はじめに

みなさんが普段チェックしているアプリの指標は何でしょうか。CPA、DL数、ARPUなど重視している指標は様々かと思いますが、今回はアプリの成長においてもっとも重要な指標の一つである継続率を把握する「リテンション分析」について、その重要性と利用方法をご紹介します。

 

リテンション(コホート)分析とは?

リテンション分析とは、どれくらいのユーザーがアプリを継続して使い続けているのかを確認することができる分析手法です。Googleアナリティクスなど他のアクセス解析ツールではコホート1)コホートとは共通の条件や属性をもった特定のユーザーグループのことです。コホート分析はもともと人口統計学、疫学などの領域で用いられていました。分析とも言います。

 

リテンション分析の重要性

リテンション分析によってアプリの継続率を把握することで、売上、コスト、UXという観点においてそれぞれ以下のようなメリットがあります。

 

メリット①:1ユーザー当たりのアプリの売上(LTV)を把握することができる

Revenue-xAU20160614

 

アプリの売上は「ARPU」(1ユーザーあたりの平均単価)と「アクティブユーザー数」で構成されます。ARPUにアプリの平均継続利用期間をかけたものがLTV(顧客生涯価値)となり、1ユーザーあたりの総売上になります。

 

Average Lifetime of a Customer = 1 ÷ Churn Rate(= 1- Retention Rate2)チャーンレート(解約率)とは https://growthhackjournal.com/words/customer-churn )

LTV =  ARPU x Average Lifetime of a Customer

ALCV

継続率をKPIとすることでLTV(1ユーザーあたりの総売上)も考慮した施策を考えることができる

xAUを追っているだけではアクティブユーザーを増やすための施策を考えることはできても1ユーザーあたりの収益を増やすための施策を考えることはできません。継続率はアクティブユーザー数とLTVという売上を構成するKPIの両方に関係があるので、アプリビジネスを成功に導くためには必ず抑えるべき指標です。

 

継続率とxAU、継続率とARPUの関係を詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください!

 

【決定版】アプリ事業のKPIツリー!

 

メリット②:ROIを考慮したユーザー獲得コストの最適化ができる

 

新規ユーザーの獲得コスト(CPA、CPI)は新規ユーザ施策にかけたコストをDL数で割ることで比較することができます。

 

しかし継続率を考慮せずCPAのパフォーマンスだけで施策を評価してしまうと、純損失になるものを良い施策として評価してしまったり、収益に貢献しているものを悪い施策と判断してしまう場合があります。
例えばTwitterとFacebookのアプリインストール広告の両方に広告予算を10万円投じて獲得ユーザー数がそれぞれ120人と150人だった場合、CPA(CPI)は以下のようになります。

 

CPA_table_00

 

一見するとFacebookはTwitterよりもユーザー獲得コストが安いので「Facebook広告により多くの予算を配分しよう」と判断することができそうですが、もし両者の継続率が下記のような場合はどうでしょうか。

 

 

FacebookはCPAこそTwitterよりも安いですが翌月継続率が20%と低く、1ユーザーあたりのLTVがCPAを下回ってしまっていることがわかります。逆にTwitterは翌月継続率が60%と高く、LTVがCPAを上回っているのでアプリの収益につながる獲得チャネルと言えます。

 

このように、継続率を把握することでROI(費用対効果)を考慮した獲得施策の意思決定ができます。

 

新規ユーザー獲得におけるリテンション分析の活用方法は、連載二回目の「リテンション分析で最適なユーザー獲得施策を知ろう」で詳しく解説します!

 

メリット③:アプリの成長につながる改修ができているか効果検証することができる

 

アプリのUX変更や機能追加などがアクティブユーザー増に貢献しているか確かめたい場合、xAUは改修による効果を見るためのKPIとしてふさわしくありません。なぜならアクティブユーザー数は曜日や季節、プロモーションなど様々な外部要因によって変動してしまうからです。

 

xAUからそうしたノイズを除去するために、初回起動後の継続率を加味したアクティブユーザー数を指標にしているアプリ事業者も見られます。例えばソーシャルメディアのPinterestは新規サインアップ後1週間以内に1回以上Pinterestを使っているユーザーの割合を「1d7s」という指標で定義しています。3)Pinterestがウォッチしている27の指標を大公開!https://growthhackjournal.com/casestudy/27-metrics-pinterests-internal-growth-dashboard また、ソーシャルゲーム会社のドリコムは5日間連続でゲームをプレイしているユーザをDAUの代替指標として用いているそうです。4)スマホマーケットの概要と、マーケティングの失敗例と改善 (アナリティクス アソシエーション 特別セミナー) http://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/ss-36318485
アプリの内部改修におけるリテンション分析の活用方法は、連載三回目の「マジックナンバーを見つけよう」で詳しく解説します。

 

リテンション分析画面(コホート画面)の見方

ここからはReproのリテンション分析画面を例にできることを説明していきます。画面の基本的な見方に関してはGoogleアナリティクスのコホート分析画面と同じなので、今Reproを使っていない方もこれを機会にぜひ覚えてください!

 

Retention01_skitch

横軸:日数の経過による継続率の変遷

横軸で日数の経過による継続率の変化を見ます。日ごとの継続率の変遷を比較することで、新規ユーザーの継続率が高い施策を把握することができます。

 

縦軸:翌日、7日後などx日後時点での継続率

縦軸では日ごとの翌日継続率や7日後継続率を見ます。x日後時点での継続率を比較することで、チュートリアルなど初期段階のユーザーを定着させるプロセスが改善されているかを把握することができます。

 

すべてのユーザーと新規ユーザーのコホートを分ける理由

Reproのリテンション分析では「すべてのユーザー」と「新規ユーザー」に分けています。新規ユーザーだけを対象としてリテンション分析をすることで、UXの変更などすでにアプリを使い慣れているユーザーのバイアスを排除しより正しい効果検証を行うことができます。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。第一回ではアプリにおけるリテンション分析のメリットと分析画面の見方についてご紹介させていただきました。

 

DLされたアプリの翌日離脱率は平均71%にも上るというデータもあります。リテンション分析を理解してアプリの正しい成長につなげましょう!

次回はリテンション分析を使った新規ユーザー獲得の最適化についてです!お楽しみに。

 

関連記事

ROIを考慮してアプリの新規ユーザー獲得施策を考えよう(リテンション分析を用いたアプリのグロース② )

 

マジックナンバーを見つけてアプリの継続率を上昇させよう(リテンション分析を用いたアプリのグロースハック③)

 

 


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注釈   [ + ]

1. コホートとは共通の条件や属性をもった特定のユーザーグループのことです。コホート分析はもともと人口統計学、疫学などの領域で用いられていました。
2. チャーンレート(解約率)とは https://growthhackjournal.com/words/customer-churn
3. Pinterestがウォッチしている27の指標を大公開!https://growthhackjournal.com/casestudy/27-metrics-pinterests-internal-growth-dashboard
4. スマホマーケットの概要と、マーケティングの失敗例と改善 (アナリティクス アソシエーション 特別セミナー) http://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/ss-36318485