「Spotifyから学ぶ」アプリのグローバル成長戦略にまつわる9のメソッド Part1

この記事は、Spotifyのグローバル展開の徹底分析の第一部(Part1)です。

 

2016年はSpotifyが注目を浴びた年でした。

 

とはいえ、この10年の急激な成長からして、Spotifyは長年人々の注目の的です。

 

今やSpotifyは、世界中に5億ものユーザーを抱え、そのうち1億人以上がアクティブユーザー、4,000万人が有料ユーザーなのです。プラットフォームには3,000万曲もストリーミング配信されていて、50ヶ国語以上に対応しています。

 

Spotifyの有料ユーザーの増加は急激で、ほんの5ヶ月前3,000万人でした。ストックホルムで小さなチームから始まり、世界中で1,500人もの社員のいるチームに成長したこの会社は、今や80億ドルもの企業価値があります。(これはアメリカの全ての音楽配信サービスの合計すらも凌駕しています。)

 

Spotifyのアーティストに対する支払いモデルにはまだ議論の余地があります。しかしその一方で、5億人のリスナー(今も増え続けている)に届く流通チャネルとしてストリーミング配信をしていることも含め、変化しゆく音楽業界の舵取りをしている数少ないパイオニア企業の一つであることは間違いありません。

 

Spotifyの成功の理由の1つは、独自のローカライズ戦略です。

 

できるだけ多くの市場に素早く移行する他の大手企業と比較して、Spotifyは異なる方法でローカライズする必要があります。その多くが官僚主義的なレコード会社と持続的な関係を築く必要があり、それはつまり、ローカライズがよりタフで、時間のかかるものだということを意味します。

 

しかし、より時間をかけて基盤を作ることは、Spotifyのグローバル展開の成功とほとんど関係ありませんでした。
60ヶ国以上のローカル版を持つSpotifyは2017年後半までのIPOが噂されついこの間の9月下旬に日本にも上陸しました。日本は、最も困難かつ最大規模の音楽業界の市場であると言われています。しかしSpotifyは独自のローカライズ戦略で既に多数成功していたので、日本にも進出できたのは驚くことではありません。

 

 

ではSpotifyの独自のローカライズ戦略とは?

 

Spotifyのローカライズの5部構成シリーズの内、第一部から第三部では以下について説明します。

 

  • Spotifyのビジネスモデルにローカライズが不可欠な理由
  • グローバル化への2つのアプローチーSpotifyが人気のない方を選ぶ理由ー
  • 実例付きSpotifyの9つのローカライズ戦略
  • Spotifyのアジアへの拡大事例

 

なぜSpotifyの最終目標は常にグローバル展開なのか

Spotifyのローカライズ戦略に入る前に、なぜSpotifyにとってローカライズが最重要事項なのかを理解することが重要です。

 

1.音楽業界がグローバルである

今やビヨンセは世界中のどこにでもいるように感じるかもしれませんが、世界の80%の人は英語を話しません。そして人々の音楽の好みはそれを反映しています。今までにYalın、ÉremDerici、Буритоを聞いたことがありますか?今現在、ロシアとトルコの最もホットなミュージシャンです。

 

Spotifyは、音楽業界というパイにおいて真にグローバルのシェアを狙いにいっています。

 

「音楽業界には世界的に15億ものカスタマーがいると私たちは予想しています。」と話すのはKobalt MusicのCEOであるWillard Ahdridtz。彼はSpotifyの重要なパートナーであり、Billboard Top 100の半数以上のアーティストの著作権、印税、ライセンスを握っています。

 

我々は急激な成長に直面しています。 –  Willard Ahdridtz, CEO, Kobalt Music

 

2.Spotifyのミッションはグローバルに向けられたものである

Spotifyの長期的な目標の1つが「世界中のあらゆる国の人々がお互いに音楽を交換できる場所にすること」であり、これを誰よりも主張しているのがCEOのDaniel Ekです。
以前ヨーロッパのセールスマネージャーだったJonathan Forsterは、積極的な拡大計画を説明することで上の目標を実現させようとしています。 「我々はスウェーデンで最大の音楽ストリーミングサービスとして定着できていたかもしれません。そうすれば、今日利益を上げることができていたでしょう」とForsterは言います。続けて、「しかし私たちはその代わりに、世界的に成長するためにほとんど全ての収益を投資しており、それには多くの時間と費用がかかります。」と話しています。

 

3.Spotifyはグローバルなパラダイムにシフトしようとしている

CEOであるEkのSpotifyにおけるグローバルビジョンは、彼が変革をもたらそうとしている業界にまで及んでいます。ラジオを聴くという伝統的な視聴行為をストリーミングによってオンライン化するのは、音楽を聴くという習慣における世界的なパラダイムシフトです。ユーザーの考え方を、自分でCDを買って自分のライブラリに入れる「所有」から、サブスクリプションフィーを払って巨大なコレクションへの「アクセス」に変えることは、アーティストとリスナーの両方の大規模なユーザー基盤が必要です。持続可能で、高い収益性にするためです。

 

Ekは「好きなCDをとり、あらゆるプレイヤーに入れて聴けるようにする」のと同じ感覚でSpotifyで音楽を聴いてもらうことを目指しています。CDのような普遍的なものになるには、完全に市場に浸透することが必要です。

 

完全な市場浸透という目標は、ソーシャルシェアがSpotifyの製品開発の大部分を占める理由です。初期のサービス利用者が友人と音楽を共有すること、またその共有が簡単であることが達成されて初めてリスナー(及び会社自体)が報われるのです。

 

次回から、Spotifyが行なっているローカライズ戦略を紹介していきます。

 

この記事は、OneSky上の記事 “9 International Growth Strategies from Spotify“を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on OneSky in English under the permission from the author.