7月20日に行われたセプテーニ主催のイベント「【MeetUp】キーマンが語るアプリ×リエンゲージメントのイマとこれから」の内容を書き起こしにてご紹介します。今回のミートアップでは、広告代理店や広告媒体を提供している4社(セプテーニ、サイバーエージェント、Criteo、フラー)のキーマンが集まり、「リエンゲージメント」について、ディスカッションしました。前半では、セプテーニ野村さん、クリテオ平岡さんからの質問によるディスカッションの様子をお伝えしました。後半ではサイバーエージェント河西さん、フラー三野さんの質問によるディスカッションの様子をお伝えします。前半の記事はこちら

記事終わりに、9/5(火)開催のセプテーニ主催セミナーに関するお知らせもございます。
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株式会社サイバーエージェント アドテクスタジオ Dynalyst プロダクト責任者 河西 亮 からの質問

webとアプリでは広告の環境構築が大変?webとアプリでKPIを変えるべき?

野村:それでは、第二部を始めます。第二部ではDynalyst河西さんとフラーの三野さんからの質問と言う形で進めていきたいと思います。まずはDynalyst河西さんからお願いします。

河西:webのお客さんとAppのお客さんでリテンションの考え方で違いがあるのかなと思っていて、webの広告配信の手法が全然Appのお客さんにはまらないこともあります。web領域のリターゲティングの雄であるクリテオさんにお話聞いてみたいです。では、まず元クリテオのフラー三野さんお願いします。

三野:プロダクト自体を良くしてお客さんが戻ってきやすくしましょうという話は一旦置いておいて、広告軸で考えると、クライアント側の意識としてぜんぜん違うポイントが、webの場合はSEOによる流入が大きいことです。コレは皆さん腹落ちするかと思います。クリテオの場合RTC(Retail:小売、Travel:旅行、Classified:不動産・人材)、こういった客単価が高いようなクライアントさん達はそもそもwebの場合はSEO、SEM含めて検索で入ってきて、その人を的確にリターゲティングすることでCVに導きましょうっていうのがクリテオのWebにおけるマーケティングストーリー王道です。一方、アプリを作っている会社のマーケテイングの意識は、サーチがそもそも広告市場として小さかったり、ユニバーサルリンクという技もそこまで器用にできてないことばかりです。そんな中、アプリに戻す手段はプッシュ通知がメインになっていて、広告としての接し方をどうしていくのか悩んでいると。

webである程度売上をあげているサービスの場合、アプリに積極的にお客さんを流すことでwebチームとAppチームでお互いの売上を取り合ってしまうケースもある。1,2年前それが多かったけど、ユーザーロイヤリティでアプリを重視するという流れは見受けられます。App側の人達はAppでロイヤリティーの高いユーザーを獲得していく、定着率あげていくっていう意識が強いです。それ以上にアプリ戦略の優先順位が上がるのはヤフオク対メルカリみたいな構図でwebの覇者がAppでまくられてしまうというケースというか、Appでの圧倒的な成功事例の出現ですかね。最近楽天さんもアプリをガラッと変えていて、今までのコアユーザーが好きだった形に改修をくわえているのかなと思います。

平岡:元クリテオの三野さんがほとんど言っちゃったんですが(笑)明確な違い、クリテオの売上で言うとまだまだwebの方が割合が大きい。詳しい数字は申し上げられないのですが、webの方が全然すごいです。1つ阻害要因になっているのが、クライアント内におけるエンジニアのリソース不足です。

webの方だと1,2週間もあれば終わることなのですがアプリの改修には2,3ヶ月長くて半年かかることもあります。ちょっと想像していただくとわかると思うのですが、その会社においてリソースを割いて調整するのにはかなりエネルギーを使う。コレがしっかりしていないと社内説得出来ていないという状態です。身も蓋も違う話なんですが、エンジニアリソース不足を解消していかないと難しいですねー。こんなかんじで大丈夫ですか?

河西:それでは、最後にセプテーニ野村さん、お願いします。

野村:私はKPIに関しては、Webとアプリでしっかり揃えるべきだと思っています。なぜかと言うと相対評価が出来ないからです。どんなサービスでも最終的にROASだったり何かしらの指標を追っていくと思うのですが、アプリはあくまでチャネルの1つに過ぎないはずなので、Webだからアプリだからという話ではなく、ユーザーにサービスに接触してもらうためのチャネルとして、より最大化・最適化広告配信ができる形が理想だろうと思います。そのほうが広告費を柔軟にアロケーションできるし、全体最適を考えるためにはKPIの統一が必要だと思います。とはいえアプリならではの特徴としては、広告接触後の後追いCVが長期間継続するという点があると思います。例えばEC系のサービスなどは短期的なROASで追うケースもたまにあるのですが、実は短期的な指標では効率が悪くても、30日とか90日とかで見ると十分回収できている場合も結構あります。そういう意味で言うと、広告効果を短期的な視点のみで捉えるのではなく、中長期で考えながら短期的な目標に落とし込んでいくなど、チャネルごとの特徴を理解する必要がある、というのは言えるかなと思います。

計測SDKを導入する際に、イベント設計のポイントは?必ず取るべき指標はある?

河西:アプリをやっているお客さんだと、トラッキングのSDKを何かしら導入されているお客さんて多いと思います。インストールだったり、起動だったり、課金だったりのデフォルトのイベントとして計測していると思うのですが、それ以外に、SDKを導入する際に、どこまで計測イベントを設計するのかが、その後の広告とかCRM的にリエンゲージメントやっていく上で重要ですよね。現状アプリの中のイベントを計測しているお客さんは少ないのかなと思いますが、そのへんの課題についてセプテーニ野村さん中心にお伺いしたいです(笑)

野村:SDKの導入インテグレーションからサポートさせて頂く機会が多いので、計測すべきイベントのアドバイスもしています。その中でも是非こういうのを取っていただきたいというポイントは“初回の”課金、“初回の”CVなどですね。例えばゲーム系のアプリだと、リエンゲージメント広告を配信する際のターゲットを課金経験があるかないかで分けて配信することが多いのですが、ROASや課金のCPAだけで見てしまうと、どうしても課金経験ありのセグメントのほうが効率が良く、課金経験なしのセグメントは圧倒的に効率が合いません。でも一方で、アプリで遊んでもらって課金してくれる人自体を増やしていかないと、アプリ全体としては伸びていかない。だからこそ課金転換は重要、でも効率が合わない、といったことがよく起きます。そういう時に初回課金のイベントが計測できていると、この媒体、このセグメント、このバナーはROASはいまいちだけど初回課金のCPAは効率が良い、つまり初めての課金を促せている、アプリにのめり込むきっかけを作れている、という新しい評価基準で運用できるようになります。

他にもコンテンツ関連のイベントだとPvP( Player vs Player:プレイヤー同士で戦うシステム)に関してや、ギルド(オンラインゲーム内で設立された団体)に参加したかどうか、レベルいくつまで到達しているのかを見てみると結構面白いです。こういうイベントを計測していると、ROASとの相関性なども見ることができるので、どういうアクションを促す広告表現の効果が高いのかを分析して次のアクションにつなげていくのに役立ちますね。

次に来る広告産業の伸びるチャンスポイント

河西:次に来るデジタル広告領域の伸びるチャンスポイントとか興味って何ですか?例えば直近動画が来ていますが、その次って何なんだろうみたいな。ざっくばらんにお願いします。それではまず、クリテオの平岡さん。

平岡:この質問事前に共有されていたのですが、この質問きた時に河西さんうらみました(笑)結構タフな質問しますね。ゲームはさておいて、適切ではないかと思っているのですが、リアルO2Oかな。2~3年前からちょくちょく出来ているが結局どこもパッとしない印象。クリテオは今後ここに力入れるのでここが来てほしいです!こんな回答で大丈夫ですか?

三野:ちょっと見てもらった方が分かり易いのでご覧いただくと。GoogleとMcDonald'sのジオターゲティングの動画です。

これ出たのは2016年だったんですが、当時クリテオにいて、かなり嫉妬しましたね。Googleほどのデータ溜めているからこそ可能なんだと思います。技術についてこれるクライアントの数が少ないとか、かけたリソースに対してパフォーマンスが上がらないなどのハードルがあるかもしれませんが。広告商品の「名前」をGoogle検索に入れると何個かは必ず「うざい」って予測変換が出るじゃないですか。うざくないクリエイティブはなんだろうと考えると動画広告はコンテンツとして見られることで少し良くなってきたけど、ユーザーの潜在欲求に応えたいときにジオターゲティングはこの問題に対する1つのソリューションかなと思います。

平岡:この動画は僕も見たのですが、嫉妬しますよね。実際コレをここまでやれるお客さんがどんどん増えたら良いなと思っています。ウェーブって1つの会社だけじゃおきないですしね(笑) そんなことを日々考えて生きています(笑)

フラー株式会社 執行役員 Chief Revenue Officer三野 泰宏からの質問

計測SDKは、取りたいKPIに合わせて選択。海外のSDKがおすすめ?

三野:どの会社にもお世話になっていると思うので言いづらいとは思うのですが、あえて答えるために今日はお酒飲めるようにしている部分もあると思うので(笑)、どの計測SDKが良いのか、ズバリ教えてください。

野村:リエンゲージメント目線でいうと、ツールの良し悪しはないと思っています。自分たちのKPIを適切にトラッキング出来るものを選ぶべきかと思います。

河西:ツールの良し悪しは色々有ると思うのですが、トラッキングSDKも流れが変わってきていて、Ad Fraud検知や動画のView計測、トラッキングSDKにためているデータをどう配信にシームレスに活用できるかといった機能周りで差が出てきている印象です。

平岡:クリテオという単位で考えると慣れているのはadjust、グローバルだとTUNEを使うクライアントさんが多い。計測SDKでいうとその辺ですね。広告配信SDKは実はクリテオにもあるので是非お使い下さい(笑)

野村:”旧” Ad-X Trackingですよね?

平岡:そうです(笑)

休眠復帰より、休眠させないことを考えるべき!もっとも有効な休眠復帰施策はテレビCM?

三野:あくまでApp Ape計測でのデータにはなりますが、モンスターストライクって30%くらい休眠ユーザーがいたんです。AppApeの定義でいうと休眠ユーザーは1ヶ月間起動なし、としているのですが、モンストは、3周年イベント(上島竜兵さんのモンスト禁止)により、休眠ユーザーが10%以下に低下。半分以下になっているんです。ライト~ヘビーユーザーのどれも平均的に全てのセグメントのユーザー層が熱くなった。リエンゲージメント広告はよく、休眠施策は結局機能しない。マネタイズまで考えるとなるとゲーム系のクライアントさんが多いけど、モンストは無料でもきちんと遊んでくれるような、DAU増自体を優先して実現できているように見える。マスも絡んでるのであれなんですけど、こういう休眠復帰のいい感じの事例が欲しいなって思います。Dynalyst河西さんお願いします。

河西:結構お客さんにも言っちゃうんですが、TVCMの力(この場合クリエイティブや企画力の力も有るかと思いますが)が必要だと思います。デジタルはどちらかと言うと、データを使ったターゲティングとそれに即したクリエイティブマッチが得意ですよね。あと、僕はどちらかって言うと休眠復帰っていう言葉を撲滅しようと思っていて、休眠復帰だけでなく、初期ユーザーやアクティブユーザーをもっとアクティブにとか粘着質なユーザーにしていくことを重視しています。

このまま行くと休眠しちゃうユーザーをどう食い止めるか、どのようなコミュニケーションを取っていくかがデジタルの使い所だと思っています。

平岡:休眠施策としては今のが最強だと思います。ちょっと違った角度から、DAUベースで見ると、DAY30起動率12%位あれば良いほう、非ゲームは1桁%ですね。これはユーザーのアクティブ率がどんどん落ちていく。実はDAY0(インストールはしたが起動していない人)が平均すると全体の15%くらいいる。このDAY0を起動に持ち上げることが、ひいてはDAY30を伸ばすことにもなる。なので休眠させないという施策で一番最初に突っ込むということで、最初の段階でアプローチすることが効率的だと思います。

野村:僕も異論は無い、という感じで本編終わりです。(笑)何か質問があればどうぞ!

その他質疑応答

休眠する前のユーザーへの施策に対して、クライアントは広告費を出すのか

Q:今までリテンション・リエンゲージメントといえば休眠ユーザーに対して配信するものという認識だったが休眠する前のユーザーにアプローチするのが新しいなという部分、そして広告主様はそこにお金払ってくれますか?

河西:広告主様が投資する可能性があるかというと、あります。ただ、休眠させないことの成果の評価の定義が難しい。これについてはここ半年くらいずっと考えているポイントでもあります。アプリはユーザーのボラティリティが半端ない。休眠ユーザーの中でもアプリアップデート後に雰囲気が違うから離脱、レベル100迄行ったけど飽きたから離脱、というように、離脱のタイミングはたくさんある。しかしどれだけヘビーユーザーであっても一度休眠すると、到達度にかかわらず0になってしまう。せっかく獲得したロイヤリティーの高いユーザーを離脱させない為にも、アプリの中でもどの画面まで到達していた、どこを検討していたという情報(何を見ていたか)がフレッシュなうちに施策を回していかなくてはならない。こういうユーザーはこういうものに興味があるからこういう施策打とう。こういうことを提案できると広告主も理解してくれる。

クリテオさんはそのへんすごくて、「あなたコレ見てたよね?」というような文言はないものの、直前見ていた内容を覚えているうちに、つまり記憶のリーセンシー(時間的距離感)がまだ短いうちに、あのクリエイティブフォーマットでリタゲが出来ていて、そこのスタンダートを作ったことがほんとにすごいと思います。というクリテオさんへ愛を伝えて終わります。(笑)

三野: ROIで見ると、休眠施策はやり続けるのが困難。クリテオ文脈ではCVしてくれる価値あるユーザーを戻すようにエンジンのロジックを作ってあります。未ログイン0日と1日、という間には大きな溝があって、前者でも特に日に何回も起動しているユーザーは価値が高い。継続率の曲線と人の「忘却曲線」は似た曲線になるのですが、1日2日とサービスを忘れてユーザーが離れていくいく期間に、早い段階で広告をフックに戻して上げる必要があるということですね。

野村:それでは今日はこのへんでおしまいにします。ありがとうございました!

セプテーニ主催イベントのお知らせ

この記事でご紹介したイベントを主催したセプテーニが、9/5(火)にアプリプロモーションに関するイベントを開催します。下記より詳細の確認および申込みいただけます。
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