株式会社マーケティングアプリケーションズ、ビジネスディベロップメント部の部長の山中です。目下の主なミッションはリサーチモニターの獲得と管理です。

今回は、その中で最も注力しているアンケートアプリ『ポケットアンとケイト』の戦略策定について、失敗談も含めて洗いざらい赤裸々にお話してしまおうと思います!

2択アンケートアプリ『ポケットアンとケイト』(ポケアン)について

https://itunes.apple.com/jp/app/absurvey/id1137506109?l=ja&ls=1&mt=8

当社では「アンとケイト」というアンケートモニターサイトを10年以上運営していました。アンケートモニターに登録したユーザーは、企業などからの市場調査アンケートに回答するとポイントが貯まり、換金できる仕組みです。

ただ、若年層のスマホシフトなどにより、従来のWebサイトだけでは、20代以下の若年層ユーザーの獲得と維持が非常に厳しくなってきました。そこで、新しく、若年層に特化したiOSアプリ『ポケットアンとケイト』(通称:ポケアン)をリリースしました。このアプリでは、2択アンケート、動画視聴、ゲーム、アンケート作成機能などスキマ時間、より短い時間で楽しくポイントが貯められるように工夫しています。

市場調査業界全体で、若年層の獲得・維持に苦戦する中、「20代以下のアンケートアクティブ 国内ナンバーワン」を目標とし、各KPIも、かなり高く置いていました。初期は、ほとんどの代理店さんから「その目標の達成は無理だと思います」と言われ、正直あきらめそうになりました。とはいえ、一度やると言ってしまった手前、簡単には引き下がれなかったのです(皆様もそんなご経験はありませんか?笑)。

しかし、ユーザーの課題と真摯に向き合い、改善を重ねることで、何とか目標の達成が出来ました。今回は、どのように課題を発見し改善したのかについて、ご紹介いたします。

※App Storeでのライフカテゴリランキング1位獲得、「アンケート」「副業」「ポイント」などの主要ワードはリリース以来首位を継続(2017年10月現在)

優先度検討の結果、苦渋の決断で一旦お蔵入りになった、幻のキャラクターもいます(笑)

改善効果がいまいち上がらない…なぜか?

アプリではユーザーの離脱を減らすこと(=定着率UP)が重要ですが、どうして離脱しているのかを検証するのは難しく、なんとなく重要性はわかっていても、後回しにしがちなんですよね。ここだけの話、お恥ずかしながら、弊社でも、最初は離脱要因の特定方法が誤ったまま施策を打っていました。そのため、施策を打ってもいまいち改善効果が上がらないことも多く、失敗の繰り返しとなってしまっていました。

意識調査は、聞きやすいユーザー=アプリを継続的に利用しているユーザーに聞くのみで終わってしまっていたんですよね。今考えると当たり前ですが、真の課題が把握できていなければ、適切な施策の洗い出しや選定は出来ません。そもそも、解くべき課題の設定ができていなかったのです。

そんな失敗を絶対に避けて欲しい!ということで、今回は、改善の施策を検討する上で最も重要ともいえる、「聞くべきユーザーの絞込み」とそのユーザーの「課題の仮説検証」の事例をご紹介します。

調査すべき対象ユーザー 定着・離脱層の切り分け

まず、ユーザーの課題、離脱要因は①~③の3つのセグメントで異なる場合があるので、それぞれ明確にし、分けて考える必要があります。

①定着ユーザー
②すぐ離脱ユーザー
③利用後に離脱ユーザー

また、定着・離脱の定義は自社のKPI・ユーザーアクションを考慮して決める必要があります。当社の場合は下記の定義としました。(※対象者は1~2か月前にダウンロードしたユーザー)

①定着ユーザー:現在も目標アクションを実施
②すぐ離脱ユーザー:ダウンロード2日目以降 アクションなし(※初日だけ利用
③利用後に離脱ユーザー:ダウンロード後3日目まではアクションあり、その後アクション無し(※DL後3日までは利用したにもかかわらず、その後離脱)

まずは、ポケアンのユーザーに対してWebアンケートを実施したところ、利用状況については次のような結果となりました。

半数以上が離脱していますね。

ユーザーがアプリを継続利用する際に重視する項目を洗い出し、その中で最も不満に思う項目について利用状況と合わせてWebアンケートを実施しました。結果を見てみるとユーザー層ごとに、上位の不満点(=課題)も異なっていることが分かりました。※項目は一部割愛しています。

①定着ユーザー:海外アンケートの不具合・エラー、ポイント交換をアプリ内でできないこと
②すぐ離脱ユーザー:ポイントの貯まりやすさ、海外アンケートの不具合・エラー
③利用後に離脱ユーザー:ポイントの貯まりやすさ、個人情報取り扱い・セキュリティ関連

さてこの場合、どのユーザーセグメントの課題解決を最も最優先で取り組むべきだと思いますか?ユーザー層と課題の大きさと、施策の実行可能性を併せて考える必要があります。

現状、最も効率的に改善できそうなのはどんなユーザー?

①定着ユーザー
不満を待っていたとしても、現状使ってくれているため、改善施策実行としての優先順位は低いと考えます。勿論、定着ユーザーの意見もとても大切です!改善というよりは、重視する項目の提供価値を維持することを念頭に置くとよいのではないでしょうか。より長期的に使ってもらいたい場合、改善施策検討としては、定着の期間をどの程度伸ばす必要があるのか具体化し、その期間に達していない、離脱ユーザーセグメントを新たに設定し、課題を明らかにすべきだと思われます。

②すぐ離脱ユーザー
致命的な不具合がある、という以外は、そもそもの期待値が高すぎたり、求めるサービスのコンセプト自体が異なるという可能性が高いです。

アプリのプロダクトとしての改善よりも、PR試作やLP、ストアの説明や画像など、流入元や流入時の期待値コントロールを見直すことを優先すべき場合が多いかなと思います。

実際、今回のポケアンの場合も、海外アンケートは他社の連携のコンテンツなので、改善が難しく、またコンセプトとしても、スキマ時間でカンタンにお小遣い稼ぎ!を置いていたので、ガッツリ稼げるように、付与ポイント数を大きく上げることは困難でした。

➂利用後に離脱ユーザー
「数あるサービスの中から見つけて、ダウンロードし、3日も使ってくれた」という行動から、ある程度このサービスへの興味と共感があるいえます。このユーザーの事前の期待値とその乖離を明確にし、適切な改善施策を実施することで、離脱を防げる可能性は高いはずです。当社の場合も 上位の課題は「ポイントの貯まりやすさ」「個人情報取り扱い・セキュリティ関連」だったので、アプリの改善で、何らか対応できそうです。実際にどういったところが不満で、どういった改善施策をすべきかの仮説検証については後ほどご紹介します。

ということで、今回のケースは、「一定期間使ってはくれた(価値を感じてはいる)が、何かしらの期待値との乖離のために利用を止めてしまった「利用後に離脱ユーザー」の課題の明確化が最重要と考え、課題や、その解決施策の優先度の判断は、この人達のみに絞りました。(他社さんの例をみても、改善施策検討に当たっては「利用後離脱ユーザー」の声が最も重要なことは多いです。勿論、状況によるので、聞くべきユーザーの明確化と切り分けが大切です。)

限られたリソースの中では優先課題を絞る必要がありますよね。その為には、ユーザー層ごとの課題をごっちゃにせず、適切に明確にしなければいけません。

最も早く効率的に、改善効果を出すためには、ユーザーの課題の明確化が最重要!

「利用後に離脱ユーザー」ですが、サービスをもう使っていない人なのにどうやって意見を聞いたり調査したらいいんだよ(笑)と思いますよね。実際、離脱ユーザーにリーチするのはかなり難しく、特に、意思決定をゆがめる偏りがないように、きちんと仮説検証を進めることを自社のみで進めようとすると、かなり業務負荷が高いです!>ただ、対象以外のユーザー意見や行動のみで施策の判断をするのは非常に危険であるため、私たちも、様々な方法を検討し、アンケートや電話でのヒアリングを進めました。(本当は実際に会社に呼んで、アプリを試しながらお話を伺いたかったのですが、スケジュール的に断念しました。)

※どのような検討状況でも「利用後に離脱ユーザー」の課題が最重要というわけではなく、ユーザー層ごとの課題をごっちゃにせず、適切に明確にすることが重要と考えています。

離脱ユーザーにリーチする方法の詳細について、気になった方は、当社(マーケティングアプリケーションズ)か Reproさんでもフォローを行っているので是非ご相談ください!

離脱要因の仮説立て

step1. Reproでのアプリ内データと自社で持つデータを確認し、特に離脱してる個所を特定

当社では、いくつかのプロセスをファネルとして設定しており、各フェーズの離脱ボリュームの確認をしました。特に、ダウンロード、登録などの初期体験での離脱が多かったので、さらに細かいプロセスを追加し、どこで、どの程度離脱しているのかを明確化しました。(この辺りは、Reproさんにアドバイスをいただきながら、適宜プロセスの追加や調整をしています。)

step2. Reproの動画を見て離脱要因の仮説を洗い出し・ディスカッション

Reproの導入の決め手となったのは、指定した離脱箇所のユーザーを定めて、その人の画面が見れることでした。これは本当に大きいです。step1.で確認した定量的な情報と、課題を持ったユーザーの画面という定性の情報をヒントに、課題(ここでは離脱要因)のブレストをしました。

普段課題や施策を検討するビジネス側のメンバーだけではなく、パートナーのエンジニアさんなどにも参加してもらうことで、より、課題仮説の網羅性を高めます。いつもアプリと向き合っているからこそ気づく視点や意見も多く、とても貴重です!

まずは、網羅的に課題を出し切ることを意識して、各々をポストイットに書いて、挙げていきます。その後、カテゴリ分けと、優先度の仮説を立てました。私たちはユーザではないので、日々の仮説検証で、 「あたり」をつける精度を磨きつつも、決めつけすぎないように注意します。

電話調査による仮説の検証

「利用後に離脱ユーザー」を中心に、それぞれのユーザー層の離脱要因の仮説を検証するために、Webアンケートに加えて電話調査をおこないました。電話調査では、ユーザー属性、ダウンロードのきっかけ、その時の期待値、重視項目や満足度、施策案に対しての意見など、仮説にとらわれず、詳しくヒアリングをしました。ヒアリングのメモがそのまま、ユーザー層ごとの詳しいペルソナと利用実態のデータになっていたので、チーム内外のメンバーにも「初めてユーザーのことがきちんとイメージできた」と好評でした。笑

肝心の結果はというと、仮説と異なるインサイトが!

事前の施策案としては、「もっとポイントを貯めやすく」「ひまつぶし」ニーズに対して、コンテンツの種類を増やしたり、コミュニティなどの要素を追加することを置いていました。しかし、「利用後に離脱ユーザー」の 課題を深ぼっていくと、そもそも「ポイントを貯めやすいコンテンツがわかりにくい」「個人情報保護やセキュリティへの不安」が強いことが分かっため、施策案を検討しなおしました。

動画での分析に加えて、Webアンケートや電話調査を行うことによって、より効果のでる施策案を考えることができました。施策候補が既存の定着ユーザーにとってどのような影響が出そうかはWebアンケートで確認し、優先度を最終決定しました。

修正後の施策結果

「ポイントを貯めやすいコンテンツについての分かりやすいお知らせ」や「登録時のセキュリティについての説明」など、適切なフェーズでのプッシュ通知とアプリ内メッセージが優先施策と判断し、Reproの機能を用いて実施したところ、本当に離脱率を下げることができました。

大きな開発が伴うコンテンツ・コミュニティ追加などの開発よりも、こういったコミュニケーション施策が優先と分かり、すぐに改善効果に生かせたのは本当に大きかったです。

アプリ内メッセージ例「登録時のセキュリティについての説明」

まとめ

限られた予算と人員でアプリをグロースさせるのってめちゃめちゃ大変ですよね。その中で、改善効果を最大化するためには、まず第一に、優先的に課題を解決すべきユーザーを特定すべきです。そして、そのユーザーの課題を「解くべき課題」とし、仮説 止まりにせず、何とかリーチし、意見や行動観察から検証まで行なってから、解決施策を選定していくことが必要だと考えます。

今回書いた話以外にも、調査や施策検討時に気を付けるべきことはまだ色々とあります。アプリやWebサービスのユーザー調査と改善フォローのサービスも試験的に行っていますので、Reproさん、または下記連絡先までお気軽にご連絡ください。

マーケティングアプリケーションズ 山中
sp@mkt-apps.com