今回のグロースハックジャーナルは、タスク管理ツール「Trello」についてです。現在全世界で1,000万人以上に利用され、最近日本語をはじめとして20カ国以上の言語に対応しました。多くのタスク管理ツールがある中でTrelloがグロースし続けている理由を同社のInternational Growth Leadを務めるAlexiaさんに伺ったところ、「使い方をユーザーに委ねるのが成長のコツ」という意外な答えが。その真意とはー。

 

Trelloとは

Trelloはカード形式でメモやタスクを整理することができるプロジェクトマネジメントツールです。個人でもグループでも利用可能で、タスクやプロジェクトの進捗を視覚的に把握しやすいのが特徴です。

trello-board

 

Alexiaさんについて

AlexiaさんはTrelloの国際担当として海外でのTrelloの普及に努めており、Meet upの主催や海外ユーザーへのヒアリング、Trelloを他言語に翻訳してくれるボランティアのマネジメントなどをしています。

 

Trelloが多くのユーザーに使われている理由とは

Growth Hack Journal編集部(以下GHJ): Alexiaさん、今回はインタビューお受けくださりありがとうございます。早速伺いたいのですが、Trelloが世界中のユーザーに選ばれ利用されている理由はなんだと思いますか。

 

Alexia:Trelloの使い方をこちらから規定せずユーザーに委ねていることで、多くの人が自発的に自分に適したTrelloの利用方法を見つけているからだと思います。Trelloはタスクやプロジェクトの管理ツールとして使われていることが多いですが、私たちから「Trelloをタスク管理ツールとして使って欲しい」と訴えたことはなく、実際タスク管理以外にも様々な用途で使われています。

 

GHJ: グロースしているサービスはユーザーに提供する価値(バリュープロポジション)を明確に提示しているものがほとんどです。使い方を規定しないとユーザーがどう使うべきか迷ってしまうように思うのですが。

 

Alexia:ユーザーが自主的にTrelloの使い方を見つけられるような手助けはしています。

例えばTrelloのサイト内には「インスピレーション」というカテゴリーがあり、既存のユーザーによるユースケースを「Business」「Travel」「Event Planning」など様々なジャンルに分けて紹介しています。Trelloを使い始めたばかりのユーザーはこのページを見ることでインスピレーションを得て、自分に合ったTrelloの使い方を学ぶことができます。

 

Trello_inspiration
Trelloのinspirationページ(https://trello.com/inspiration)。
実際のユーザーがTrelloをどう使っているか多数の事例を見ることができる。

 

また、私たちはTrelloのユーザーが直接触れ合うことができる場も設けています。Meet upを開催し、ユーザー同士でTrelloの使い方を話すことで新たな活用方法を知ることができますし、サービスへの愛着もより深まると考えるからです。

 

それからTrelloはコラボレーションツールなので、すでにTrelloの使い方を知っているユーザーが新たにユーザーを招待して使い方を教えるということが自然に起こります。

 

例えば私はルームシェアをしており家事の分担はTrelloで管理しているのですが、最初は全く使い方のわからなかったルームメイトは会社でもTrelloを利用するようになり、今度は彼女が会社で同僚にTrelloの使い方を教えているそうです。友人招待の仕組みがサービスに内包されていることによって、ユーザー同士で自発的に使い方を教え合えるようになっています。

 

サービス作りにおいて心がけていること

GHJ: サービス作りにおいて他に意識されていることはありますか。

 

Alexia:上記で述べたようなユーザー招待の仕組みを最大化するために、新規ユーザーがTrelloを使い始める際に障壁となるものを取り除くように心がけています。

 

GHJ: サービスを使い始める際の障壁はなんだとお考えでしょうか。

 

Alexia:「値段」「言語」「複雑さ」の3つだと考えています。

まず値段についてですが、Trelloは個人での利用についてはすべての機能を無料で提供しています。

 

GHJ: マネタイズはどの部分で行っているのでしょうか。

 

Alexia:法人に対して外部サービスとの連携とセキュリティ機能などを有料で提供しています。社内でTrelloを使うユーザーが増えれば会社として本格的に導入を検討してもらえるので、個人利用については有料の壁を設けないようにしています。

 

 

GHJ: 言語による障壁をどう取り除こうとしているかについて教えてください。

 

Alexia:まず多言語化についてですが、機械的に翻訳するのではなく、翻訳語を母語とするボランティアの人たちに手伝ってもらっています。例えば日本語へのローカライズで「New Stuff」を「お知らせだよ!」と訳したのは日本人のボランティア同士で議論した結果です。

 

しかしながら自然な翻訳ができたからといってその国のユーザーが増えるわけではありません。やはり鍵となるのはコミュニティを作り、ユーザーが自発的にサービスの使い方を教え合える環境を整えることです。なので国外でもMeet upを開催したり、英語以外の言語でもブログを書いたりしてユーザーとの結びつきを強める取り組みを進めています。

 

 

GHJ: 3点目の「複雑さ」の排除についてはどう取り組まれているのでしょうか。

 

Alexia:誰でも直感的に使えるサービスかを検証するためベータテストにはこだわりました。ローンチ前に弁護士の集団にTrelloを使ってもらい、彼らにも便利だと思ってもらえるかを検証しました。

 

GHJ: なぜ弁護士を選んだのですか。

 

Alexia:司法分野はITによる業務効率化が全体的に進んでおらず、かつ膨大な書類の整理などにTrelloが効果を発揮できそうだと考えたからです。それまでほとんどタスク管理ツールを使っていなかった彼らもすぐにTrelloを使いこなすことができていました。

 

タスク管理以外にも使える、Trelloの様々なユースケース

GHJ: ユニークなTrelloの使い方があれば教えてください。

 

Alexia:スペインのマドリードではEuropean Mobility Weekという都市交通を考える週間に政府は何をすべきかTrelloを使ってアイデアを募りました。また、この間のエクアドル地震でも情報の集積場所としてTrelloが利用されています。

 

Coordinated Data Scramble trello

災害時に役立つ情報の掲示板としてTrelloを活用したエクアドル地震の事例

 

インタビューを終えて

一般的には用途が明確なサービスやアプリがグロースするとされていますが、Trelloは使い方をユーザーに委ねるという逆の発想で成長を実現していることに驚きました。その秘訣はユーザーが自発的に使い方を見つけられるような仕組みづくりと、新規にTrelloを使い始めるにあたって障壁となる要因を排除しているサービス方針にありました。

 

ツール系のアプリやサービスでは無料化やリファラルの仕組みも重要ですが、Trelloのようにユーザーが自発的にエンゲージメントを高めてくれるような仕組みづくりが持続的なサービスの成長を実現するポイントと言えるでしょう。

 

Trelloをオウンドメディア運営に生かしましょう!

グロースハックジャーナル編集部でもTrelloを活用しています。オウンドメディアのコンテンツ管理におけるTrelloの活用方法についてsix apartさんのブログに寄稿させていただいているので、よろしければそちらもぜひチェックお願いします!
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alexia

インタビュー後にAlexiaさんにもRepro T を着てもらいました!