アプリ事業をグロースさせてきた先駆者(Pathfinder)を取材する連載企画「Pathfinder’s Story」。

第1弾の今回は、レシピ動画数国内No.1の『クラシル』を運営するdely株式会社(以後、delyと表記)のストーリーをお届けする。2016年にクラシルをリリース以降、2018年7月にはヤフー株式会社と戦略的パートナーシップの提携、2019年3月に女性向けメディア『TRILL』の運営会社を連結子会社化と、多様な事業展開を続けるdely。

今回はマーケティングを担当する野村氏、橋本氏に、アプリグロースのためのこれまでの取り組みと今後の展望について伺った。

 ※本記事に記載したdely、クラシルに関するデータ等はすべて2019年8月1日取材時点のものです。

プロフィール 

野村 知己(Tomoki Nomura)/執行役員・マーケティング部 

2009年九州大学卒業後、インターネット広告代理店に新卒入社。アプリに特化したソリューション事業を責任者として立ち上げ、大手企業を中心にコンサルティングを行う。2018年1月よりdelyにジョインし、オンライン/オフライン問わずマーケティング全般を統括。2019年4月よりマーケティング担当執行役員に就任。

Twitter: https://twitter.com/nounashi___

 橋本 勇人(Hayato Hashimoto)/マーケティング部・CRM 

新卒でリクルートコミュニケーションズに入社後、2社目のキャリアとなるdelyに2019年4月からジョイン。マーケティング部に所属し、クラシルアプリのMAU・リテンションレートの向上という2つの目標達成のために、CRM担当として日々改善を重ねている 

Twitter: https://twitter.com/hsym3_

レシピ動画数国内No.1を実現した、クラシルマーケティング部の組織体制 

 ークラシルのサービスについて教えてください。 

kurasiru

野村:クラシルは「きちんとおいしく作れる」をコンセプトに、管理栄養士監修のもと「かんたんにおいしく作れるレシピ」を提供しています。現在、アプリのダウンロード数は1,800万以上に達しており、レシピ動画数は3.2万本以上と国内で最も多くのレシピ動画を配信しています。1日あたりの配信数にすると、約50本ほどですね。 

 20〜40代の女性がメインターゲットで、料理をする頻度が高いユーザーが多いため、冷蔵庫にあるような食材ですぐに作れたり、普段あまり使わない調味料は極力使わないようにするなど、日常的に使いやすいレシピを中心に提供しています。 

 

 なぜクラシルはレシピ動画数国内No.1を目指し、それを実現できたのでしょう。

kurasiru

 野村:クラシルではサービス開始当初、ユーザーに満足していただくためにも、シピを検索したときに質・量ともにユーザーのニーズに十分応えられる状態を目指していました。レシピ動画数が国内No.1になることでプレゼンスも高まるので、それを目標にしていたというわけです。実際に国内No.1になれた要因としては、動画制作の生産性の高さと、仕組み化の徹底が大きかったかなと。

 クラシルは、スタートアップには珍しく、マーケティング部の中にコンテンツ制作チームがあるのが特徴です。SNSのグロースチームもマーケティング部に紐づいています。制作から効果検証までのPDCAを高速で回すことができるような体制を作り上げてきたことで、サービスとしてユーザーに届けるもの全てを一気通貫して制作できるようになりました。 

 

ー制作チームがマーケティングチームに統合されていたからこそ、動画の制作も効率よくできるようになったのですね。 

 野村:そうですね。もちろん、量だけでなく質にもこだわってきました。クラシルがユーザーに提供するサービスは「70 億人に1日3回の幸せを届ける」というミッションにすべて紐付いています。 

 ミッション実現や目標の達成はもちろん、ブランド価値の向上の観点からも、マーケティング担当とレシピ考案者、編集者、デザイナーなどがしっかり意思統一をし、クリエイティブのトンマナや、「誰のために何を作るか」という施策の方向性について議論を交わす必要があります。 

一つひとつのコンテンツの制作にしっかりとマーケティングの意思を乗せて、スピーディに改善を重ねることができる体制だからこそ、質と量の両方を保ちながら多くのコンテンツを作ることができているのだと思います

 

kurasiru

「入り」と「出」のバランスを意識したマーケティング戦略 

 ーアプリマーケティングを進める上で気を付けていることはありますか? 

 野村:マーケティングを進める上で当たり前ではありますが、ユーザーの「入り」と「出」のバランスには気をつけていますね。 

クラシルの主な収益源は、企業タイアップ等の広告収益、アプリ内に表示されるディスプレイ広告収益と、ユーザーによる有料課金です。このうち特に後者2つのモデルは、「いかにサービスにユーザーを集め、継続してもらうか」が、収益を大きく左右します。普段から「今の『入り』だと、リテンションはこれくらいだからUUはこれくらいになるだろう」と推移を予測して、それぞれに対しての打ち手を考えています。
 

ー「入り」の施策だと、最近はどのような領域に注力されているのですか。 

 野村:以前はマス広告を出したことなどもありましたが、基本はデジタル広告が中心ですね。 

一方で広告以外でも、「アプリやウェブ(オウンドメディア)以外でユーザーとの接点をいかに持つか」というのは非常に重要なので、最近では改めてInstagram力を入れています。これまではシンプルにレシピ動画を投稿するアカウントでしたが、よりユーザー目線に寄り添ったコンテンツ、運用に変えていくことで、フォロワー数は220万人を超え、国内のレシピ動画アプリが運営するInstagramではNo.1のフォロワー数を持つアカウントへと成長しました。 

 

ーインスタでもNo.1に!具体的にはどのような施策をとられたのですか。 

 野村:たとえば、「もやしを使ったレシピ3選」など、これまでのようにレシピ動画を1本だけ紹介するのではなく、カルーセルにしてまとめ動画にして出す施策は効果的でしたね。 

 公式Instagram: https://www.instagram.com/p/Bxjnib5Fyr7/ 

 日常的に使えるもやしを使ったレシピ○選、キャベツを使ったレシピ○選など、そういったいくつかのレシピをまとめた動画のほうが、一つのレシピ動画が流れてくるよりも保存してくれることがわかりました。 

 この施策も特定の仮説を持って実施しているんですが、保存が伸びるとエンゲージメントが高くなって「発見」タグにも出やすくなりますし、ユーザーの目に触れる機会が増えます。これはあくまでもほんの一例ですが、常に「誰に対して何を提供するか」という視点を持ってPDCAを回しています。 

 

ー「出」を防ぐための施策、アプリ内マーケティングにはどのように取り組んでいるのですか。

kurasiru 

 橋本:5月ごろから、Reproを導入して、アプリ内マーケティングにより力を入れるようになりました。以前は自社リソースでグロースのための細かい開発を進めていたのですが、やはり自社だと限界があると考え、コストパフォーマンスが良いと感じたReproを導入することにしました。 

 現在は、MAU・DAUの増加を目的に、ユーザーを複数のセグメントに分けて日々施策を打っています。 

 たとえば新規ユーザーの定着率向上に取り組む場合、「インストール初日に特定の行動をするユーザーは、継続率が高い」といったユーザーの行動傾向を、分析チームと連携して明らかにしていきます。その分析をもとに、「理想のユーザー体験」をしてもらうためのアプローチを、開発・クリエイティブチームと協働で設計するという流れです。 

 

 ーアプリ内マーケティングを進める上で気をつけていることなどはありますか。 

 橋本:「ユーザーの気持ちを汲み取る・推し量ること」を大事にしています。 

 データを見ながら課題設計をする際に「〇〇率が低いから〇〇をする」と考えるのではなく「どうして〇〇率が低いのか、何でこういう傾向をとるユーザーがいるんだろう」というように、ユーザーの状況をまず考えるようにしています。 

 そのときに、「こういうユーザーだから、こういう行動をとるのではないか」という仮説を作ります。そして、仮説の精度を高めるために、定量調査を定期的に実施したり、ユーザーインタビューをしたりしています。 

 ーかなり細かくリサーチをされているのですね。具体的には、どのような方法でリサーチをしているのでしょうか。 

 橋本:定量調査・定性調査ともに、セグメントを細かく切ってリサーチすることにはこだわっています。料理はお子様の有無など、ライフステージがどこなのかによって提供すべきコンテンツが変わるという特徴があります。ここを踏まえて、どこのセグメントに値するユーザーなのかを意識しながら調査を進めています。 

今後は、「食卓を通した暮らしをあたたかくする事業」を展開 

 ー今後のクラシルの展望を教えていただけますか 

kurasiru

野村:今クラシルが提供しているサービスバリューは「きちんとおいしく作れること」です。 

 しかし、料理の悩みは「おいしく作れるかどうか」だけでなく、献立を考えることや買い物に行くこと、食事の後片付けなど、本当にさまざまです。そういった料理にまつわるユーザーの悩みを考えたときに、今のクラシルに足りていないこと、ユーザーに解決策をどのように提供していくかを考えています。 

クラシルのサービスミッションは「70億人に1日3回の幸せを届ける」です。それを実現するために、どういうステップを踏んでいくかを常に考えています。 

僕らが届けたいことはキッチンに閉じていません。例えば「あたたかいごはんが中心にある家族の団らん」「みんなでおいしいごはんを食べて、満足そうにごちそうさまと言ってる瞬間」というような、「あたたかいくらし」という考え方を大事にしています。そのために、暮らし自体をより豊かなものにし、事業領域をどんどん拡張させていきたいと考えています。 

 今展開している事業はレシピ動画サービスがメインですが、今後提供される機能やユーザーに向けた価値も変わっていくと思いますね。そのくらい、食の領域は解決すべき課題も多いと感じています。

 

 ー今マーケティングに携わっているおふたりは、今後の個人の展望をどのように考えていますか 

 橋本:個人のマーケターとしてというよりも、delyの仲間と一緒に会社をどうグロースさせるか、という思いが強いです。 

今後事業領域が拡張し、解決すべき課題も広がっていくので、会社の成長に合わせて自分自身もより大きな社会課題だったり大きな事業課題を解決できる人材に成長したいと考えています。 

kurasiru

 野村:僕は、どのようなサービスもグロースさせられるような人物になりたいと考えています。今のクラシルもそうですし、delyという会社の新規事業もどんどん立ち上がっているなかで、しっかりとグロースさせて会社に貢献できる人材でありたいし、そうでなければいけないなと。 

 ー最後に、delyに必要な人材、採用したい人材像を教えてください。 

 野村:今はdelyの目指す事業展開に対して、圧倒的に人が足りていない状況です。クラシルはまだまだ成長途上のサービスですし、先程もお話したように、掲げるミッションを達成するために、どんどん解決する課題の範囲を広げていきます。 

 これからまたアクセルを踏んでいくフェーズに入っていきますし、delyという会社も、どんどん新しい事業にチャレンジしていきます。一方で、それを支えるマーケティング組織では、主要ポジションが数多く空いており、優秀な仲間を常に求めています。いまのdelyは、非常にチャレンジングで成長性の高い環境を提供できると思います。 

 様々な職種で募集していますので、「食」という大きな課題で仕事をしてみたい、チャレンジングな環境で大きな裁量を持って働きたい、といったモチベーションをお持ちの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。  

 募集ポジションはこちら

※こちらの「マーケティング部」の箇所をご確認ください。  

 ー 野村さん、橋本さん、インタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!