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登壇者: 有川 鴻哉 氏
プロフィール
1992年東京生まれ。フリーのWebデザイナー・マーケターとして 多くのECサイトやメディアの立ち上げに携わった後、 スタートアップ数社にてデザインやSEO業務を担当。2013年から株式会社ペロリにて、『MERY』立ち上げ時より デザインおよびSEOを担当。
現在はクリエイティブ部およびSEO部の部長としてMERYのデザイン全般とSEO戦略を統括。
自己紹介&アプリ紹介
簡単に自己紹介します。有川鴻哉と申します。もともとフリーでデザイナーやマーケターをやっていて、スタートアップ数社でサービス開発に携わったあと創業期のペロリに入りました。今はデザインだったり、Webもアプリも含めたマーケティングを担当しています。
簡単にMERYについてもご紹介します。MERYは女性が「おしゃれになりたいな」と思った時にまず見てもらいたいアプリになっていまして、キュレーションメディアとしてファッションから恋愛まで、女の子の生活に関する全てのジャンルを網羅しています。
現在はUUが2,000万でPVが月間4億くらいのメディアになっております。アプリは500万DLを突破しました。最近はTVCMを打ったりもしていまして、これまでユーザーの規模感に応じていろんな施策を行ってきました。
MERYで重要視している3つのKPI
今日は「500万DL突破!MERYアプリの3つのKPI」ということで、最初はMERYで行った具体的な施策の事例についてお話ししようかと思っていたんですが、具体的な事例だと「それってMERYだから効いたのであって、自分のアプリには生かせなさそうだなあ」と思う方もいるかもしれないので、どちらかというと「こういう風に考えて施策を進めています」という考え方の部分を中心にお話ししたいと思います。
MERYのアプリの改善においては「DAU」「Return Rate」「CPI」という3つのKPIを重要視しています。
DL数よりもDAUが重要
まずDAUです。これが最も大事なKPIだと思っています。基本的にすべての施策はDAUの向上にどのように、どの程度貢献するかを前提として考えています。社外向けに実績として見せる数字はDL数を使う方が多いかと思いますが、社内向けのKPIとしてはDAUを重視するべきです。DL数が多いアプリはたくさんありますが、やっぱりユーザーがアクティブじゃないと意味がないと思います。
アプリ改善の際はユーザーの継続率を意識
次はReturn Rate、いわゆるユーザーの継続率です。DLしたユーザーがどれくらいDAUに転換しているかを見る指標で、DAUを支える数字として重要なKPIとして追っています。Return Rateは日ごと、週ごと、月ごとの数値を細かくチェックしていて、突然数字が落ちたら原因を振り返るようにしています。
DAUを伸ばす手段はDL数を増やすかReturn Rateを上げるかの2通りなので、ユーザーが継続利用しているかはすごく意識して追っています。DAUを伸ばす直接的な施策を考えるのは難しいので、施策を考えるときはまずReturn Rateにどれくらい響くかというのを考えます。
例えば「アプリの高速化に取り組もう」となったときに、高速化によるアプリの改善インパクトを見る指標としてReturn Rateを見ます。
また、アプリに新しい機能を追加する時にも、「その新機能を使ったユーザーのReturn Rateが使っていないユーザーと比べてどれくらい改善しているか?」を指標として見ています。アプリの新機能開発の評価は定性的になってしまいがちなのですが、Return Rateを見ることによって、機能を追加してどれくらい効果があったかを定量的に測ることができます。
アプリの改善は毎日のように行っているので「これが効いた」という施策は挙げにくくて、思いついたこと全部試しているといった感じです。初期フェーズのアプリに関していうと、リリース後に取り組むべきは現状のアプリのブラッシュアップです。MERYでいうと画面遷移の速さや読み込み時間の短縮など、様々な改善に取り組みました。リリース後は新機能開発に意識が移りがちですが、まずは既存機能の改善に取り組んでユーザーの継続率を上げた方が長期的にはアプリはグロースします。
機能改修の優先順位は “(ARPUDAU × 利用期間) – 開発コスト”で算出
たくさん行っている機能改修施策の優先順位をどうやって決めてるの?というところですが、基本的にはARPUDAU(注:1ユーザーから1日に得られる平均収益)とその機能改修によって伸びる1ユーザーあたりの利用期間を掛け合わせることで仮のLTVを出して、仮のLTVと開発コストを照らし合わせて施策の優先度を付けています。MERYには大きく広告で儲ける部分とECで儲ける部分の2つマネタイズポイントがありますが、どの施策を行う際もこの考え方でLTVを算出し、優先順位を決めています。
もちろん改修した機能を使ったユーザー単位での収益なども個別に追っているんですが、施策ごとに「この施策ではユーザーはこれくらいお金を使うだろう」と考えてユーザーの単価を変えてしまうとバイアスがかかりすぎてしまうので、施策を考える上では平均値としてARPUDAUを使っています。
また、思いつく施策は全部行っているというと「施策を考える際の源泉は何か?」とも聞かれるのですが、MERYで日々生まれるコンテンツから得られるデータが源泉にあたります。取れるデータは全部取り、取った上でそのデータの中から改善につながりそうなヒントを探して施策を考えていく感じです。基本的にすべて数字をベースに考えています。
全獲得チャネルをCPIで評価
CPIは広告出す上でみなさん追っているKPIだと思います。DL数増やしたいときに、1ユーザーあたりの獲得コスト(CPI)が1ユーザーあたりの売上(LTV)を下回っていれば計算上は赤字にならないので、アプリは事実上無限に広告を出せます。
うちは結構いろいろなチャネルに広告を出していて、TVCMだったりWebからアプリへの送客だったりソーシャルメディア広告などもやっているんですが、あらゆるチャネルでCPIとDL数をチェックして、最も効果的に機能しているチャネルを見ています。
基本的に広告はすべてのチャネルでCPIと獲得数をKPIにしています。CPIが安くても獲得できるユーザーのボリュームが少ないとチャネルとして有望とは言えないので、獲得できるユーザーの絶対数というところも考慮しています。
いろいろとお話ししましたが、最後にまとめます。KPIとして一番重要視しているのはDAUで、DAUを伸ばすためにCPIを低く保ちながらDL数を増やし、並行して徹底的にアプリを改善してReturn Rateを高水準に保つことに注力しています。これだけお伝えできればいいかなと思っています。本日はありがとうございました。
まとめ
- 低CPIで広告を回し、DLを増やす
- 徹底的にアプリを改善して、Return Rateを高水準に保つ。
- DL数も重要だが、DAUの方が大事