アプリ業界で今もっとも勢いのある市場の一つである漫画アプリ。大手出版社から新興ベンチャーまでが漫画アプリを提供し、群雄割拠の様相を呈しています。

イラスト制作・漫画制作を行う株式会社フーモアも、新規事業として漫画アプリ市場に参入した企業のうちの1社です。提供する女性向け漫画アプリ『コミックエス』は、アプリの分析・マーケティングツール「Repro」の導入と、同社の提供するマーケティング支援サービスも利用し、プッシュ通知やアプリ内メッセージといったアプリ内マーケティング施策を実施することによってわずか2ヵ月でアプリの継続率を5%、売上のメインである広告収益を5%アップすることに成功しました。

漫画アプリとしては後発であるにも関わらず短期間でアプリの成長に繋げることができた理由を、『コミックエス』担当者に伺ってきました。

(左から)株式会社フーモア 遠藤 拓己様、斉藤 隼大様、浅田良平様、伊東未来様、玉田 春和様

全巻無料で読み放題の「オトナ女子向け」漫画アプリ

斉藤:『コミックエス』という女性のための無料マンガアプリを運営しています。

もともと弊社フーモアはイラスト制作がメイン事業なのですが、新規事業として昨年11月にアプリをリリースしました。現在70万ダウンロードを突破し、20代から30代の女性を中心に支持されています。

マンガ好きの女子をターゲットとし、選りすぐりの作品が全巻無料で楽しめる

新規ユーザー獲得には成功する半面、継続率に課題あり

斉藤:弊社が提供する『コミックエス』は全巻無料が一つのウリで、ユーザーからお金は一切いただかず広告でマネタイズしています。リリース当初から海外展開を視野に入れており、海外だと海賊版の流通も多いので有料モデルだと戦えないなと考えたのが広告モデルを採用している理由です。

無料であることの敷居の低さやASOに関しては工夫して取り組んでいたこともあり、新規ユーザー獲得は順調でした。今でも新規インストールは一日4,000~5,000件あり、うち90%以上がストア内検索からです。

金:その反面、アプリの利用継続率には課題がありました。新しい漫画を日々追加したり「グルメ漫画特集」などの特集を行っているにもかかわらずユーザーにうまく訴求できていなかったため、定期的にアプリを訪れてくれるユーザーが少なかったんです。

アプリの解析にはFirebase、プッシュ通知はLogPushを使っていたのですがどちらとも無料で利用できるのでとりあえず入れていたという感じで、あまり使えてはいませんでした。アプリ内でどんなユーザー行動をトラッキングすべきかがわからなかったのでイベント設計もやっておらず、基本的な指標しか取得できてなかったんです。

解析ができていないのでマーケティング施策も大味にならざるを得ず、全ユーザーに対して週に何回かプッシュ通知を送るだけ、その効果検証も満足にできていないという状態でした。

マーケティング支援サービス込みでReproを導入。決め手は手厚いサポート体制と豊富なノウハウ

金:アプリを数か月運用してそういった課題が出てきたときに知り合いの会社から「すごい良いツールがあるよ」とReproを紹介してもらいました。アナリティクスとマーケティングの両方とも他ツールより高機能で、相互に連動してるのが魅力的でしたね。

浅田:機能も魅力的だったのですが、最終的に決め手になったのは導入後の手厚いサポートとReproの持つアプリマーケティングのノウハウです。

悩んでいたイベント実装はカスタマーサクセスの担当者が「貴社アプリの場合はこのKPIを重視すべきなので、ここにイベントトラッキングを仕込むべきです」とアドバイスをくれますし、マーケティング施策に関しても支援してくれます。これまでの経験からもツールは使いこなさなければ意味がないと考えていたので、導入後も安心して任せられる会社だなと思ったのが一番のポイントです。

斉藤:漫画アプリとして後発であり、大手出版社のバックアップもない弊社が漫画アプリ市場で戦っていくにはコンテンツ面の勝負では分が悪いと考えていたので、マーケティング面では他社より優れた取り組みをしようということでマーケティング支援も含めて利用を決めました。

Reproのアプリ内マーケティング支援サービスの概要。施策の策定から実行、効果検証、改善までを実施するサービスを提供している

伊東:Reproのイベントトラッキングの実装が一通り終わったあと、アプリ内マーケティング支援のキックオフミーティングを行いました。

参考になったのは、ユーザーがアプリを使う際の一連の行動を「アプリ起動 → 漫画を探す → 漫画を読む」という大きく3段階に分け、各段階ごとにプッシュ通知やアプリ内メッセージのコミュニケーションをとるという考え方です。

例えばアプリを起動しても漫画を探す前に離脱しているユーザーは、そもそもアプリの操作方法やウリを理解していないことが離脱要因と考えられるので「ランキング機能」の紹介や「どれだけ読んでも無料」といった特徴を訴求するプッシュ通知を送ります。

金:一方で、漫画を読み終わったあとに離脱してしまうユーザーに対してはアプリの使い方を教える必要はないので、よく読んでいるジャンルの新作をレコメンドしたり全巻一気読みを促したりなど、より長く使い続けてくれるためのコミュニケーションを取ります。

Reproは漫画アプリの改善実績も多く、漫画アプリの成長フレームワークや重視するKPIを心得ています。運用を代行してくれるのはもちろん、アドバイザーとしても大変貴重な存在ですね。

毎日利用するきっかけづくりをプッシュ通知で行い、リピート読者は5%以上増加

浅田:具体的な施策についてですが、一番の課題だった新規ユーザーの継続率を上げるための取り組みで成果が出たのはプッシュ通知のABテスト機能を使った施策です。

キックオフの際に新規ユーザーに対して訴求するべきアプリの特徴を話しあい、「ランキング上位の漫画訴求」「無料で読めることの訴求」「特定のジャンルの訴求」など様々な軸でプッシュ通知を送り何が一番ユーザーに刺さるか検証することにしたのですが、同時に各訴求軸で送るプッシュ通知の文言を2パターンずつテストし、隔週で訴求軸と訴求文言の両方に関してPDCAサイクルを回しました。

新規有料への訴求軸を洗い出し、各訴求軸の見出しと本文に関してABテストを実施。効果を隔週で検証した(※資料は実際のものと異なる)

伊東:「ランキング上位の漫画訴求」と「無料の訴求」どちらが開封率が高かったか、「無料の訴求」のほうが高かったのであればAとBどっちの文言が良かったのか。かなり緻密な作業になるのですが、Reproの担当者はこれを全て検証して定例MTGで報告と次の提案を持ってきてくれます。悪かった施策も「なぜうまくいかなかったか」をきちんと分析したうえで話してくれるので失敗も無駄にはならず、MTGのたびに気づきをもらえます。

結果的に2ヵ月弱で継続率は5%以上改善しました。アプリ内マーケティングの重要性を実感しましたね。

Repro導入前と導入後のリテンションレートを比較した図。アプリ内マーケティングを始めてから2ヵ月弱で5%以上の改善が見られた

ターゲティングしたアプリ内メッセージで機能の利用率アップ

金:他に行った施策としては、アプリ内メッセージによるアプリの機能紹介です。編集部でキュレーションしている「イチオシ漫画特集」や読んだ漫画を振り返ることができる「マイボックス機能」などをまだ利用したことのないユーザーにアプリ内メッセージを表示し、利用の促進を図りました。

まだその機能を使ったことのないユーザーだけをターゲティングしてアプリ内メッセージを送信し、各機能の利用を促進

浅田:弊社は開発体制がそんなに強くないので、アプリのUIを改修して使ってほしい機能の利用度を上げるというのは難しい面があります。その点アプリ内メッセージは改修なしで簡単にユーザーに訴求できるのですごく重宝しています。

今はユーザーごとによく読んでいるジャンルを分析し、同じジャンルのオススメ作品をアプリ内メッセージでレコメンドするという施策を試してもらっています。やりたい施策がスピーディーに実行できるところがReproの良いところですね。

あるジャンルをよく読んでいるユーザーに対してそのジャンルのオススメ作品をアプリ内メッセージで訴求。表示するユーザセグメント、アプリ内メッセージの表示タイミングを自由に変更できるのはReproならでは

機能拡充や収益面の強化で、今後も漫画アプリで独自の地位を狙う

金:アプリの継続率が安定してきたので、今後は連載機能など機能面でも継続率を高めるための改修に投資したり、新しい広告フォーマットを試して収益面の強化も図っていきたいと思います。新機能の利用促進にもアプリ内メッセージを使う予定です。

斉藤:これからマーケティング活動を本格化させる上で、業界最先端の手法を学べたアドバンテージは小さくないと思っています。これからも弊社アプリだからこそ読める漫画を提供し、読者を楽しませるだけではなくクリエイターも支援できるようなアプリであり続けたいですね。