業界の有識者にサービスグロースの秘訣を聞く大好評のインタビュー企画「Sailing Report」。

今回は6/18(火)に開催された、 「大手メディア企業のZERO to ONE」 をテーマにしたイベントにご登壇いただきました株式会社Gunosyの真武氏に、自社サービス「オトクル」のマーケティング戦略や今後の展望ついて語ってもらいました。

※真武氏がご登壇させたイベントの詳細はこちらをご覧ください

関連記事:

朝日新聞社の「実験室」、メディアラボから生まれた動画メディアの挑戦に迫る

日経電子版はOKRをいかにして導入し、成果につなげたのか。PMが語るプロダクトマネジメント術

日経×note -「Nサロン」が3ヶ月で自走するコミュニティになるまでにやったこと

インターンから新規事業責任者へ。自社の次の成長基盤を目指す

 

ー 真武さんはどのような経緯で「オトクル」のプロダクトオーナーを担当されるようになったのでしょうか?

真武:私のGunosyでのキャリアは、インターンとしてジョインしたことがスタートになります。もともとは半年間ほどインターンとして働いて、プロモーションチームにてKDDI社と協業で提供している「ニュースパス」の広告運用に携わっていました。

その後に女性向けの情報アプリ「LUCLA(ルクラ」の立ち上げとマーケティング責任者を担当しています。

 

ー 「オトクル」の前にも新規メディアを立ち上げられていたんですね!

真武:ありがたいことに、キャリアの早いタイミングで新規事業の立ち上げに携わることが出来ています。Gunosyは「データドリブンな思考」が文化として根付いていることもあり、若手であっても「合理的な正当性」があれば、チャンスを得ることが出来る環境です。

2018年の9月から新規事業開発室という新部署に異動し「オトクル」をプロダクトオーナーとして立ち上げたのですが、2回目となる新規メディアの立ち上げにチャレンジする機会に恵まれたのは幸せですね。

「グノシー」でのテストマーケティングが「オトクル」の前身となった

 

ー  「オトクル」はどのような背景でサービスリリースに至ったのでしょうか?

真武:実は、「グノシー」でも2018年の夏頃からテストマーケティング的にクーポンの配布を開始しており、2018年12月には「グノシー」内でクーポンタブを本格リリースしています。これは「アクティブユーザー数をどれだけ伸ばすか?」を考えた際に、ニュース以外でも毎日利用してもらえる可能性が高いという見込みから実装された施策です。

なので、背景としては、最初から別のアプリとして切り出して考えていたわけではありませんでした。

 

ー なるほど。では、なぜ「オトクル」として別のアプリを立ち上げることになったのでしょうか?

真武:「Gunosyとしてのアクティブユーザーの最大化」と「事業者様への送客効果最大化」という2つの最大化を目指したことが大きいですね。クーポンタブをリリースしてから、数字の詳細はお伝え出来ないのですが「ユーザー獲得」「継続率」「収益性」でそれぞれ成果が数字として現れ出していました。

この数字が見え始めてから、別のアプリとしてクーポンに特化することで情報をリッチ化し、適切なレコメンドの実現を目指していく方針にシフトしています。これまで「グノシー」でリーチ出来ていなかったユーザー層にも使っていただくことで、「アクティブユーザーの最大化」と「事業者様への送客効果最大化」を狙っています。

 

前例のない“パーソナライズされたクーポンサービス”を実現するのが「オトクル」

 

ー ちなみに他社でもクーポンサービスが提供されていますが、どのように差別化を考えていらっしゃるのですか?

真武:「オトクル」というサービスのコンセプトには、“パーソナライズをキーとしたクーポンという戦略があります。一般的なクーポンサービスはユーザー数を武器に訴求がなされていますし、それが刺さる事業者様もいらっしゃいます。

しかし、例えば、サービス提供エリアが固まっているローカルチェーンのような事業者様にとっては全国のユーザへの配信は最適なクーポン配布とは言えません。このような事業者に対して、地域情報などのジオマーケティング要素を活用していくことで、最適なクーポンサービスを提供出来るようになることが差別化ポイントとして挙げられます。

加えて、クーポン特化型のアプリとしてリッチなコンテンツと体験を提供可能なことから、O2Oの送客力も強くなると考えています。

 

ー なるほど! ちなみに、会社から「このように貢献して欲しい」といった要望はあったりされますか?

真武:経営陣からは、大枠のミッションとして「次の成長の準備」を提示されています。「オトクル」を通じて “Gunosyとしてのユーザー規模拡大の準備” にコミット出来るように、サービスをグロースさせなければという責任感がありますね。

 

前例のないサービスをデザインするという“生みの苦しみ

 

ー 類似サービスがない中での、新規事業立ち上げだと苦労がたくさんありそうですね・・・

真武:そうですね、生みの苦しみは多々ありました。笑  特に「UIデザイン」は苦労しましたね。

 

ー 「オトクル」を触ってみたのですが、デザインにはかなりこだわりを感じます

真武:ありがとうございます。こちらの記事が詳しいのですが、今回のデザインに行き着くまでに約120通りのパターンを出して、その中から最適なデザインを選んでいます。

先ほども言及してもらいましたが、「オトクル」には類似サービスがほとんどなかったこともあり、定石となるようなデザインがありませんでした。ですので、「そもそもファーストビューはどうあるべきか?」や「クーポン自体のデザインはどうするのか?」といった細部を詰めるのに、合計で1か月以上はかけています。

またデザインについては、徹底的なヒアリングと議論をしています。特にこだわったのが“いかに分かりやすく直感的に操作出来るかという部分で、シンプルだけど覚えやすいデザインになったと考えています。

加えて、「オトクル」はプラットフォームであり、インフラのようなポジショニングであることから、「オトクル」のファンになるユーザーは少ないと想定していました。

そこで、“犬のキャラクター”を生み出して、愛着を持ってもらえるようにとしたこともチャレンジングだったと思います。結果として、「キャラクターが可愛い!」という声もいただけるようになり、愛されるようになったのは良かったと感じています。

 

新規サービスの利用者獲得のポイントは“ビジョンセリング”にある

 

真武:生みの苦しみについては、もう一つ大きかったのが「クーポン提供事業者のリクルーティング」でしたね。

 

ー たしかに、新規サービスにおける事業者の獲得は難しさがありますよね

 

真武:そうなんです。課題を要素分解していくと「飲食という業界における事業理解」と「サービスが立ち上がったばかりで、価値提供が難しい」という2つの要素に分けられました。

前者については、これまでやってきた広告営業とは勝手が違い、飲食事業者の皆さんがどのような悩みを抱えているかを深く理解することが求められました。ただこの課題は、各事業者様と時間をかけてお話しさせていただいたり、業界理解の深い方にアドバイスを頂いたりすることで次第に解消していけました。

ただ、より課題として大きな壁になったのは、後者です。

 

ー なるほど。この部分はどのように解消していかれたのでしょうか?

真武:今「オトクル」のみにご掲載いただいている事業者様については、“将来的に「オトクル」が実現したい世界観や生み出したい価値”をお伝えすることで、共感していただくということが多いですね。

 

ー まさに“ビジョンセリング”を体現されていますね!

 

真武:やはり、立ち上げて間もないサービスなので“未来にどう投資してもらえるか?”という部分を考えながら、事業者様には向き合っています。また、「オトクル」の未来に投資してもらったからこそ、「サービスをグロースさせなければいけない!」という気持ちも高まっています!

 

パーソナライズの強化を目指して、ミニマムで仮説検証のサイクルを

 

ー 「オトクル」のリリースから数ヵ月が経ちましたが、現在は何に注力されているのでしょうか?

真武:今は、Gunosyの強みであるアルゴリズムを活用したパーソナライズ機能の強化に力を入れたいと考えています。具体的には、デモグラフィック情報からのレコメンドはもちろんのこと、閲覧履歴や位置情報などを活用して、一人ひとりにあった最適なコンテンツ配信が出来るようになることを目指しています。

ちなみに「オトクル」のロードマップはある程度見えていて、年内は何に注力するのかから、3年後のイメージはある程度決めています。

ただ、新規事業の方針はコロコロと変わるのが常なので、変にこだわりすぎず、柔軟に方向転換していくことも重要と考えています。次々と新しい前提が明らかになるので。実際、リリースしてまだ3ヶ月ですが、何度もサービスの方向性は変わっています。

 

ー 注力すべき優先順位を考えたり、工数の捻出などはどのようにされていらっしゃいますか?

真武:優先順位については、その機能に関する周辺情報を洗い出していきながらプロットして、何から優先的に取り組むべきかをユーザー目線と事業者様の目線と自社の目線から考えています。

また工数については、ツールなども活用して最低限の工数で最大の成果が出せるように工夫をしています。例えば、『Repro』を導入しているのですが、エンジニアの工数を割かずにコンテンツのPDCAを回したり、グロースハック施策を実施出来るのでありがたいですね。

ミニマムで仮説検証を行うことで、スピーディーにPDCAをサイクルを回していくことで、「オトクル」を進化させていければなと考えています。

 

「金銭」だけでなく“「時間」と「手間」”まで節約出来るUX提供を目指していく

 

ー 最後に、今後「オトクル」が目指していくサービス像をお聞きしたいです!

真武:「オトクル」が提供する体験として、“おトクでラクな買い物体験を、ノーストレスで提供する”のが理想の姿だと今は考えています。

節約というと、「金銭」だけにフォーカスがいきがちですが、それだけでなく「時間」や「手間」も節約出来る項目です。この3つの側面を同時に節約可能なサービスとして「オトクル」を改善していければと思います。

また、事業者様への価値貢献については、良い意味で「オトクル」への掲載に依存していただけるようにサービスの改善を目指します。そこからは、Gunosyの強みであるデータ分析などを活かして、事業者様の集客をサポートしていくことにチャレンジしたいです。

ただ先程も申し上げたとおり、サービスコンセプトは今も変わり続けています。オトクルはまだまだサービス検証、PMF証明の段階なので、しっかりとユーザーと事業者様を含めたマーケットを見定めながら、求められ、そして愛されるサービスにしていきたいと考えています。

日本ではまだ明確な成功事例がないO2Oアプリというジャンルですが、初の成功事例となるように「オトクル」をグロースさせていくことに奮闘していきたいです!

 

ー 真武さん、インタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました!

 

aCrew #2 for Media

大手メディア企業の新規事業責任者に、これからのメディアの在り方について聞く!

開催日時:6/18(火)18:30〜

イベントテーマ

今回のテーマは「大手メディア企業のZERO to ONE」です!

情報多寡の時代、著名な媒体であることの価値が下がってきている一方で、オフラインコミュニティの運営、クーポン施策、動画への活路など、大手メディア企業から従来のメディア運営を超えた新しいビジネスの取り組みが次々と始まっています。

そこで今回は、日経新聞朝日新聞の大手報道機関とスタートアップを代表するメディア企業Gunosy、そして急成長中のメディアプラットフォーム「note」を運営するピースオブケイク社の新規事業責任者をお招きし、大手メディアにおける新規事業の立ち上げ方や成功確度を上げる秘訣、主幹事業とのシナジーなどについて赤裸々に語ってもらいたいと思います。

メディア業界に在籍の方のみならず、これからメディア事業への参入を検討されている方や、新規事業のヒントを見つけたい方にとってもためになること間違いなしですので、ぜひご参加ください!

登壇者・予定テーマ

第一部

1. 株式会社Gunosy 真武氏
テーマ:オトクルの取り組みとGunosyのバーティカル戦略

2. 朝日新聞社 メディアラボ 深田さん
テーマ:朝日新聞メディアラボの取り組み
http://www.asahi.com/shimbun/medialab/

3. 日経新聞社 永吉さん
テーマ:会員コミュニティを育てるNsalonの取り組み
https://nsalon.note.mu/

参考記事: 「日経×note -「Nサロン」が3ヶ月で自走するコミュニティになるまでにやったこと

4. ピースオブケイク 水野さん
テーマ:noteの新しい取り組み

第二部

パネルディスカッション 登壇者4名 + モデレータ

 

↓ イベント詳細・申込みはこちらから ↓
https://repro.connpass.com/event/131865/

主催:Repro株式会社

開催日時:6/18(火)

開催場所:株式会社ピースオブケイク
東京都港区北青山3丁目1−番2号 青山セント・シオンビル4階

参加費:無料

 

関連記事はありません