本記事は、2017年9月14日に開催した 「Growth Hack Talks #6」での発表内容を元にしたイベントレポートです。アプリ業界で今もっとも勢いのある市場の一つである漫画アプリ。大手出版社から新興ベンチャー企業までが漫画アプリを提供し、群雄割拠の様相を呈しています。「MANGA ZERO」のご担当者様に自社アプリにおけるプッシュ通知のノウハウをお話していただきました。

登壇者紹介

株式会社Nagisa 樋田顕(とよだ・けん)氏

執行役員 漫画プラットフォーム事業部長

自己紹介と事業の紹介

私は大学を卒業後、ユナイテッド株式会社に新卒で入社し、アドテクノロジーを主体としたトレーディングデスクの新規事業に参画し広告代理業務を行なっていました。2014年からNagisaに入社し、アプリのプロモーションやプロデュース業務を経て、現在はマンガ事業を担当しています。

Nagisaの事業はアプリデベロッパー。現在はマンガ、エンタメ、インキュベーションの3つの軸でビジネスを集約しています。 エンタメはゲームのことで、今はカジュアルゲームではなく、より課金されるようなリッチカジュアルゲームの領域を攻めています。インキュベーションに関しては、基本的に新規事業ですね。新規ビジネスや新しいユーザーのニーズに答えてビジネスを展開していくという目的があります。直近ではここから『101』という生放送サービスがリリースを予定しています。

本日はNagisaのマンガビジネスについてお話をさせていただきますね。

ビジョンから生み出されたプラットフォーム

私たちはマンガビジネスにおいて、「面白い作品と作家を、世の中の人にどんどん届けていく」というビジョンを掲げています。 シンプルに大きい流通プラットフォームを作っていくこと、1作品あたりの売り上げをしっかりとあげて出版社と作家に還元していくこと。そして新しい作品を生み出せる土壌を作っていきたいと思っています。

サービスの主軸として、レンタル販売によるマンガの読み放題サービス『MANGA ZERO』を展開しています。これは、毎日無料チケットを配布し、ユーザーは1,000作品以上が無料で読めるというモデルです。もともとは広告収益だけで運営していたのですが、1年半前から課金を導入して現在は広告と課金の二つのマネタイズでビジネスを伸ばしています。

今は月間20億PVを超える大きなメディアに成長しました (2015年12月リリース)。累計550万DLでMAUは150万を突破、webを入れると200万MAU。1作品あたりに対するユニーク読者数は200万人を超えるほど、大きなメディアとして成長しています。

新潮社さんから刊行している「ヒル」は、掲載当時から多くの人に読んでもらっている作品なんですが、体外的なアドネットワークやSNSを活用したプロモーションを駆使した結果、『めちゃコミ』さんや『コミックシーモア』さんなど他の電子書店での販売や単行本の重版が決まりました。 この結果をもとに新潮社さんの方で「ヒル2」を企画するなど、実績の一つとして新しい作品を生み出す土壌を作れたのではないかと思っています。

『MANGA ZERO』は出版社にとってメリットが小さいビジネスモデルのため、作品を提供いただくにはハードルが高い部分もありますが、出版社との関係を強化しながら作品数を堅調に伸ばしております。

大事なのはKPIの設定

弊社はベンチャー企業ですので、限られた予算の中でどうサービスを成功・成長させていくか、ずっと頭をひねってきました。

では、どのようにして先ほど述べたような実績を積むことができたのか。今日はユーザーがサービスに定着するまでのUXフローを分解して、どう施策を展開していくべきかをテーマにしたグロースハックの事例についてお話させていただきます。

弊社は大きく分けてDLと継続率とARPUをメインKPIとして設定しています。 多くのDLを獲得して集客に成功したとしても、継続率が低いと中長期的に見てサービスは伸びません。このDLと継続率がサービス定着のエンジンと言われています。そして継続率とARPUがLTVを最大化していくために必要なエンジンです。 なので、この3つを捉えた上でさらにKPIを分解し、サブKPIを決めて、それを一点数値をあげるように継続していくというような感じです。

高い継続率が重要

今回は重要度の高い継続率について、さらに掘り下げてお話ししていきます。

継続率を重要視する理由として、サービスの継続的な成長に必須であることと、ユーザーの本質的な満足度が数値として出てくること、この2点があります。 継続率の維持は重要度が高い一方で難易度も高い。人の習慣化を生み出すということは本当に大変なことなのです。想像してみてください。英会話や筋トレを毎日続けて自分の習慣を生み出すだけでも相当大変なことじゃないでしょうか。それを何にも知らないユーザーに対して、初めて出会ったアプリを毎日、継続的に使ってもらう。非常にハードルが高いと感じるはずです。 そこを意識した上で継続率にフォーカスしていくことが大事。継続率には収益化やダウンロードの最大化などがありますが、計算式で成り立たない、非常にブラックボックスで捉えづらい指標でもあるのです。

例えば、30日後の継続率を10%、20%、30%の3パターンで考え、シミュレーションしてみましょう。 30%の場合、10%と比較すると1年後には最大MAUで35万人ぐらいの差が出てきます。高い継続率の維持は、広告投資や専任の担当者をつけるなど投資をしてでも、絶対的な要素として捉えるべきでしょう。

継続率が高くて収益性も高いと、予算があればガンガン投資しようという判断ができる。継続率が高いという時点で価値があるので、収益性が低くてもそこにはチャンスがあります。 カジュアルゲームによくあるケースですが、収益性が高いのに継続率が低いものは逆に大変なので、この場合、サービスとしてどうすべきかを先に考えた方がいいですね。

継続率を上げる前に、まずユーザーが習慣化するまでのUXを整理する必要があります。 次に各タイミングについて。フローを整理した上で、各タイミングにおけるサービスのサブKPIというものを継続率が高いユーザーの条件から逆算し、分析して定義しましょう。 継続率が高いユーザーの条件は、「Repro」やGoogle アナリティクスなどで確認することができます。 この二つの行程を経て、継続率をあげるための施策を展開しはじめます。

マンガアプリにおけるUXフローは基本的に「読書前、読書中、読書後」が大きなUXになります。あとはユーザーがこれを繰り返すかどうか。私自身も毎日いろんなマンガアプリを見ていますが、意外とこのサイクルが大事だったりするんですね。

中でも1番ハードルが高いのが、読書前。ユーザーは受動的な方が多く、アニメや映画、ゲームなど、たくさんの魅力的なコンテンツの中で、知らない作品はなかなか手に取ってくれません。 そこでいかにその時間を割いてもらううか、読んでもらう時間を奪うかを考えてみましょう。

これはサブKPIを簡単にしたものですが、左側がUXフローになっていて、上から順番に累計読書作品数や作品の詳細PV数、ビュアー開始数やビュアー最終ページ到達率など、UXに対して重要なものをKPIとして全部書き出しています。 次に、何が一番大きなインパクトを与えるか議論し分析する。そこからその中で決めたサブKPIに向けて施策を詰める。こうすることで、ある程度の継続率の上昇が見えてくると思います。

GOOD事例

それでは、難易度の高い読書前の施策について、成功事例を4つご紹介しましょう。

その1、チュートリアルの訴求A/Bテスト

ユーザーがマンガを読む前に、いろんなパターンで訴求を行います。 「読者コメント訴求」「編集部コメント訴求」「読者数訴求」「特集訴求」「シーン訴求」それぞれの訴求で継続率を同時検証しました。結果、読者コメント訴求を見たユーザーの翌日継続率が圧倒的に高いことがわかったんです。読者のコメントはチュートリアル以外にも読むモチベーションを高める効果が見込めるようでした。

その2、雑誌風まとめ読み機能

トップ左側にタイトルがあり、タップすると人気作品が一覧で読むことができます。雑誌を読んでいるような感覚で多読体験ができる機能で、1ユーザーあたりの作品読書数や最終ページ到達率、さらにチケット消費数が1.5倍向上し、多読体験が促進されました。 初回セッションにおける多読体験がその後の継続率に大きな影響を及ぼすので、これは成功した事例と言えますね。

その3、可変度の高いTOP画面の設計と運用

トップ画面のセクションが全て管理画面から見えるようになっているので、ユーザーの行動や反応に合わせてそれを上下させています。この施策によって全体のCTR(タップ率)が115%アップしました。 ランキングはキラーコンテンツのため常にデータを見ながら運用しているのですが、ランキングの近くに訴求したいものを置くことでタップ率が上がるので、良いサイクルを回せていると思います。

今はユーザーの反応やセクションの訴求力にあわせた運用ですが、今後はタップ率にあわせてユーザーごとに画面を自動生成してくれるように仕組みを作っているところです。 管理画面では作品のリストをドラッグ&ドローで動かせるようにしており、公開したくないセクションがあれば非公開にするなど、ユーザーの反応を見ながら全てコントロールできる設計になっています。

その4、ユーザーの“行動の結果”として送るプッシュ通知

連載ものや期限付き作品を読んだユーザーに対して、更新あるいは公開終了間近の際、作品名とあと何日で終了するのかをテキストで送ってあげます。これは非常に有効な手段ではありますが、重要なのはマジョリティを捉えるべきだということ。これによって、プッシュ通知開封率が120%改善されました。

BAD事例

さて、ここからは失敗事例を2つ、ご紹介しましょう。

雑誌風まとめ読みの機能をチュートリアルに入れたらどうなるか試したところ、継続率が全体で15〜20%ほど下がってしまいました。これはリッチすぎるものや情報が多すぎるものは新規ユーザーから避けられる、という結果が顕著に出た事例です。

もう一つ、弊社はマンガ×動画に力を入れているのですが、この掛け合わせはSNS上での反応やバイラル効果がとても大きく出るんです。『MANGA ZERO』は出版社の作品をどんどん世の中に広めて売り上げを上げていくことがミッションなので、これはぜひにと思ってアプリの中にも入れてみたところ…。 動画アドと間違えられてしまい、ほとんど読まれませんでした…。

その他の事例

これは良くも悪くもない事例ですが、サムネイルサイズによってタップ率の変化があるようで、細かく画像をたくさん載せるよりもシンプルで見やすい大きめのグリッド型で表現する方がCTRは高くなっています。 PV/セッションは低いですが、このパターンだと継続率が高くなる。右側はPV/セッションは高いけどCTRと継続率が低い。 結局、初回体験においてはできるだけシンプルにするのが重要なことなのかもしれません。

まとめ

習慣化するまでのUXフローをしっかり分解すると、グロースハックが明確になります。 グロースハックの優先度はフェーズにもよりますが継続率を上げることが後々高い収益性を得ることができる。収益性はあとからでも十分にグロースハックできるし、改善もできます。

また、テキストのフォントや色、表現を変えるといった小さい施策は大前提で、大きくUIを変えていかないと数値は動きませんので、そこは率先してやって行くべきかと思います。 エンジニアにとっては大変かもしれませんが、同時に検証できる仕組みというのは土下座してでも整備した方がいいですね。取得したデータにはノイズが入ってしまうこともあるので、UIや課金画面、チュートリアルも全て同時に検証しましょう。そうすることで、正しい情報が得られるはず。 ご清聴ありがとうございました。


モバイルアプリの成長支援パートナー「Repro」

「Growth Hack Journal」を運営している「Repro」は、アプリ解析・マーケティングツールの提供からユーザ獲得やユーザ定着のためのマーケティング支援等のソリューションまでワンストップで提供、アプリの成長を支援しています。

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