アプリ開発のプロを最もがっかりさせる統計の一つは、大多数のアプリがダウンロード後にユーザーに捨てられてしまうことです。中にはたった一度しか利用されないものもあります。確かに今や素晴らしいアプリはたくさんありますし、ユーザーの目が肥えて、本当に良い製品に慣れてしまっていることも離脱の原因の一つかもしれません。でも、アプリが飽きられる原因全てを、ユーザー側の責任にすることはできません。

さて安心していただきたいのは、アプリからの離脱を食い止める方法があるということです。アプリに限らず、自分たちが問題を抱えていると気づくことが問題解決のファーストステップです。次のステップとして、なぜユーザーがアプリから離脱したのか、その理由を理解しましょう。そうして初めて、アプリの品質戦略を立てて行動を起こすことができるようになります。

この記事では、利用者がアプリから離脱する主な理由や、アプリを削除してしまうヒントやからくりをご紹介します。

1:オンボーディング体験が良くない

たいていのユーザーは使用開始後すぐに、継続して利用するかどうかを決めています。つまりユーザーにアプリを使い続けてもらうには第一印象が大事であり、洗練されている状態でなければなりません。

その第一印象は、オンボーディング(初めてサービスを利用するユーザーを定着させるプロセス)で決まります。ちょっとしたチュートリアルやアプリの使い方の説明などオンボーディングが早期のアンインストールが起きないようにするために注力すべきところです。

結局、ユーザーがアプリの使用を開始した時がその後のユーザーの継続、アプリとユーザーの絆を生むタイミングです。オンボーディング戦略が良いものであれば、ユーザーはそのアプリを素晴らしいと感じ、良いスタートを切ることができるのです。

オンボーディングはとても重要なものですが、ユーザーにとってもアプリ事業者にとってもそこまで難しくありませんが、あなたのアプリがどんなアプリかによって事情は変わってきます。次の図にあるように、分かりやすい説明の吹き出しがいくつかあるだけでアプリの主要機能を説明できるものもあります。逆にゲームなどの場合は、「積極的なオンボーディング体験」を作るのが得策です。これは、アプリの操作方法から、アプリの全コンテンツへ徐々に誘導していくものです。

ユーザーの問題解決をサポートするために、それを中心としたオンボーディング体験を作るのは当たり前です。それでも間違ったオンボーディング体験を作ってしまうことがあるのです。

オンボーディングの設計でよくある失敗は、最初からユーザーに大量の情報を求めたり、一つの画面にガイドラインやヒントを盛り込んでしまうことです。また、後ほど説明しますが、情報を過剰に要求すると信頼が薄くなります。たくさんの情報を一つの画面に盛り込んでしまうと、ユーザーを圧倒してしまい、離脱の原因となってしまいます。

このような失敗を犯さないために、最初の画面で登録を強制せず、何のために情報が必要なのか理由を提示しましょう。コンテンツが多い場合は、段階的に進むオンボーディング戦略を作り、利用回数が増えるにしたがって徐々にアプリを紹介できるようにすると良いでしょう。また、すでに利用したことのあるユーザーが最初からやり直さなくて良いように「スキップ」ボタンは必ず設置してください。

ツールを駆使すれば、オンボーディング体験は解析、分析、改善が可能です。定性分析ツールのAppseeを用いれば、オンボーディングの最中のユーザーの行動を目で追うことができます。例えば、オンボーディング体験をどう組み立てるか悩んでいるなら、A/Bテストを行い、セッションレコーディングなどの定性分析ツールを使用して、どのアプローチがユーザーに合っているのかを確認しましょう。この定性データはアプリに関するユーザーの考えや行動の確認に役立ち、ユーザーにとって最高のオンボーディング体験を提供できているかどうかの証拠となります。

2:アプリの信用性が低い

ユーザーがアプリから離脱する大きな理由の1つがプライバシーに関するものです。モバイル端末はとても便利で、生活の一部となっていると同時に非常に個人的なものでもあります。そこには連絡先や、ソーシャルメディアのログイン情報、ネットバンキング情報、位置情報など、大量の個人情報が詰まっています。画像や動画は言うまでもありません。Edward Snowden事件や、Yahoo、LinkedIn、SWIFTの情報漏洩、「Fappenings(有名人のセクシー画像の大量流出)」や、情報窃盗や情報の悪用に関するメディアの報道によって、ユーザーはとても慎重になっています。

モバイルアプリに関しては、アプリ内での承諾や登録、情報の取り扱い、シェア、広告といったものからユーザーの警戒を読み取れます。

ユーザーをアプリから離脱させないためのベストな方法は、承諾を求める際、その理由を明確に伝えることです。また、登録はオプションにして、強制しないことをお薦めします。さらに、利用規約を用意して、ユーザーのデータが他の目的で利用されないことを示しましょう。

SNSのシェアに関しては、特に用心が必要です。承諾もなしに、アプリが何かを勝手に投稿してしまうことを嫌がる人もいます。投稿されている情報が、誰もが閲覧可能な状態のままだと、「スパム」だとみなされることもあるでしょう。シェアに関しては、ユーザーに全権をゆだね、承諾なしにソーシャルメディアに情報を投稿しないようにすることが重要です。それらを責任を持って行えば、ユーザーのことを考え信頼できるアプリであると認められるでしょう。

3:アプリのジェスチャーが使いにくい

アプリやソフトを見直すとき、注意することの一つは、覚えやすさと、使いやすさです。つまり。アプリに慣れるまでの時間が重要です。モバイルアプリのユーザーは、忙しく、デスクトップPCのように、ゆっくり座って使い方を覚えられません。モバイルアプリ離脱の理由の一つに、使いにくくて思った通りに操作できないことが挙がるのはそのためです。モバイルアプリのユーザーはほんの少しの煩わしさも敬遠します。つまり、アプリの使用開始後すぐに使い方が分かる状態でなければなりません。

アプリユーザーのインターフェースは、違和感なく、覚えやすいということが最も重要です。だからこそ、グーグルもアップルもインターフェースガイドラインを設けているし、どちらのプラットフォームもある意味同じように「感じる」のです。例えば、多くの画像管理アプリ(地図アプリや、ゲームなど)では、同じピンチズームジェスチャーを使います。もちろん、ダブルタップや、画面端でスクロールすることもできますが、多くの人が当然のようにズームイン、ズームアウトジェスチャーを使います。ピンチングジェスチャーと、実際に何かを指で引っ張る動作はもともと持っている感覚のため、イメージとして結び付けやすく、多くの人が実際にそのような動作を行うため、その動作が使いやすいものだと考えることは合理的であるといえるでしょう。

では、グーグルやアップルのように、習慣的な動作を取り入れるにはどうしたら良いでしょうか。ユーザーの行動分析は言うまでもありません。定性分析でも、ユーザーがアプリ使用時に同じような行動をする理由がわかります。そしてその情報をユーザーインターフェースの改良に役立たせることができます。例えば、アプリのメイン機能の35%しかユーザーが使わないことに気付いたとします。さらに、詳しい調査の結果、ユーザーがダブルタップするべきところで、スワイプしようとしていることに気付きます。そこで使い方のヒントを与えたり、使い勝手の良いようにジェスチャーを変えたりすることで、アプリ離脱を防ぎましょう。

4:アプリの広告がうっとうしい

ユーザーは無料アプリを無料で利用できる理由が広告であることは知っています。無料アプリは大好きだし、広告も我慢します。広告は煩わしくても、避けられないものと考えています。でも、多くの人はやはり「うっとうしい」と思っています。広告内容やレイアウト、頻度などは注意深く取り扱わないと、そのうっとうしさが災いして、アプリ離脱を促進させてしまうかもしれません。

慎重に取り扱うことを条件に広告を行うのなら、そうしてください。でも他にも広告のせいでアプリ離脱に拍車をかける理由はたくさんあります。それらは以下のようになります。

  • 不適切で暴力的な広告
  • 広告があちこちに出る
  • ポップアップ広告や、インタースティシャル広告が頻繁過ぎる
  • どこにも「閉じる」ボタンがない
  • ユーザーと関連性がない
  • 混乱する

5歳のわが子のゲーム用にタブレットを渡したのに、後々その子が露骨な戦争動画を見ていたとしたらどうでしょう。不適切で暴力的な広告は、そのような起こってほしくない結果を招くこともあり、ユーザーが敬遠する原因となります。もしくは、アプリのコンテンツよりも広告が多かったらと考えてみましょう。モバイルデータ通信料を支払っている人もいることを思い出してください。通信料の多くが広告に使われていたら、そのアプリは成功しないでしょう。

または、パズルゲームでインタースティシャル広告が出るたびに、最初のレベルからやり直さなくてはいけないとしたらどうでしょう。インタースティシャル広告は頻繁に出てきます。その上、閉じるボタンがない(あってもごく小さいもの)としたら、確実に多くのユーザーが離れていきます。

インスタグラムの広告システムは良くできているとても素晴らしい例です。誰かがアップしたと見えるように作られています。ユーザーを混乱させないし、頻度もちょうど良く、スワイプするだけでその広告を消すことができます。適度なモニタリングを行い、不適切で攻撃的な内容の広告が出ないようにしています。インスタグラムでは、アプリ画面上で際立ち過ぎず、周りになじんで見える完璧な広告システムが構築されているのです。

広告の扱いが上手い(アプリで不快な思いをさせない)もう一つの例は、非常に人気のあるゲームの「AA」です。AAでは、画面下に広告をレイアウトし、ゲームの邪魔にならないようにしています。一つのレベルをクリアすると、隙間広告が現れ、楽しく、自然な(レベル間の)ブレイクタイムを持てます。アグレッシブ過ぎず、派手すぎず、ちょうど良い具合です。

5:プッシュ通知でアプリを強要している

ユーザーに対して行う最悪の行為のひとつは、イライラさせることです。もし、プッシュ通知をたくさん送っているとしたら、完全に間違ったやり方をしています。ささいなことのように思うかもしれませんが、ユーザーを逃す危険な行為です。プッシュ通知は素晴らしい情報伝達手段であり、エンゲージメントツールです。適切に利用すればアプリに非常に良い影響を与えてくれます。しかし、節度をもって用いなければ、大失敗に終わります。最悪なのは、一度うっとうしいと思われたら、アプリの名に大きな傷がつき、イメージの修復はかなり難しいことです。

では、どうすれば適度なところを突いていけるのでしょう。それはどのアプリにも言えることですが、ターゲットのユーザーを適正に分析し、それに応じてプッシュ通知を減らすことです。

例えば、スポーツの試合結果を知らせるアプリなら、週に2回(おそらく1日に2回でも)、特に試合当日はプッシュ通知が届いても納得できます。試合結果を知りたい人は、応援しているチームの得点をできるだけ早く知りたがるものです。試合中に何度も得点が変わるようなら、プッシュ通知を2回ほど送るのも許容範囲内かもしれません。

でも、旅行情報アプリなどは、2日に1回も新しいホテルのお知らせを送る必要はないでしょう。そのような頻度で旅行する人はいません。しかし、はっきりと何回とは言えませんが、旅行情報アプリではプッシュ通知は一般的に行われています。実際に何回送れば良いか判断するには、テストするしかありません。ユーザーの反応を慎重にモニタリングしながら、少ない回数から徐々に増やしていきます。アプリを開いてすぐに通知を消すという結果がでれば、送りすぎです。プッシュ通知は素晴らしいツールですが、乱用しない場合にのみ有用です。

どのようなプッシュ通知を送るのかも重要です。今では、パーソナライゼーションが当たり前となっていることから、ユーザーは、自分や自分が興味のあるものに関連するプッシュ通知を期待します。好みや、履歴に合わせ、各ユーザーに関連するプッシュ通知を行うようにしましょう。アプリを自分向けにパーソナライズされていると感じるということは、ユーザーを引き留める最善策の一つです。

さいごに

アプリユーザーを惹きつけておくためには、一歩引いて、あらゆる面を見直してみましょう。ここまでで述べた5つの理由に、一つでも思い当たる節があれば、解決するまでその問題に取り組むことをお薦めします。アプリが良くできているなら、ユーザーはそのアプリに満足しているはずです。さあ、何が重要なのか今すぐ考えましょう。たくさんダウンロードしてもらうことも成功の重要な要素です。でも、ユーザーを満足させることもまた重要です。

この記事は、AppVirality社のブログ“Why Do Users Quit Apps and Never Come Back?”を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on AppVirality in English under the permission from the author.