はじめに

2018年8月24日(金)に、フラー株式会社主催のイベント「FULLER MOBILE CONFERENCE 2018」が開催されました。本レポートでは、当日行われたトークセッションの一部をご紹介します。

登壇者紹介

Repro株式会社 カスタマーサクセス Bizdevマネージャー 佐々木 翼(ささき・つばさ) 株式会社10X Co-Founder, 代表取締役CEO 矢本 真丈(やもと・まさたけ)氏 AppLift Business Development Lead Japan 黒上 洋甫(くろかみ・ようすけ)氏

ベンチャーのタベリーがグロースハックで何をしてきたか

モデレーター:早速ですが、まずは『タベリー』の説明をお願いします。

株式会社10X Co-Founder, 代表取締役CEO 矢本 真丈氏

矢本:『タベリー』は、あなたにピッタリの献立が10秒でつくれるアプリです。今まで、献立を決める際は事前に冷蔵庫の中にある食材を把握し、買うべき食材を決めた上で献立を検索エンジンで調べていたと思います。つまりレシピサイトなどは、どんな情報が欲しいかが明確にわかっているユーザーに情報を提供していました。

しかし、主婦や一人暮らしの方などは献立を毎日考える必要があり、ここには大きなペインがあります。

そこで、そのペインを解決するために『タベリー』を開発しました。『タベリー』は4つずつレシピが提案され、その中から1つ選ぶとそれに合う副菜や汁物なども提案され約10秒で献立を決めることができます。また、その献立を作るのに必要な食材のリストも出てくるので、献立を決めるだけでなく買い物自体も簡単にできるようになります。

そんな『タベリー』ですが、グロースハックで何をしてきたというと、意思決定の頻度が多い献立を、習慣的に『タベリー』を使って解決する人をいかに増やすかに注力してきました。

モデレーター:そのために具体的に何を行っているのでしょうか。

矢本:「Repro」を使って、ユーザー行動を動画分析しています。 一般的なメディアだとアプリ起動後にまず記事が表示され、その記事を読むといったようにアクションが簡単です。

一方、『タベリー』の場合、“献立を選ぶ”という新しい体験をするため使い方がわからず、初めの体験で離脱してしまうユーザーが一定数いました。その離脱しているユーザーがいることはデータからわかってはいたのですが、なぜ離脱しているかはわからなかったんですね。

そこで、「Repro」を活用しました。「Repro」では、ランダムに抽出されたユーザーが、アプリの画面上でどのように指を動かしているかを動画で観ることができます。その動画を観ながらユーザーが迷っている原因を特定し、その原因箇所に施策を打つことで初回の離脱を抑えています。

例えば次の画面に移行するためのボタンがどれかわからないのか、もしくはそもそも機能自体を理解できていないのかなどユーザーによって問題は異なるので、それを最も効率よく解決するにはどういう実装やコミュニケーションが必要なのかを考えていますね。

モデレーター::どのくらいの頻度で動画をチェックしているのでしょうか。

矢本:目的によって異なるのですが、週1日で約100本観ています。 100本を観るのは大変そうに感じるかもしれませんが、プロダクトを作っていく上で、ユーザーを理解することは大事なので、ユーザーの生の動きを見れるというのは、とても有難いですね。

Repro株式会社 カスタマーサクセス Bizdevマネージャー 佐々木 翼

佐々木:定量的な数字だけでは気づかないことでも、動画だと気付けることが多いですね。「Reproタイム」といって、動画を観る時間を毎週設けているお客様もいたりします。

モデレーター:動画の定量的な使い方はあるのでしょうか。

佐々木:最初のイベント設計が一番大事です。イベント設計の仕方によって見えるものは変わってきます。例えばメッセージを送り合うようなマッチングアプリだと、3回やり取りをして、4回目までやり取りをしないと、その後1週間でユーザーが離脱するケースがよくあります。

どのようにデータを取るのか、どのように体験をさせるのか、どのように課題解決をさせるのかといったストーリーを最初に作っておくことが大事ですね。イベント設計が上手いほど、定性的に観る動画のクオリティも上がってきます。

グロース期を過ぎた後でどう効率化をしていくか

モデレーター:グロース期を過ぎた後はどう効率化していくのが良いのでしょうか。

AppLift Business Development Lead Japan 黒上 洋甫氏

黒上:アプリはプレイ期間が空いてしまうほど戻ってこないことが多いので、それをいかに防いでプレイすることを習慣化させられるかが大事ですね。プレイ時間を伸ばすより、プレイ時間が短かくても毎日利用してもらうことの方が重要です。

モデレーター:他にもDLしたアプリがあるので、起動するのを忘れられてしまうことはよくありますよね。

黒上:例えばゲームアプリは時間が空いている時、暇潰しのためによくDLされますが、その暇な時間が終わるとアプリの存在を忘れられてしまう傾向があります。そのためアプリの存在をもう一度思い出してもらわなければなりません。

ユーザーがどこでどのように離脱しているのかを把握し、広告ではそれを救済できるクリエイティブを使って呼び戻すのが有効です。

モデレーター:やはり、ユーザーは獲得するだけでなく、維持させることも大切ですね。

黒上:費用面でも、ユーザーを維持した方がお得なのではないでしょうか。例えば、CPI 700円で獲得したとしても、ユーザーがそのまま離脱してしまえばそのお金を捨てたことになってしまいます。ですので、いかにユーザーにアプリを継続してもらえるか、離脱したとしてもいかに復帰させるかが重要です。

モデレーター:ちなみに『タベリー』は、離脱や休眠復帰に対して、どのようにお考えですか。

矢本:休眠したユーザーは基本戻ってこないので、初回体験でいかにアプリのバリューを感じてもらえるかが大事だと思っています。どんなに巧みなプッシュ通知を打ったとしても、そもそもアプリに価値が無ければ、ユーザーはまた利用しようと思わないですよね。 最初の体験が良ければ、広告などを打たなくても、リテンションは自然と上がっていきます。なので、まずは価値を感じてもらえるように、プロダクトの質を上げることが何よりも重要です。

理想的なグロースハックとプロモーションのストーリーとは

モデレーター:最後に、皆さんが考える、理想的なストーリーを是非教えていただきたいです。

佐々木:ユーザー体験が飛躍していないアプリがグロースしやすいと考えています。 実際に定量的なデータを見てみると、ユーザーが一気に離脱しているファネルがあって、体験が抜け落ちているゆえに、アプリの良さに気付いてもらえないままになってしまうことが、実は多いのです。なので、ユーザーに各ステップを体験してもらうことがグロースハックをする上で欠かせません。

黒上:しっかりと戦略を練ってプロモーションすることが大事です。どんなプロモーションをしたいのかイメージを持っていない企業が多く、数を獲得するためにただ広告を配信しているケースが多いです。まずは何が必要かを立ち止まって考えてから、プロモーションをしましょう。

矢本:いかにユーザーに寄り添ったプロダクトを作れるかですね。つまり、ユーザーのストーリーにどれだけ寄り添えるか。 ただ理由もなくアプリをDLしてもらっても、ユーザーはアプリを長く使ってくれません。 例えば自分の好きなYouTuberが『タベリー』を紹介した場合、アプリへの印象は良くなり、継続率は高くなります。

プロモーション単体で考えるのではなく、誰がどういうシーンで、どうやって知ってくれたらアプリをよく使ってくれるか、プロダクトとセットで捉えることが大事です。

モデレーター:データを使いながらグロースハック、プロモーションすることの重要性がよくわかりました。本日はありがとうございました!