アプリの使い勝手についてユーザーテストを行うアプリ事業者は多いかと思いますが、ユーザーテストでは期待したようなフィードバックが得られないことがあります。

 

女子の知りたいを解決する動画マガジン「C CHANNEL」もそのような課題を抱えているアプリの一つでしたが、ユーザーテストの代替としてReproの動画録画機能を使ってアプリユーザーの行動を観察することによってアプリの本当の課題を発見し、適切な改善につなげることができたそうです。

 

今回はC CHANNELのアプリの改善を担当している齊藤様に従来のユーザーテストと比較した時のReproのメリットや具体的な改善プロセスについて伺ってきました!

c channel-saito

 

サービス紹介

C CHANNELという元LINEの代表の森川が作った動画メディアのアプリ版を担当しています。F1層(20歳から34歳までの女性)をターゲットとしていて、料理やファッション、ヘアー、ネイルといったコンテンツのハウツー動画を配信しています。動画の閲覧元はFacebookやTwitterなどのSNSからがほとんどのいわゆる ”分散型” の動画メディアで、現在は月間の動画再生回数が1億6,000万回を突破して国内では最大規模のメディアになっています。アプリはまだリリースして1年も経っていませんが、アプリからの動画再生回数も順調に伸びています。

 

C CHANNELは国内ではまだほとんど事例がないタテ型動画を全面に押し出したアプリなので、アプリを改善するためにはDL数や各機能のアクセス数といった定量的な分析だけではなく、操作感などに対するターゲットユーザーからの生の声が重要だと考えていました。「タテ型動画はユーザーに受け入れられるのか」を検証する必要があったからです。

 

道端ユーザーテストの実施と課題

アプリのフィードバックは道端でターゲットユーザーを捕まえて使い勝手を聞くという方法をとっていました。調査会社を使ったユーザーテストも検討したのですが、低コストでスピード感を持って改善するには不向きだと思い自分たちでユーザーテストをする方法を選びました。

 

しかしながら実施していくうちにユーザーテストにも課題があることがわかってきました。

 

課題①テストユーザーが集まらない

まず路上で見知らぬ女性に自然に声をかけるのに慣れるまで訓練が必要です。笑 会社の近くで女の子に声をかけて「C CHANNELっていうサービスがあるんですけど、今これをここで使ってみてくれませんか?」とお願いするんですが、結構な割合で断られてしまうんですね。

 

c channel-saito02

 

また、集まったテストユーザーの年齢や職業に偏りが出るのも課題でした。テストに協力してくれる方はやはり比較的時間に余裕のある人なので大学生や呼び込みをしている美容師さんや主婦の方になってしまい、アプリのターゲットであるF1層をまんべんなくテストできないんです。

 

課題②1回あたりのテスト実施に時間がかかる

ユーザーテストはカフェや道端でターゲット層に当てはまる人を捕まえてお願いするんですが、1人分の回答を得るのに10~15分はかかってしまうので1時間外にいても集まるフィードバックはせいぜい5、6人分でした。得られたフィードバックを各々がまとめて他のメンバーに共有して…とやっていると半日ほどかかってしまい、ユーザーテストは私含め4人位のメンバーでやっていたのですが工数を考えると非常に効率が悪いと感じていました。

 

課題③ユーザーから質の高いフィードバックが得られない

あとこれが一番の問題だと思うのですが、道端でのユーザーテストやグループインタビュー形式のユーザーテストでは自分たちが期待しているようなフィードバックはほとんど出てこないんです。

 

理由はいくつかあって、そもそもUXへの感想や不満を言語化してもらうのはかなり難しいということがまず挙げられます。使ってもらった方からは「なんか使いづらい」といった漠然としたフィードバックはいただけるんですが、具体的なアプリの課題を発見するには情報が不十分でした。

 

あとテストの際は「料理ジャンルの動画を見てください」とか「動画をマイリストに追加してください」と予め作ったテストシナリオに沿ってアプリを使ってもらっていたのですが、ユーザーは頼まれているので多少使いづらくてもタスクを完了しようとしてくれるんですよね。しかもアプリを作った本人たちが目の前にいるので本音で言いにくいんだと思いますが、当たり障りのないフィードバックが多かったです。

 

実際はアプリを利用していて使いにくかったらユーザーは離脱してしまいますし、ストアのレビューも悪くなるのが現実です。

 

こうした課題があって、道端でのユーザーテストは時間と労力がかかる割に有意義なフィードバックが得られなかったので、アプリの使い勝手に関する課題を見つけられるツールがないかと探していたときにReproを見つけたのが導入のきっかけです。

c channel-saito03

Repro導入でこれまでの課題を解決。低コストでアプリのユーザビリティ改善に成功

Reproを使い始めてからはユーザーテストが全く必要なくなりました。何もしなくてもユーザーがアプリを利用している動画が毎日上がってくるので検証に十分な数のサンプルが集まりますし、利用動画はC CHANNELのアプリの全ユーザーからランダムに録画されたものなのでサンプルの偏りを心配する必要もありません。

 

今まで半日かけて10人にも満たなかったフィードバックが、Reproであれば2、3時間あれば数十以上の動画を見てフィードバックが得られるようになりました。アプリのUXを検証する方法が劇的に変わりましたね。

 

そういったコスト面でのメリットも大きいのですが、Reproの良いところはやはりユーザーが実際にアプリを使っている様子を動画で詳細に見ることができて、ユーザーテストではわからなかったアプリの課題を発見できる点です。百聞は一見に如かずと言いますか、口頭でユーザーから聞くフィードバックよりも動画のほうが「あ、ここで迷ってるな」とか「この機能はウケが悪いな」といったアプリの課題がわかります。

 

例えば動画一覧画面で各動画コンテンツをユーザーが何秒見ているかといった情報は、ユーザーテストでユーザーを観察するだけではかなり難しいです。かといってGoogleアナリティクスで同じ分析をしようと思うと1つ1つの動画コンテンツにイベントタグを仕込んで滞在時間をとらなければいけないので手間がかかりますしコードも汚れます。動画を見ればそういった面倒が一切かからずアプリの詳細な分析ができます。

 

杞憂だったRepro導入前の懸念

ユーザーの利用状況を動画で再現するツールと最初に聞いたときは「実装が大変そう」という印象でしたが、導入は数時間もかかりませんでした。サポートの対応も早くて丁寧なので、サインアップした日からすぐに動画撮影機能を使い始めることができました。

 

Googleアナリティクスでアプリの細かい動きを計測しようとするとものすごい大量のタグを仕込まなければならなくてソースコードがごちゃごちゃしてしまうんですが、Reproはコード数行で済んでしまいます。私はエンジニアでもあるので実装ハードルの低さは魅力でした。

 

また、動画を撮影するSDKなので実装するとアプリの動きが遅くなるのではないかという心配もありましたがそれも杞憂でした。アプリのパフォーマンスに問題はありません。

c channel-saito04

動画でわかった女性向けアプリにおけるUI設計のセオリー

Reproを導入してからわかった大きな発見は女性向けアプリにおけるUI設計のセオリーです。

 

女性向けのアプリ全般に当てはまると思いますが、タップよりフリックを好むんですよね。というか女性の手は男性と比べてかなり小さいのでタップしたくてもできないんだと思います。大きめのスマホで上のほうにメニューボタンがあっても届かないんですよね。

 

C CHANNELのアプリも最初は関連動画をリストで表示していてタップ中心のUIだったんですが「もっと見る」ボタンを全然タップしてくれなくて回遊率が伸びませんでした。それをフリック中心のUIにしたらセッションあたりの動画再生回数が増加しました

 

動画閲覧画面も「一つの画面でできることは一つにする」というUI設計のセオリーに基づいて改善したのですが、こちらはフリック中心にも関わらずユーザーが使いづらそうにしていることが動画を見ていてわかりました。それで次は女子向けキュレーションメディアのようなターゲットユーザーが使い慣れてるUIに寄せてみたのですが、そうすると回遊率がまた少し上がりました。Reproだと動画でアプリの改修によってユーザーがどういった反応をしているかをすぐに確かめることができるのが良いですね。

 

キャッチコピーの改善にもつながりDL数増に貢献

Reproでわかったもう一つの大きな発見は動画閲覧に躊躇するユーザーが多いということです。C CHANNELの動画は長さが1分以内の短い動画が多いのですが、やはりYoutubeなどのイメージで「動画はデータを大量に消費する」という先入観があるようで、ユーザーが1つの動画を選ぶまでに1、2分使ってしまっていました。

 

そこで「動画が1分で終わるということがわかればユーザーの動画閲覧に対する不安を軽減できるのでは?」と仮説を立てて動画一覧画面にも再生時間を表示するようにしました。そうしたら起動してから動画を見てくれるまでの時間がずっと短くなりました。

 

アプリのキャッチコピーにも「1分無料動画」という文言を追加したところ、DL数も増えました。ユーザーにアプリのウリを正しく伝えられていなかったことを発見できたのは大きいですね。

 

c channel_tagline

「1分動画」を強調することでDL数が増加

動画を見せることで課題認識を共有し、迅速な意思決定につながる

道端でのユーザーテストの問題は、テストユーザーからの感情や仕草、ニュアンスといったフィードバックの細かい部分はインタビューをした本人たちしかわからないところです。ユーザーがどんな感情でそのフィードバックをしているのか文章で伝えるのはすごく難しくて、フィードバックを元に関係者を説得するのに時間がかかっていました。

 

Reproであれば課題となっている部分の動画をいくつか見せて「ほら、この機能みんな使ってないですよね?」というとだいたい納得してもらえます。動画は文章と比べて説得材料として強力なので、関係者への説明はグッと楽になりましたね。特に大きい組織ではアプリ改修の意思決定にさまざまなステークホルダーがいますが、動画を見せれば現場の人間が発見した課題を他の人にも簡単に共有できると思います。

今後のRepro活用

イベントを仕込んでピンポイントで見たい機能の動画を見れるようにするため最近になってRepro用料金を引き上げました。今後はアプリの再訪率を上げるためにターゲティングプッシュ通知機能も利用したいと思っています。Reproを導入してまだ1ヶ月ほどなのですが、すでに「替えの効かないツール」になっているので、もっと使いこなしてサービスの成長につなげていきたいですね。