検索エンジンの先駆者である大企業Yahooはインターネット普及の早い段階に生まれ、台頭するネット広告リーダーとして地位を確立しました。Yahooの検索技術は大変革を起こしました。Yahooのポータルサイトは非常に人気で、携帯電話向けに提供していたYahoo Go1) Yahoo!が2006年に米国で開始した、Yahoo! MailやYahoo! Photoなどのサービスや、Web上のさまざまなコンテンツをパソコン、テレビ、携帯電話からシームレスに利用できるサービスは群を抜いて最高のサービスでした。

 

この時、広告はいまだに”Mad Men”(広告会社での闇を描いたテレビドラマ)の様な時代の最中であったため、広告キャンペーンの有効性は追えていませんでした。マーケターは「クリエイティブ」な職業だと考えられており、それはつまり「キャンペーンには成功もあれば失敗もある」という主張がまかり通ることにもつながり、キャンペーンの成功や失敗の本当の理由を理解している人はいませんでした。広告主は格好いいバナー広告が表示されるように広告会社に莫大な金額を支払っていました。

 

当時、Yahooの創立者Jerry Yangは「私たちは広告を見た人からお金を稼ぐ」と言っていました。

 

検索技術を備えたグーグルを陥れる代わりに、Yahooはグーグルを受け入れ、オールドメディアの傘下にしようとしていました。理由はわかりませんが、Yahooの役員たちは「広告バナーは人々を決してうんざりさせない」と思い込んでいました。彼らは検索(技術)自体が一時的な流行だと考え、YahooはGoogleが最初に成功する領域である検索技術を見捨てたのでした。

 

そうして早くも2007年には、人々はYahooが時勢に追いついていないのではないかと感じるようになりました。会社には一年で四人のCEOがいました。すでに検索における競争はGoogleに大きく負けていました。新しい競争はモバイルでした。

 

世界的なモバイル広告のプラットフォームを扱う会社であるOpera MediaWorksのCEOであるWill Kassoyは、「モバイル領域で我々は”Mad Men”から”Math Men”に移行する。モバイルではすべてのことが測定可能になり、すべてのことが予測可能になる。」と言いました。

 

モバイルのおかげでマーケターはこの”Math Men”の時代に突入することができました。すなわち、マーケターは多様なチャネル間でキャンペーンの影響力を正確に測ることができるようになったということです。例えば、ニューヨークに住む35歳から44歳の男性の間で、どのアプリに入っているどの広告が最も人気なのかという情報を得ることができます。もしこのユーザーデモグラフィックがあなたのターゲット顧客だとしたら、上記のような情報は非常に価値があるのではないでしょうか。

 

YahooはGoogleやAlibabaのようなインターネットの巨人たちと連携し、Googleのユーザーエクスペリエンス担当副社長だったMarissa MayerをCEOとして起用しましたが、今回も動きが遅すぎました。Mayerは素早く、かつ積極的に動き30以上もの企業買収によってモバイル領域の人材獲得をしましたが、残念なことにYahooはキャッチアップできませんでした。優位性を失ったのです。

 

モバイル革命を通じたYahooの運命とFacebookの運命は比較してしかるべきでしょう。数年前の「Facebookはモバイル領域で成功できず、そのことが失敗の原因となる」という題名の記事を思い出すかもしれません。当時はFacebookがモバイル革命で生き残っていくかどうかはまだわかりませんでした。

 

しかしながら、Yahooがインターネットにおけるユーザー行動の変化を認知できず、対応することも拒んでいた間に、Facebookは素早く、卓越したカルチャーの変化を実施しました。

 

「モバイルに適応するのは技術的にはは簡単だ」とFacebookのモバイルファースト戦略をけん引した技術幹部で、シリコンバレーの事情にも通じているJocelyn Goldfeinは言いました。「大変なのは技術ではなく(内部の)カルチャーの変化です。」

 

モバイルに適応するために、Facebookはサービスの核となる価値を変えたり、多数のモバイル会社を買収したり、全社を挙げてモバイルのプログラムなどを強化する必要がありました。

 

最も大切なことは、モバイル革命で生き残るには適応しなければならないという意識をもつことです。Facebook社内では、絶対に緊急で対応しなければならないという危機感がありました。

 

私がFacebookで働いていた時はスピード感に魅力を感じました。自分ではコンパイルに時間がかかると思ったので同僚に助けを求めた時のことです。同僚から期待していた返事は「了解、今3つのプロジェクトをまとめているところだから1、2週間以内に着手するよ。」というようなものだったのですが、同僚からは「おお、今すぐやるよ。数時間あればコンパイルは完了するけどそれでいい?それで遅すぎるようであれば教えて。他の人にも手伝ってもらうので」という返事がきたのです。

 

モバイル領域で戦う会社にとって、このような速さで対応するのは必須だと思います。モバイル上では、ユーザー行動は加速的に変化し、ユーザーの要望に対応するために技術も変化しなければいけません。

 

数週間ごとに、人々はモバイルのプロダクトに慣れてきます。一か月前に行われていたことが今日ではもはや行われていないのです。売る価値があると思っていたものに突然競合企業から無料で買い取ると申し出されることもあります。消費者は18か月から24か月ごとに携帯電話を新しいものに買い替えます。このペースが遅くなることはありません。 モバイル会社はゆっくりと開発することなどできないと知っています。素早く学び、よりよいものを作ることが求められているのです。そして、Yahooがこの変化を拒んでいることが他社にとってはチャンスとなるのです。

 

現在Yahooは売りに出されていますが(編集部注: この記事は米ヤフーの売却が決まる前日に執筆さている)、もう一度やり直すには遅すぎるのでしょうか? 一年前、Verizonは消費者のネット領域の関心が高まっていることの一環としてAOLを買収しました。Yahooは関心のある企業から誘いを受けていますが、今のところ無視しています。今日、Verizonは財政的にYahooを買収できる唯一の会社という立場ですが、これはYahooの役員や株主にとって深刻なリスクです。

 

あなたの会社がモバイル革命を生き残れる方法についてもっと学びたければ、私のベストセラーの本であるmobilized: an insider’s guide to the business and future of connected technologyを読むか、scmoatti.comを見てください。

 

この記事は、Linked in上の記事“Why Facebook survived mobile and Yahoo hasn’t” を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。 Repro published the Japanese translation of this original article on Linked in in English under the permission from the author.

注釈   [ + ]

1. Yahoo!が2006年に米国で開始した、Yahoo! MailやYahoo! Photoなどのサービスや、Web上のさまざまなコンテンツをパソコン、テレビ、携帯電話からシームレスに利用できるサービス