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なぜニューヨーク・タイムズはバグダッドの爆発テロ事件の後、プッシュ通知を送らなかったのでしょうか?   アメリカの独立記念日にあたる週末初日が始まって数時間ばかり経った頃、ニューヨーク・タイムズからのプッシュ通知が私の携帯を震わせました。その内容は、「オバマ大統領は夜にぴったり7粒のアーモンドを食べながら、一人で考え、執筆するのだが、そうして過ごす時間が貴重だ」というものでした。   この記事がニューヨーク・タイムズのホームページ上でより緊急性の高いニュースの見出しの中に紛れていたらあえて読みはしなかったかもしれませんが、風変りな通知文句につられて私はついつい読んでしまいました。   偶然にもその通知は、イスラム世界にとって特別な混乱にあった週の真っただ中でした。この週はラマダン期間の最終週でもありました。そんな中起こったイスタンブール空港での襲撃事件は死者数十名、負傷者数百名でした。過激派組織は、ダッカのカフェで11時間におよび、人質をとって立て籠もり、死者は20名でした。また、バグダッドの繁華街では300名近くが爆発によって死亡しました。犠牲者の数は、2003年以降に市内で起こった襲撃事件の中で、最も多いものでした。サウジアラビア国籍の4人が起こした自爆テロは、2箇所のモスクと米国領事館近くを爆破させ、4名が死亡し、7名が負傷しました。   7月4日の週末は、私はニュースを見ていませんでした。ニューヨーク・タイムズのプッシュ通知を見ればTwitterやニュースサイトをいちいち見ずに大きいニュースを知ることができるので、プッシュ通知さえチェックすれば良いからです。だからこそ土曜日の正午、現地アメリカの東部時間正午に起きた、バグダッドの恐ろしい爆発テロ事件のプッシュ通知が全くこなかったことに驚きました。   プッシュ通知はニュースの関連性と重要度を測るある種の基準のようなものとなっています。   ホームページやテレビのキャプションに情報を配置するニュース編集者はニューヨーク・タイムズのプッシュ通知作成チーム直面しているものと同じ意思決定をしています。つまり優先すべきニュースの基準とその理由です。   私はタイムズの社員二人に取材し、この報道機関がどのような意思決定のもとサインアップして通知を許可している3,000万ものデバイスに何のプッシュ通知を送るべきか理解しようと努めました。   ニューヨーク・タイムズのモバイル部門のアシスタントエディターであるEric Bishop氏は、先週のイスタンブールでの爆発後数時間に配信された2度のプッシュ通知がどのようなプロセスで配信されるに至ったかを説明してくれました。   「速報ニュースに対しては少々保守的になる傾向があり、プッシュ通知を配信する前に事実関係について十分に根拠があるかを確認します。」とBishop氏は言いました。   「爆発テロに関しては、その時点でプッシュを送信できるだけの十分な情報があるのかと言う議論がニュース編集室でありました。しかしながらトルコ当局が発表した10人という死亡者数を聞いた瞬間、私達は十分に情報を得ておりこのニュースは読者に知らせるべきものだと思いました。」   タイムズはその襲撃に関して信頼のおける情報を待っていたがゆえに、競合他社よりも最初に送るプッシュ通知の時間が遅れたと彼は言いました。最終的にタイムズは2度のプッシュ通知を送り、死亡者数は28人に更新されました。そして襲撃は自爆テロ犯によるものだったと報道しました。   バングラデシュの人質は12時間近くに及びましたが、タイムズから受け取ったプッシュ通知はたった1度だけであり、東部時間の午前4:30にその事件の集結に関する通知がきていました。   「一般的に、夜通し続いている事件を配信するハードルは通常より高いですが、そこまで飛び抜けて高いわけではありません。あの事件は間違いなく知らせるべき基準のハードルを超えていたと思います。」   なのであれば、なぜその後あった土曜日に発生したバグダッドの爆発後は通知がなかったのでしょうか。イスタンブールとダッカの襲撃よりも4倍以上高い死者数が出ているにも関わらず。   ニューヨーク・タイムズの広報担当者はバグダッド襲撃後一切通知がなかったのには2つの理由があると述べています。「1つ目の理由は、私たちが爆撃の範囲の詳細を確認し、タイムズの記者が記事を書くころにはもう数時間経過してしまい、プッシュ通知が新鮮でなかったからです。また、私たちはすでに週末にかけてプッシュ通知を6回送っており、これ以上読者をうんざりさせたくありませんでした。」   タイムズは他の方法で、バグダッドのニュースを大いに取り上げます。ホームページでは、流血について、広範囲に渡る報道が取り上げられ、また月曜日、火曜日の印刷版では、フロントページの一番目立つところに配置されています。しかし、通知がなかったことにはいまだ不快感を与えています。   プッシュ通知はニュースの中でも関連性と重要度を測る基準のようなものとなっています。 フロントページの見出しのサイズと同様に、通知が速報ニュースの重要度を伝えます。   通知によって配信されている記事は、日々タイムズが報道する200以上の記事の中で3,000万ものデバイスに送るに最もふさわしい記事であるとタイムズの編集者が判断しているということに最も価値があります。   プッシュ通知は、他と比べるとまだまだ新しいニュース配信技術ですし、スマートフォンやタブレットが新たに販売されるのに応じてプッシュ通知のリーチも増え続けます。タイムズは単に速報ニュースをプッシュ通知で使うかどうかを実験しているのです。オバマ大統領のピーナッツの話が週末にプッシュ通知で届いたのもそういうわけです。ですが、変化には矛盾が付随します。   タイムズが競合に数時間の遅れをとったときさえ、Bishop氏は通知をプッシュするよう提唱しました。「私達はまだ、世界で大きな何かが起こったことを読者に知らせる義務があると思います。」しかしそのような遅れだけでもバグダッドの襲撃に関する通知送信を思い留まらせてしまいました。(その事件が発生したときBishop氏は休暇中でした。)   もちろん、タイムズは速報に関する通知を送るだけの報道機関ではありません。CNNやBreaking Newsも同様のことをする有名なアプリを提供していますが、報道機関がプッシュ通知を送らなくても、スマートフォンユーザーが海外の危機を知る方法は他にもあります。例えば、多くのFacebookユーザーはバグダッドの襲撃後30時間以内に異なる種類のプッシュ通知を受けとりました。   Facebookはイスタンブール襲撃後、セーフティチェック機能が起動し、その地域のユーザーにその襲撃後、彼らが安全かどうか尋ね、示すように促しました。彼らはまた、友人にセーフティロールコールに参加するよう促し、仲間に状況を伝えました。しかしながら、バグダッド爆撃の日は、機能してませんでした。   火曜日の朝、Politicoでも書かれていたとおり、Facebookは、戦争や伝染病といった長期間にわたる危機的状況においては、そのセーフティチェックを使用しないようにすること決めています。なぜなら、そのような緊急時は始まりも終わりもはっきりとしていないので、個人が安全であると判断するのが難しいためです。しかし月曜日の朝、イラクのユーザーがFacebookの新しい機能を利用してセーフティチェックをローンチしました。それを使うことによって現地の危機的状況に関する情報をモニタリングし、第三者の情報を現地のNGOや信頼できるメディア情報のように確かめることができます。   その危機的状況がFacebookの基準を満たしていれば、そのサイトはユーザーにセーフティチェックを勧めます。(ダッカの襲撃でもまた、コミュニティが始めたセーフティチェックを行いました)   コミュニティベースのセーフティチェック機能によって主な問題の一つを解決することができますが、危機状況の指定は従業員の裁量に依存します。11月パリの襲撃事件でセーフティチェックが利用され、自然災害以外で行われた初めてのものでしたが、会社は批判を呼びました。同日のベイルート爆撃では行われませんでした。   セーフティチェックは、重大な危機的状況にある友人や家族が安全かどうか知らせて安心させるための貴重なツールですが、西洋では、旅行中であることや第三世界の国で生きていることを友人に思い出させるための方法でもあります。   「やあ高校の友人さん。あなたは部屋で暇にしているかもしれないけれど、私は遠い場所にいて危険な状態にあります。私が自身の安全を宣言する投稿にコメントして、私のエキゾチックなフォトアルバムを覗いてみてください。」   セーフティチェック通知にバグダッドの爆発やネパール地震の危機的状況に関する詳細はありません。Facebookを見ている人は、その事件の最新ニュースを読むためにGoogleを使って下にスクロールし「より多くの情報をみる」をクリックします。しかし友人の安全性についての通知は一般的なニュースの通知よりパーソナルなものであり、人々がその大惨事について学ぶきっかけになります。   プッシュ通知は、表示され、変更を管理している方法として、ニュースに関与させる重要な方法となっています。AppleのニュースアプリはあらゆるiPhoneやiPadにプリインストールされていますが、この秋にiOS10がリリースされるとパブリッシャーはニューヨーク・タイムズやCNNのように技術的ノウハウがなくても速報プッシュ通知を利用することができるようになります。新しいOSではパブリッシャーはすでに送った通知の内容を変更することもできます。その機能があることによって報道機関はプッシュ通知をより早く送るという決断ができますし、より多くの情報が入ってきたときに通知内容をアップデートすることができます。   スマートフォンユーザーは、1日当たり平均110回ロック画面をチェックしていることが2013年の研究でわかっています。中には900回もチェックしているユーザーがいるそうです。その年以来、プッシュ通知はスマートフォン体験のより一層重要なものになってきました。なので、プッシュ通知の数が劇的に伸びていると考えるのも当然と言えます。   プッシュ通知はロック画面の一等地に表示されます。現代では人々は新聞紙を広げる代わりにスマートフォンからニュースを見ます。重要なニュースが文章とリツイートの間にあれば、ひょっとすると読まれるかもしれません。  

*この記事は、The Atlantic上の記事 ” Why Didn’t The New York Times Send a Push Notification After the Baghdad Bombings を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article onThe Atlantic **in English under the permission from the author.*
 

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