本記事は、2017年11月15日に開催した 「Growth Hack Talks #7」での発表内容を元にしたイベントレポートです。30兆円を超える巨大市場を抱える不動産業界ですが、現在では古くからの慣習や法規制により長らくIT化が遅れていた同業界にイノベーションが起ころうとしています。「nomad cloud」のご担当者様に自社アプリにおけるプッシュ通知のノウハウをお話していただきました。

登壇者紹介

イタンジ株式会社 福崎元樹(ふくさき・げんき)氏

エンジニア

自己紹介と事業の紹介

イタンジ株式会社でエンジニアを担当している福崎と申します。本日はよろしくお願いします。弊社は「テクノロジーで不動産の在り方を変える」というミッションのもと、2012年に創業した会社です。
本日はアプリを制作したきっかけからリリース後に立ちはだかった課題とその過程で学んだことについてお話します。

『ノマドクラウド』は不動産仲介会社と入居者の間に入って顧客管理からコミュニケーションまでをサポートするBusiness向けのサービスです。お客様がポータルサイトから物件に問い合わせをすると『ノマドクラウド』に自動で物件情報が取り込まれ、その情報をベースに希望条件を自動予測し、その条件に合った物件情報を自動で配信します。
LINEやWebチャットでコミュニケーションを取ることができるのですが、質問の5〜6割はAIで回答しています。

『ノマドクラウド』を使用することで仲介会社は顧客とのスムーズで密なコミュニケーションが可能になり、自動追客できるシステムによって今まで追うことができなったような“見込み”のお客様も逃さず、来店率の向上が望めます。

アプリを作ろうと思ったきっかけ

ある日、デバイス別のセッション数を見たところ、モバイルからのアクセスが20%もあることがわかったんですね。
『ノマドクラウド』はもともとWebメインのサービスとして運営していたため、たとえモバイルWebに対応したレスポンシブデザインであっても使い勝手が良いとは言えない状態でした。しかし、そのような状況でもこれだけアクセスがあるということは、モバイルへの潜在的な利用ニーズが大きいのではないか。そこで以下のような仮説を立てました。

現在、モバイルWebでの使いづらさがモバイル本来の利用シーンを邪魔しているので、これをアプリにすることで使いやすいサービスになり、アクセスの向上が期待できるのではないか。また、外出中にお客様から問い合わせが来た場合、プッシュ通知でお知らせすることで失客を減らしリテンションは上がるだろう。…これらの問題を解決することで、利用率が現在の20%から50%くらいに引き上げることができるのではないだろうか。

こうして、アプリで不動産仲介営業マンの営業活動を変えるという志のもと、開発をスタートしました。目指すのは、不動産賃貸仲介営業をPCではなくモバイルで行うことが当たり前という世界。そしてその世界をイタンジが最初に作り、他社製品と大きく引き離し、一気に差別化したいと考えました。

アプリの開発〜リリース

開発にはアプリ内でWebページの内容を簡単に表示できるWeb viewを使用しました。Web viewはiOSとAndroidごとにアプリを開発しなくて良いため、手軽にアプリを作ることができる。ですので、機能はできるだけ最小限におさえ、工数1カ月以内でのリリースを目指して開発を進めました。
リリース後は早速使ってもらおう!と意気込み、電話を通して全会社の担当者にアプリの利用方法やメリットについて説明しましたが、全く利用されずにセッションはたった7%…。

どこに問題があるのか、実際に現場で働く方々に電話でヒアリングをしてみました。結果、慣れていることもあってWebで満足している、アプリで何ができるのかよくわからない、という主に二つの声が上がってきました。現場のメンバーの率直な意見としては、アプリに興味がないということ。そこでアプリ利用によるメリットを伝えるべく、現場のメンバーに向けて動画を作って配信することにしました。

アプリを使うことでどんな良い影響があるかを具体的に創造してもらうため、使い方ではなく効果の説明にフォーカスした動画を作成。『ノマドクラウド』を使えば「外出中でもプッシュ通知がくればすぐに問い合わせに気づくことができる。即レスすることで、来店率を上げることができますよ」といった内容を動画に入れました。

モバイルの利用率が上がらない理由

これらの施策によって、アプリからのセッションはどんどん増えていきましたが、モバイルの割合は増えるどころか、むしろ減っていく。この状態を打破するために再度現場へのヒアリングを重ねたたところ、私たちがモバイルと不動産仲介会社の特性を理解していないことに原因があるとわかりました。
モバイルを使うのは主に外出中がメインだが、不動産仲介会社の人は物件の情報入力や追客作業、接客がメイン業務のため、そもそも外出することが少ない。しかし、帰宅後や休日はモバイルから見ている。全体のアクセス率とアプリのアクセス率を示したグラフをあわせて読み解くと、不動産業界が全体的に休みの水曜日に全体のアクセスが減っていることに対し、アプリは水曜日でもアクセス率が高く、さらに営業が終わった夜の時間帯にもアクセスが集中していることがわかりました。つまり、業務時間外での利用が最も多かったというわけです。

反省と今後の取り組み

この結果から、リリース前の段階でメインの利用シーンとなる外出時間が少ないことに気づくべきだったと反省しています。開発に着手する手前で、ユーザーがいつ、どこで、何のためにアプリを使うのか仮説を深掘りし、しっかりとヒアリングしていれば事前に気づくことができたのかもしれません。
現在、アプリのアクセス率は好調を見せ、モバイル経由の8割を占めるようになりました。今後は使えば使うほど来店率も向上するなど、アプリのメリットをさらにアピールしていきたいですね。また仲介営業マンのスマホにアプリがDLされたということは、私たちが仲介営業マンのスマホに直接リーチできるということでもあるので、さらに横展開できないか、試行錯誤していきたいと思っています。

まとめ

自社がどういう目的の上でアプリを展開するのか、相手がどんなシーンで利用をするのか、事前に仮説を立ててアプリを作ること。いつ、どこで、誰が、何のためにそのアプリを使うのか、明確なシナリオを創造してから開発することで、より良いアプリが生まれるのではないでしょうか。
私も今回の経験をしっかりと反省し学んだことを今後、良質なサービスへと反映させていきたいと思っています。ご清聴ありがとうございました。


モバイルアプリの成長支援パートナー「Repro」

「Growth Hack Journal」を運営している「Repro」は、アプリ解析・マーケティングツールの提供からユーザ獲得やユーザ定着のためのマーケティング支援等のソリューションまでワンストップで提供、アプリの成長を支援しています。

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