クラウドファンディングを活用し、キャラクターをぬいぐるみやTシャツなどにグッズ化する展開も行っています。

コンテンツのリッチ化

マンガのアニメ化や音楽プロデューサーとのコラボ楽曲の配信、他企業とのマンガ共同開発、連載作品を舞台化など、作品を様々な形で展開し、拡散する仕掛けも作っています。

webマンガ連動企画

マンガアプリ発の単行本を、書店でさらに流通させていくことを目的に、他マンガアプリと共同で、店頭に「webマンガアプリ棚」を設置するなど、webマンガ業界全体で協力し合い盛り上げていく施策も実施しています。

今後もマンガを軸に、自社IPの多角化やクリエイターの支援など、コンテンツの価値を最大限に活かしたサービスを展開していければと思います。


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