本記事は、2018年11月14日に開催された「Growth Hack Talks Osaka 2」での登壇内容をもとにしたイベントレポートです。デジタルマーケティングに関する知見を持つ注目企業の方々をスピーカーとしてお招きし、運営にわったweb・アプリサービスのグロース・改善事例や、そこで得られたノウハウ・Tipsをお話ししていただきました。

登壇者

クローバーラボ株式会社 経営企画室 マーケティングチームリーダー 荻野 侑 氏

大学卒業後、2年のフリーターを経て2012年クローバーラボ入社。 入社当時は総務や採用業務などを担当。 その後、クローバーラボのゲーム事業のマーケティング全般を幅広く担当。

事業紹介

まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。クローバーラボ株式会社の経営企画室という部署でマーケティングを担当しております。弊社ではスマートフォン向けのゲームアプリを開発しており、『ゆるドラシル』『魔界ウォーズ』『夜明けのベルカント』『るるたるイデア』といったタイトルのゲームアプリを運営しています。 最近では、『KARITOKE』や『QOOTOK』といったゲーム以外のアプリもリリースしました。『KARITOKE』は、高級腕時計のレンタルアプリで、ロレックスなどの高級ブランドの腕時計を月1万円〜2万円でレンタルすることができます。『QOOTOK』は、食品などを取り扱っているECアプリで、2018年11月にリリースしました。

今回は、アプリのグロースハッカーになるために、個人的にどのような活動をしてきたかということについてお話したいと思います。

グロースハッカーとしての取り組み

普段の業務として、アプリのバナーを作ったり、プロモーションビデオを作ったりすることもあれば、先ほどご紹介した『QOOTOK』のディレクションや、届いた野菜の写真を撮影して管理画面に登録したりといったことまで、本当に幅広くやらせてもらっています。その中で、サービスの成長を少しでもサポートできたらいいなと思っていました。

特に注力しているのがゲームのマーケティング業務なのですが、意外とゲームアプリって、マーケターと開発側の関係が難しい部分があると思っています。現場には現場でゲームのことをしっかり考えているプランナーやプロデューサーがいて、マーケティング側にはマッピングという立場の人がいて。サービス向上のためにさまざまな提案を出していきたいところもありますが、ここのKPIが悪いので改善しないといけないみたいなスタンスだけで踏み込んでいくとゲーム全体のバランスなどのマーケターでは知識が及ばない領域にまで足を突っ込んでしまうということが起こったりします。そういった部分を乗り越えてサービス改善を実施していくためにはどうすべきかというのを考えたときに、より開発現場に近い目線で物事を考えていく必要があるなと思ったんです。

その取り組みの一つとして、あまり現場に負担を掛けずに、現場にとって価値のある分析を提供することをやってみました。

開発現場の手間をかけない分析

グロースハックを行うに当たって、まずは成長の妨げとなっている問題点を洗い出すことから始めました。

スマホゲームの開発サイクルは非常に早く、1週間ごとに更新があったり、毎週末にイベントがあったりと、常に現場は開発に追われています。特に弊社のような中小企業においては、慢性的に人手が足りない状況になってしまうことがあると思います。

そこで少しでも開発の手間を減らして、サービスの成長の手助けになればと思い、自己流で分析を行うことにしました。また、チームにとって価値のある分析結果を提供することで、少しでもマーケティングチームを開発チームの身近に感じてもらえたらいいなという思いもありました。

1. コラボイベントを比較

まずはじめに、過去のコラボイベントにおいてそれぞれどんな結果が出たのかを比較してみました。

コラボイベントとは、有名なアニメやゲームのキャラクターを借りて、ゲーム内でそのキャラクターが出てくるイベントやキャンペーンのことで、売上の向上と新規ユーザーの獲得が主な目的です。 コラボイベントは売上がかなり上がるため、その結果に満足して、自分自身しっかり振り返りが出来ていなかったなと思い、どんなタイトルとコラボすることが結果につながっていたのかを改めて調べてみました。

過去にコラボしたタイトルを並べて、各タイトルのゲームとの親和性と集客力がどのくらいのレベル感なのかを、個人的な独断と偏見で付けてみました。 AからCはアニメ系のタイトル、DからGはゲーム系のタイトルで、DEFは弊社と同じようなモバイル系のタイトル、Gは家庭用のコンシューマーゲームのタイトルになっています。

比較したところ、集客面で期待していたタイトルCとFは、期待通り良い結果を出していたことがわかりました。

前月配信していた広告のユーザー獲得単価と、実際にコラボを実施しているときのユーザー獲得単価を比較してみると、やはりアニメのほうが広告への影響がすごく大きいことがわかり、中には前月の半分ほどの獲得単価で取れたものもありました。

収益面では、タイトルGは別格として、それ以外のタイトルに関しては大きな差はありませんでした。流入してきたユーザーのKPIにおいては、ゲームとの親和性が高いほどLTVも良く、コラボ終了後も課金が伸びているといった結果が出ていたため、マッチしたユーザーが流入しそこから継続的に課金してくれている可能性が高いと言えます。

また、売上とユーザーの流入数が大きく変動していないことから、よりコストがかからないコラボを実現させることで、費用対効果を上げることができるということがわかりました。

弊社と同じようなモバイルゲーム同士のコラボの場合、ユーザーを送客し合うだけで特に費用はかかってないんです。こういったことから、同じようなスマホゲームタイトル同士でのコラボはとても有効性が高いと思いました。

分析したデータを基に色々な効果を考えた結果、コラボイベントはシンプルにタイトル同士の相性で選ぶのが良いということ、そして、コストがかからないモバイルゲーム同士のコラボはお得だということを感じました。

2. 離脱ポイントを分析

次に、継続率があまり良くなかったため、離脱ポイントを分析しました。

ゲームアプリにおけるインストール、チュートリアル突破、レベル10到達などをグラフ化してみると、AndroidとiOSどちらにおいても、レベル10の到達までに離脱数が急増していることがわかりました。

各イベントごとの継続率も見てみると、緑色の線がレベル10を表していて、そこに到達するかどうかで継続率がかなり大きく変わっていることもわかりました。

さらに、2日目に継続率が急激に落ちていることから、2日目の時点でレベル10に到達しているユーザーは高い継続率を出しているのに対して、2日目でレベル10に到達していないユーザーは2日目に離脱しているということがわかります。

分析した結果、レベル10を突破できるかどうかが分岐点になっており、2日目から3日目を継続させる=レベル10に達する可能性が高いのではないかと思い、レベル10に到達したらインセンティブを付与したり、2〜3日目のログインボーナスを増やしたりという施策の提案をしました。

環境の整備

ここまではあくまで、僕個人が自分で調べられる範囲でやっているだけなので、さらに分析を進めたいと思ったときに限界があるなと思いました。もっと現場にとって価値のある提案をしていくためには、環境を整えることが大事だなと。

弊社のゲームアプリはすべて私がマーケティングを担当しており、4〜5つのタイトルを同時進行で進めていると運用だけでもかなり時間がかかってしまうということもあり、通常業務のスピードを上げて、分析にもっと時間を費やせる環境を作りたいと思いました。

そのような環境づくりのために、さまざまな施策を行いました。

まず、複数代理店や複数アプリを一括で管理できるツールを入れることで、意思決定の時間を削減。次に、BIツールを導入してゲームのKPIや広告効果をグラフ化してわかりやすくすることで、レポートの作成時間を短縮しました。

また、自分でデータの収集ができれば、開発チームに手間をかけず、自分が調べたいときに必要なデータが調べられると思い、SQLを使えるように勉強しています。 あとは、重回帰分析や相関の知識というのは、やはりあるのとないのとでは分析の幅が違ってくるのではないかと思い、統計学も少し学んでいます。

こういった個人的な活動やスキルの向上を半分趣味のような感覚でやっていく中で、現場と協力して分析ができる機会が少しずつ増えてきました。

新たな取り組み

新しい取り組みとして、AIを使った分析というのを現場と一緒にやろうとしています。

例えば、継続率をテーマに決めた場合、ゲームにおけるユーザーのステージの進行具合やレベル、課金額、バトルの回数などさまざまなイベントの中から、継続率に関わるKPI(1日のログイン数、バトルの回数)をAIが自動で収集し、継続率が高いユーザーを特定できるような仕組みを、現場の人と一緒に作ろうと進めています。

最後に

半分趣味のような形で調べていることが、やりやすい環境が整っていくのは個人的にはすごくうれしいです(笑) その反面、環境として整備された以上、今後は趣味ではなくきっちりと成果を上げていかないといけないというプレッシャーも良い意味で感じているので、今後もこういった活動をしていき、陰ながらグロースハックのお手伝いができればと思っています。 ご静聴ありがとうございました。

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