2019年2月、AppleはiOSアプリのサブスクリプション(定額課金)におけるいくつかの変更点を発表しました。一回限りのアプリ課金ではなく、定期的に課金が期待できるサブスクリプションは、多くのモバイルアプリにとって欠かすことのできないビジネスモデルへと変化を遂げています。今回のAppleの変更によって、今後どのような影響が予測されるでしょうか?

ユーザーが「サブスクリプションの管理」を簡単にできるように。解除・登録のハードルが下がった。

2019年2月8日にリリースされたiOSのアップデート (iOS 12.1.4) により、ユーザーは簡単にサブスクリプションの管理ができるようになりました。Appleは、App Storeのユーザープロフィールのトップページに「定期利用の管理」ボタンを追加したのです。

今までは「設定」からApple IDを入力しなければならず、サブスクリプションの解除方法が分からずに苦情を言うユーザーが続出していましたが、今回のアップデートによりこの問題は緩和されるでしょう。

また、巧みな手を使ってユーザーを無理やりサブスクリプション登録させる悪質なアプリに対して、ユーザーが解除方法がわからないために課金し続けるのを防ぐことにも繋がります。そして最も重要なポイントは、サブスクリプションを簡単に解除できるとユーザーが認識することで、登録することへのためらいも少なくなる可能性があると言う点です。

サブスクリプションを悪用する詐欺アプリに注意!Appleがついに規制に動く。

2017年には、App Storeのサブスクリプションモデルによる収益は106億ドル(約1兆2000億円)にも上っており、2022年には757億ドル(約8兆5000億円)にまで成長すると言われています。このように、多くのアプリがサブスクリプションからの収入に頼るようになるにつれ、このモデルを悪用した悪質なアプリが目に余るようになっています。

有名な詐欺アプリとして挙げられるのが『QRコードリーダー』。文字通りQRコードを読み取るアプリですが、この機能はiOS11以降、カメラのデフォルト機能として搭載されているにも関わらず、2018年10月時点でアメリカのApp Storeにおける最も収益を上げたアプリの218位にランクインしていました。日本のストアでもユーティリティカテゴリーでトップ20に入るアプリです。

これは詐欺アプリによくある手法を利用しており、アプリを開くと大きなスタートボタン(その下に読むことも困難な小さな文字で書かれた有料版の料金情報)が表示され、ボタンを押すと有料サブスクリプションの無料トライアル期間に入り、その後すぐに有料に切り替わるといった手口が使われていました。 これらの悪質なアプリの出現を見かねたAppleは、サブスクリプションに関するガイドラインを改定せざるを得なくなりました。

ガイドラインには、ユーザーにサブスクリプション登録を促すためのノウハウとともに、サブスクリプションの料金と期間を明示しなければならないことや、「年間でいくら割引になる」といった内容やそれに類似する広告のコピーは、ユーザーが実際に払うことになる金額よりも大きく表示してはいけないこと、また、無料トライアル期間が終わったあとは自動的に有料のサブスクリプションに更新されることを明記しなければならない、といった内容が記載されています。

サブスクリプションをディスカウント価格で提供可能に

2019年2月22日、Appleは公式HPにて、自動更新サブスクリプションを利用しているアプリは、既存のユーザーや離脱ユーザーに対して課金金額をディスカウントして提供できるようになることを発表しました。

これまでは、無料トライアル・都度払い・前払いの3つの導入特典から選択し、新規のサブスクリプション登録ユーザーのみにしかディスカウントを提供できなかったのに対し、今回の発表内容が実現することにより、サブスクリプションを解約してしまったユーザーのリエンゲージメントや、既存のユーザーにサブスクリプションのアップグレードを促すことが可能になります。

また、Appleの提供するレシート検証を行うことで、自動更新サブスクリプションを解除したユーザーを特定することができます。これにより、自動更新が実際に解除されてしまう前にユーザーに対してディスカウントのオファーを送ることができ、離脱を未然に防ぐことができるのです。

このシステムを利用するためには、まずApp Store Connectの「ユーザーとアクセス」でアクセスキーを生成し、アプリ内課金ページで、各製品用のディスカウントオファーを作ることになります。そして最新のXcode 10.2ベータ版をDLし、新しいStoreKit APIを実装することで利用できるようになります。

実際にこのサービスが開始される具体的な日時は公開されていませんが、Appleの公式HPでは近日公開とあるため、できるだけ多くのユーザーに有用なディスカウントを提供するためにも、まずは準備を整えておく必要があると言えるでしょう。

サブスクリプションモデルの今後

2018年上半期の時点で、App Storeにあるアプリのうち88%は無料のアプリであることがわかっています。今回のAppleの発表により、サブスクリプションを主な収入源とする「無料」アプリはさらに増えていくことが予想され、この数字はさらに向上していくのではないでしょうか。

しかしながら、サブスクリプションモデルの採用が必ずしも収益に繋がるとは限りません。今日、多くのユーザーはアプリに限らずNetflix、Amazonプライムなどさまざまなサブスクリプションに登録しており、それが増えるにつれユーザーはその中から本当に自分にとって価値のあるものを選び、そうでないものは排除していくでしょう。

詐欺アプリなどの影響により、ユーザーが今まで以上にサブスクリプションに対して審美眼を持っていることは明らかです。 ユーザーがサブスクリプションの管理を簡単にできるようになったことや、ディスカウント価格でサブスクリプションを提供できるという新しいサービスを踏まえた上で、もう一度、自身のアプリが提供できる最大限の価値を見直してみるのも良いかもしれません。

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