2018年9月にiOS 12がリリースされてから、すでに半年が経過しています。このバージョンでの主な変更点として、スクリーンタイムの追加のほか、プッシュ通知周りに関する仕様の変化がアプリ事業者の間で以前話題となっていました。

具体的な変更要素としては、以下のものが挙げられます。

  • プッシュ通知の配信を簡単にOFFにしたり、通知音を消したりすることが可能に。

 

  • プッシュ通知がアプリごとにまとまって表示され、一括で消去も可能に。

以上の変更点については過去のGHJ記事でも詳しく取り上げてありますので、詳しく知りたいという方はこちらの記事をご覧下さい。

iOS 12での変化は、通知の煩わしさに悩まされることがなくなるという点でエンドユーザーには歓迎されましたが、プッシュ通知の開封率及び許諾率が低下するのではないかというアプリ事業者の懸念も生みました。しかし、最近発表された海外の調査結果によれば、その心配は杞憂に終わり、特にユーザーのエンゲージメントに変化はなかったようです。

iOS 12になっても開封率、オプトイン率ともに変わらず。マーケターは喜ぶべき?

主に調査は、デジタルファースト型と実店舗・オンライン併用型を合わせた「小売アプリ」で行われました。300万人もの小売アプリユーザーの行動を調査した結果、特にiOS 12のリリース前後でプッシュ通知の開封率は変動していなかったとのことです。実に半分以上(54%)のアプリで開封率の変化量がゼロという結果になりました。デジタルマガジンなどの「メディアアプリ」でも、同様に開封率の低下などは見られなかったといいます。

また許諾率に関しても、調査対象すべてのアプリの平均を取ると51%程度となっており、iOS 12の導入前後でほぼ変化がないことが分かります。

Overall(全アプリ)、Retail(小売アプリ)、Media(メディアアプリ)のプッシュ通知許諾率の推移。左がiOS 12リリース前、右がiOSリリース後。 参照: https://appdevelopermagazine.com/ios-12-notifications-did-not-change-user-behavior-report-says/

 

リリース当時はiOS 12へのアップデートによる開封率などへの悪影響が危惧されていましたが、今のところ特に目立った変化はありません。これはAppleにとっては想定外の現象として捉える向きもあります。 Appleはマーケターではなくエンドユーザーに対する機能性を重視する傾向を強めていることから、ユーザビリティを高めるためにさらにプッシュ通知の表示について制約を加える可能性も否定できません。eMarketerによれば、競合であるAndroidのプッシュ通知許諾率は91%と、iOSと比べて高い水準となっており、この差を両者のマーケターに対する態度の差として捉えることもできるでしょう。

まだ意外と利用されていない?エンゲージメント率アップに活用できるiOS 12のプッシュ通知機能

iOS 12でのプッシュ通知周りの変更点は、エンドユーザーにとっては煩わしい通知から解放されるポジティブな変化とされた一方、アプリ事業者にとってはCRM施策に制約がかかるネガティブな変化として取り上げられていました。しかし、iOS 12で初めて利用できるようになったものの、まだそこまで広く活用されていない新機能も存在します。それを以下で2つご紹介します。

プッシュ通知の表示内容にカスタム画像を含めたりすることが可能に

iOS 12から、「Notification Content Extension」が利用可能になり、プッシュ通知の表示内容をかなり自由にカスタマイズできるようになりました。下画像のように通知の内容をキャッチーなものに変更することによって、開封率の向上が期待できます。

この詳しい実装方法についてはqiitaの【Xcode】Notification Content Extension で Notification のカスタマイズ (iOS12対応版)を参照してください。

 

プッシュ通知の許諾ダイアログを出さずに、お試しプッシュ通知を送信可能に

iOS 12ではプッシュ通知を試しに受信する機能、「Provisional Authorization」も導入されています。以前は通知を行う前に必ず許諾ダイアログを表示する必要がありましたが。これを導入することによって、まず一度ユーザに通知を受信してもらい、その上で許諾するか否かを判断してもらうことができます。ユーザーのエンゲージメント向上という観点で一番避けるべきなのは、ユーザーがアプリを使用し始めてすぐにプッシュ通知の許諾ダイアログを出してしまうことだと言われています。しかしながら、今のところ起動時にプッシュ通知送信の確認ポップアップが表示されるアプリが多いというのが現状です。

そこで「Provisional Authorization」を上手く活用すれば、許諾率を向上させることが可能になるかもしれません。実装方法はqiitaのiOS12 の プッシュ通知お試し受信機能 Provisional Authorization をいろいろ触ってみたをご覧ください。

参照: https://www.gaprot.jp/pickup/provisional-authorization

iOS 12リリース後のマーケターの懸念は払拭され、開封率や許諾率に影響がないことが判明しました。それでもあなたのアプリで、プッシュ通知の開封率や許諾率の低さといった問題を抱えている場合は、上で紹介した新機能の導入も一考の余地があると言えるでしょう。そもそもどんなプッシュ通知が有効かよく分からないという方は、こちらの記事をお読みください。