本記事は、2017年7月18日に開催した「アプリの虎 Vol.1」での発表内容を元にしたイベントレポートです。アプリに積極的に投資している企業がどのような考えでアプリに投資しているのか、開発体制はどうなっているのか、マーケティング活動全体のアプリの役割などをテーマに、累計は380万人の利用者を誇る日用ショッピングサイト「LOHACO(ロハコ)」のご担当者様に自社アプリのノウハウをお話していただきました。

登壇者: 土屋文明(つちや・ふみあき)氏、田中久美子(たなか・くみこ)氏

アスクル株式会社 土屋様(写真左)、田中様(写真右)

プロフィール

土屋文明さん

2007年2月~2016年4月まで楽天株式会社にて編成管理部⇒ディレクター⇒プロデューサーを担当。お買い物マラソンやスーパーSALEの企画立案・制作に携わり、スーパーDEALでは新規アプリをリリース。2016年5月にアスクル株式会社に入社。

田中久美子さん

2013年に新卒でアスクル株式会社に入社、現在は文具カテゴリ―Webマーケティングに従事。

自己紹介と事業の紹介

土屋:みなさんこんばんは。本日ご参加の方々の中には、アプリの導入を迷っている方や導入はしたけど運用がうまくいっていないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回の私たちの発表が何かのヒントになればと思い、お話させていただきます。

私は土屋と申します。2016年5月からアスクル株式会社に入社しまして、ロハコの広告販促としてポイントキャンペーン、クーポン施策、Yahoo!JAPANからの集客施策、アプリ面ではプッシュ通知による販促活動を主に担当しております。

田中:続きまして、私は田中と申します。2013年に新卒でアスクルに入社し、現在4年目になります。1年目はグロースハック担当としてBtoC事業のロハコを担当し、2年目以降からは広告販促としてアプリのマーケティングを一人で行う傍ら、サービス全般の販促施策やTVCM制作などのブランディングも行ってきました。2017年の2月からは文具カテゴリーにおけるBtoBとBtoC、両方のWebマーケティングを担当しております。

土屋:アスクルはBtoB向けのオフィス用品通販企業のイメージが強いと思いますが、BtoCの事業も展開しております。それが2012年10月からスタートしたロハコ。ヤフー株式会社協力の元、「くらしをかるくする」というコンセプトを掲げる日用品ショッピングサイトです。お客様数の累計は380万人を越え、アプリのダウンロード数は160万ダウンロードに達しています。ロハコにおけるアプリの売上比率は、2014年から2016年の末までで4倍に成長しました。

その1、“ネットで買うこと”の価値の変化

土屋:ロハコがショッピングアプリを導入する前の2013年〜2014年にかけて、日本におけるスマホアプリの利用者は一気に増加しました。3人のうち2人がスマホでネットを利用し、1日の平均利用時間のうち72%の時間をアプリが占有している状況でした。通販マーケットも変化し、様々な企業がスマホを意識したサービスにシフトしていきました。

その頃は「安く・ポイントを貯めてお得に買い物する」ことが当たり前だった時代。ロハコは商品の魅力をお伝えするため、シズル感のある商品画像や動画を掲載するなど、独自の施策を通してお客様に「お買い物を楽しんでもらう」ことを提案していきました。

2016年に発表された「認知しているECサイトのイメージ」の調査では、「センスが良い、個性がある、おしゃれ」という点でロハコが支持されているということがわかったんです。このように、ネットで買うことへの価値は時代とともに刻々と変化しつつあります。

その2、とにかくつくってみなきゃわからない!

土屋:ロハコを頻繁にご利用いただいているお客様は30~40代の働くママ。そこでスマホアプリを利用している働くママさんにインタビューを行ったところ、2点ほど気付いたことがありました。

「短時間で忘れずに買い物したい」「買う物を思い出せない」「買い忘れがあって困る」このような意見から抽出した課題は、“探してから購入する”という体験だけでは不十分だということ。商品を探すだけでは買い忘れは防げないため、“見て気がつく”状態にしなくてはならないんです。

そしてもう一つ、ロハコが販売の軸にしている日用品は、主に食品や土日のレジャー的な買い物のついでとして購入されているということ。日用品だけでは起点力不足なのではないか。起点となるような食品やレジャーのプロダクトを全面に押し出し、購買のルーティンに日用品も入っている状態に持っていかなければならないと感じました。

そこで、私たちはこの2点を以下のようにアプリで実現できるのではないかと考えたんです。一つ目の課題を解決するために着目したのは、探さないで購買をサポートする「時短」という点。アプリでは履歴から簡単に再購入ができたり、プッシュ通知による買い忘れの防止ができます。

二つ目は、見ていて楽しい「眺め買い」や「画像訴求」による「ついで買い」の促進。また、「まとめ買い」の提案で買い物への興味を喚起させたり、プッシュ通知によるコミュニケーションでロイヤリティの向上を行い、「見たくなる、で購買起点力のアップ」(眺める)を行うということ。

「時短」と「眺める」を繰り返すことで、お買い物が楽しくなるという答えにたどり着きました。

ロハコアプリは、欲しいものを探して買う「目的買い」、眺めて楽しむ「眺め買い」、いつものものを簡単に買う「時短買い」をコンセプトにしています。

※AP=アプリ、SP=スマホブラウザ

田中:実際、現在どのようにアプリが使われているか分析してみますと、時短買いの場合は通勤時とランチタイムに訪問回数が最も多く、眺め買いの場合は就寝前に大きな山ができており、この時間に様々な商品を眺めながら買っている人が多いということがわかりました。この結果から、アプリの元々のコンセプトにあった購買行動がなされていることが認識できます。

ロハコは元々30~40代の女性のお客様が多いのですが、アプリ経由でお買い物いただいているお客様は平均年齢が下がっていますので、今まで訴求できていなかった新たなお客様にリーチできていると考えております。また、Yahoo!プレミアム会員の比率も高く、年間購入回数が高いお客様の多くがアプリを利用していることもわかりました。

その3、キョリが縮まる!アプリだけのコミュニケーション

田中:プッシュ通知の運用については弊社でも自動化は行っていますが、一部のプッシュについては、細やかなセグメントの設定をして距離を縮めたコミュニケーションを大切にしながら運営しております。

例えば、ロハコの中で猫用品を見ているお客様に対し、2月22日の猫の日に「今日は猫の日だにゃ」と送ったところ、通知の開封率が急激に上がるということがありました。また、雪が降った日の場合、すでに雪が降っている関西のお客様には「雪、大丈夫ですか?」という通知を、逆にまだ雪が降っていない関東のお客様に対しては「雪対策できている?」と通知を送ってみたり。同じ訴求内容でもメッセージが違うだけで、お客様の受け入れ方は大きく違ってくるのではないでしょうか。プッシュ通知は一方的なコミュニケーションだと捉えられがちなのですが、弊社では双方的にコミュニケーションがとれるツールであると捉えております。

さらにアプリを使っているお客様にメリットやインセンティブを感じていただくため、2時間限定のアプリクーポンという施策を実施しました。プッシュ通知で告知を行いアプリ内メッセージでクーポンをお知らせ。このクーポンの利用率は8割を超えることもあり、ロハコ内の他クーポン利用率とは大きく差がついています。メルマガでは実現できないリアルタイム性のある施策なので、ぜひみなさんもプッシュ通知を活用いただければと思います。

つづいて、弊社の「ハッピーオンタイム」という受け取りサービスについて紹介します。これは1時間単位で受け取り時間の指定ができるサービスで、配達時間の確認や配送状況、配送車がどこを走っているかをアプリ内またはPCサイト上で確認することができるもの。アプリでは到着の10分前になるとプッシュ通知で「まもなく荷物が届きます」とお知らせがきます。現在、宅配サービスにおける配達時の不在が社会問題になっていますが、一般的な不在率が20%であるのに対して、このハッピーオンタイムでは不在率を2.5%まで抑えられています。

まとめ

価値観や環境は常に変化しています。導入の際もアプリが必然といった環境でしたし、やらない理由が見あたらなかったため、私たちはチャレンジしました。そして、苦労も失敗もたくさん経験しながら学んだ多くのことを、アプリに反映させています。

みなさんも私たちと共にアプリを盛り上げていきましょう。ご清聴ありがとうございました。