この記事は、ASO Stack社がチェコ共和国のモバイルマーケティング代理店AppAgentの創業者、Peter Fodor氏に寄稿いただいた”Why 7 seconds could make or break your mobile app“を了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Aso Stack in English under the permission from the author.

最近のある調査によると、アプリをインストールする時の決め手として2番目に重要とされているのがアプリの説明文、そして1番目に重要なのがレビューであると主張されていました。しかし、人は発言とは全く異なる行動を起こすことも多く、必ずしもこの調査が正しいとは限りません。そこで私は、実際にアプリをダウンロードしたユーザーを対象とし、彼らがアプリをダウンロードした本当の理由を突き止めるために今回の調査を開始しました。

調査ではAppAgentのクライアントが提供するアプリの中から5つのアプリを選び、そのデータをもとに検証しました。アプリストアのアプリ紹介ページを訪問した25,000人 (総インストール数10,000件) をサンプルとし、5つのアプリから得た統計データを、3種類のA/Bテストツールを用いて解析しました。(調査方法について、詳細を記事の最後に記載しています。)

調査結果のサマリー

  • アプリストアのアプリ紹介ページにユーザーが滞在する時間は平均してたったの7秒でした。
  • ユーザーのうち13%しかスクリーンショットをスクロールしませんでした。
  • スクリーンショットを拡大したユーザーはわずか3%しかいませんでした。さらにすべてのスクリーンショットを表示するまでスクロールしたユーザーは0人でした。
  • アプリの説明文の”さらに見る”をクリックするユーザーはほとんどいません。コンバージョン率に欠かせないのはファーストビューです。
  • 平均2%のユーザーしかアプリ紹介ページの動画を再生しませんでした。

7秒間で明暗が分かれる

ユーザーがアプリ紹介ページに滞在する時間は平均7秒であるとわかりました。実際には、大多数が7秒未満でアプリ紹介ページを離れています。エンゲージメントがあったユーザーの滞在時間はもう少し長くなりますが、その全員が同じ手順を踏んでいます。まずアイコンをチェックして、最初に表示される2枚のスクリーンショットを眺めます。そしてアプリの説明文の1行目に目を通します。

このデータは、私たちがユーザーテストから得た見解にも矛盾しません。あるクライアントのアプリの場合、アプリストアの訪問者とアプリの間にインタラクションが発生するのは、アプリをインストールする時か、ページを離れてしまう時です。それ以前には、訪問者は主な視覚要素をサッと眺めるだけでインタラクションは一切発生しません。

7秒ですべてが決まります。

スクリーンショットは最初の2枚で言いたいことをすべて伝える

モバイルマーケターの多くはスクリーンショットの枚数をできるだけ増やして、アプリの説明をしようとします。コンテンツを増やした分だけ効果がアップすると考えていませんか?それは間違いです。今回の調査では、縦長のスクリーンショットの場合、それをスクロールする人は9% しかいないことが判明しました。ゲームアプリのエンゲージメントはもう少し高い結果となりましたが、大幅な増加は見られず、スクリーンショットをスワイプした人は17%にとどまりました。さらに横長のスクリーンショットの場合も調べましたが、スクロール率はなんと5% にまで落ち込んだのです。

このような調査結果から、縦長画像をスクリーンショットに使うならファーストビューで表示する2枚 (iOS10、Google Play) あるいは3枚 (iOS11) でアプリの特徴を説明すべきであることが明らかとなりました。どうしても横長画像を使いたい時には、たった1枚に訴求内容を詰め込まなければなりません。

これを理解しておけば、画像の表示順を決める際に参考になります。役割の大きな画像を最初の2枚あるいは3枚のスクリーンショットとして設定します。他の画像にはあまり費用を割かない方が賢明です。どの画像をどの順番で表示するにしても、訴求内容を最後のスクリーンショットで伝えようとしてはいけません。

もうひとつ、極めて重要な点にも関わらずデベロッパーの大半が間違って認識していることがあります。それはスクリーンショットの”見やすさ”です。今回調査したすべてのケースにおいて、アプリのスクリーンショットを拡大して見たユーザーの割合は4%未満、横長の場合はわずか2%となりました。ゲームアプリだけを見るとその割合はさらに低く、たったの0.5%という結果となりました。これはサムネイルでもゲームの様子が十分理解できるためだと思われます。

スクリーンショット作成時にデザイナーにまず注文すべきことは、アプリ画面の画像とキャッチコピーを大きくして、拡大しなくてもユーザーが読み取れるようデザインすることです。航空券比較サイト「Kiwi.com」は料金カレンダーなどユーザーインターフェース (UI) 上の重要要素の細部を拡大してスクリーンショットとし、さらにキャッチコピーは最大4ワードと短くしました。

アプリの説明文は読んでもらえないことを前提に

アプリ紹介ページを下にスクロールして、スクリーンショットの全体が見えるところまで辿り着いたのはユーザーの約70%でした。さらにスクロールして、説明文のファーストビューまで進むユーザーの数はさらに少なくなります。

ここで冒頭の調査の結果をもう一度確認してみましょう。調査では、回答者の52%が説明文をダウンロードの主な決め手と答えたそうです。しかし私たちが今回得たデータによると、調査したすべてのケースにおいてアプリの説明文を広げたユーザーは1%にも満たなかったのです。

ここでもゲームアプリのエンゲージメントが高く、ユーザーの5%が”さらに見る”をタップしています。普通のアプリの平均的なサイズが20Mb程度であるのに対し、ゲームは500Mbとサイズが大きくダウンロードにも時間がかかることを考えれば、納得の結果と言えます。

アプリストアの訪問者がアプリ紹介ページに滞在する時間が7秒という事実とあわせて考えると、訪問者が説明文のファーストビューだけを読んで要点のみ拾っていることは明らかです。つまりすべてのキーワードを盛り込んだ長い説明文は、アプリストアの最適化という観点でしか意味がありません。説明文をわざわざ広げて読む人がいないということは、実用的な話をすれば、文章のクオリティには大してこだわる必要がなく、とにかくキーワードを詰め込むことを優先しても問題ないと言えます。

動画の影響力は驚くほど小さい

今回の調査で得られた結果の中でも私が個人的に興味を覚えたのが、動画の再生回数が極端に低いことです。サードパーティーのA/Bテストプラットフォームから得られたデータと組み合わせた結果、iOSユーザーの場合、動画コンテンツを再生したユーザーは0.5%しかいませんでした。9,000人近い訪問者をサンプルとしたので、統計誤差は最小限におさえられているはずです。動画再生率がこれほどまでに低い結果となった原因として、私たちはまず技術的な問題があると推測しました。アプリの紹介ページにおける動画処理能力の低さも可能性としては考えられるとも考えました。しかしAndroidのプラットフォームについても再検証し、YouTubeのデータを調べてみるとGoogle Playでも動画再生率が低いということが判明しました。Google Playの訪問者のうち動画を再生したのは2~4%だったのです。唯一飛び抜けた数値を示したのが「About Fun」のゲームで、Google Playの動画再生率は5.9% でしたが、1桁台にとどまりました。これらの結果は4種類のアプリを対象とした解析をもとに算出しました。アプリストアの紹介ページ訪問者数は300万人、動画再生回数70,000回です。

動画再生率は最も高かったケースでもGoogle Playでわずか5.9%!その他のアプリでは2~4% となりました。

また動画が最後まで再生された割合は、いずれのアプリも50% (30秒スポット) から70% (15秒スポット)の範囲に概ね収まりました。動画再生から10秒以降の離脱率はKiwi.comとOcean Blastでは30% 、Tiny MinerとBudgetBakersでは15% と開きがありました。

ドイツのカールスルーエ州にあるゲーム会社、「flaregames」のマーケティングアドバイザーを務めるSebastian Knopp氏が、「Mobile Dev Memo Slack」に寄稿した記事から、動画再生率の低さを論理的に説明する上で大いに役立つ貴重な知見が得られます。

「私もこの”動画再生率の低さ”については同じように認識しています。私の見解では、動画の影響で劇的にパフォーマンスが向上することはそうありません。少なくともゲームについては自分で調査しました。私たちはさらにiOSユーザーのみを対象とし、全年齢層を含む5名ずつのフォーカスグループ10組を集め、ディスカッションを行いました。すると全員が「動画の再生時間よりアプリのロード時間の方が短いから、まずアプリをダウンロードしてみる」と同じ回答をしたのです。」

Sebastian氏のこの知見は、私たちの調査結果を簡潔にまとめてくれました。ユーザーはまずアプリをインストールし試してみます。アプリ紹介ページの隅々まで目を通すよりも、多くの場合アプリをインストールしてしまった方が早いためです。

iOS11の登場でASOが激変する

編集注)本記事は2017年8月に公開された記事のため、この段落については一部、古い情報となっている可能性があります。

市場はiOS11に対応するため動き出しており、今後大きな変化が予測されます。例えばアプリの検索結果表示画面に出てくるスクリーンショットが3枚に増えるため、アプリ紹介ページを介さずに検索ページから直接アプリをインストールするケースが増加する見込みとなっています。私たちはまた、訪問者が紹介ページの細部に目を通すことはほぼなくなるだろうと読んでいます。

iOS11では検索ページからそのままアプリをダウンロードする件数が増加します。訪問者が紹介ページを熟読するようなことは滅多に起こらないでしょう。

このような流れを受け、動画の自動再生機能を利用すること、そして特に検索結果表示画面の小さなサムネイル3枚でアプリをプロモーションする方法を検討することが新たな課題となります。特にここ数週間のAppleの動向を見ると、動画及びスクリーンショットを編集、加工できる量を減らそうと試みており、目標を達成するには様々な工夫が必要となるでしょう。

新たな課題がモバイルマーケターを待ち受けています。市場が変化を続けるように、顧客もまた変化しています。マーケティングでは常に、顧客を理解し、顧客の動向を把握することが成功の秘訣です。

関連記事:「【ASO対策】iOS11へのアップデートに伴うApp Storeの変更点

付録:調査手法

この調査は2016年に実施したものです。A/Bテストの3大プラットフォームSplitmetrics、TestNest、Storemavenをすべて使用し、iOS用アプリストアの紹介ページを7回テストしました。

2つのアプリ (Tradewise、Kiwi.com) と1つのゲーム (Blades of Fate) でA/Bテストを実施しました。各アプリで少なくとも2種類のテストを、最短で4週間にわたり行いました。A/Bテストの対象は1,130~9,000人の訪問者です。Facebook広告から獲得した訪問者の中から、以前実施したモバイルアプリインストールキャンペーンで得られた最も優秀なターゲットグループに属する訪問者を対象としました。また2件のA/Bテストにおいては、クライアントが運営するモバイルウェブ上のスマートバナーから獲得した訪問者を対象としています。有料広告から流入したのは、アメリカ、イスラエル、フィリピン、チェコ共和国のユーザーでした。スマートバナー経由の場合は当然ながら各国のユーザーが流入しましたが、アメリカ、イギリス、チェコ、ドイツ、スペイン、フランスのユーザーが多く見られました。A/Bテスト実施後、Google Playでも3種類のアプリ及びゲーム (Wallet、Ocean Blast、Tiny Miners) の動画再生状況を解析するために、YouTubeのデータを調べ、再生回数174,000回分の動画データを解析しました。

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