アメリカや中国をはじめとして、グローバルでテクノロジーとデータを駆使し、オフラインとオンラインを融合する「OMO」関連の取り組みが目立つ。
デジタルシフトの波が押し寄せる中、日本のリテールは一歩出遅れている状態だ。

こうした日本のリテール企業のデジタルシフトを推進するために誕生したのが、株式会社オプトのオムニチャネルイノベーションセンターだ。
今回の記事では、オムニチャネルイノベーションセンター OMO戦略部 部長である本郷氏に、リテール企業に提供する施策や今後のOMO、ユーザー行動の変化について語っていただいた。

プロフィール

本郷 一也

株式会社オプト オムニチャネルイノベーションセンター OMO戦略部 部長

2006年株式会社オプトへ入社。2007年オプトグループのクロスフィニティへ出向し、SEOやアフィリエイトの営業・プロダクトマネージャーを経て執行役員に就任。台湾子会社の董事を経験後、2018年1月オプトへ帰任。O2Oプロジェクト立ち上げの後、グループ横断組織オムニチャネルイノベーションセンターに参画。

 

オムニチャネルイノベーションセンターは、リテール企業の販促やデジタルシフトの支援を実施

 

ーまず、オムニチャネルイノベーションセンターを設立した経緯を教えてください。

 

本郷:2017年~2018年にかけて、リテール(小売業)がデジタルシフトする流れが出てきています。その要因は2つあると考えています。

 

1つは、Amazonやアリババが、小売のデジタル化を強力に推進している点が挙げられます。Amazonはデジタルテクノロジーを駆使してレジレスコンビニの「Amazon GO」などのリアル店舗を続々と出店しています。中国ではアリババが、スマホと連動したニューリテールスーパー「盒馬鲜生」を運営していますね。

 

2つ目は、日本国内の広告市場の変化によるもの。広告市場は約6兆円ほどの規模で、その中でチラシ・新聞の折込み広告は一時の半分ほどにまで落ち込んでいます。それだけ、新聞の折込広告に対して予算投下しにくくなっているんです。一方で伸びているのがデジタル広告。費用対効果が見やすいですし、スマートフォンという圧倒的に強力なデバイスは活用せざるを得ない。

 

こうした大きな変化の中で、リテールのクライアントと向き合い、販促やデジタルシフトの支援をしていくために、オムニチャネルイノベーションセンターを立ち上げました。

 

ーオムニチャネルイノベーションセンターでは、実際どのような施策を手がけているのでしょうか?

 

本郷:ユーザー分析、来店促進、店舗来訪、CRM・LTV向上という4つの領域で、一気通貫した支援をしています。

ユーザー分析の領域では、位置情報を活用することで、自社だけを利用するユーザー、競合に流れているユーザー、自社と競合を併用しているユーザーの割合を算出できます。

オプトの子会社であるコネクトムの店舗事業者向けマーケティングサービス「toSTORE」を利用すれば、競合だけを使用しているユーザーの居住エリアだけに広告を出す、などの施策を実施することも可能です。

 

来店促進では、ユーザー分析に基づいてGoogleやLINEなどのプラットフォームを活用し、費用対効果を高める広告運用を行います。

 

さらに、購入後のリピーターを増やすために、ユーザーIDをデータとして蓄積し、購買頻度やこの商品を買ったユーザーは次に何を買うか、などを分析し、LTVを向上させるCRM施策にも力を入れています。

 

特に、弊社はCRMやLTVを向上させる領域に強みを持っています。これらの分析データを基にして、来店促進の施策につなげることもできます。

 

ーオムニチャネルイノベーションセンターのクライアントは、どのような企業が多いのでしょうか?

 

本郷:100店舗以上の多店舗展開されているクライアントが多いですね。

 

支援させていただくなかで感じるのは、同じリテールでも、業種・業態によって力を入れたい領域の違いがあること。

 

たとえば、アパレル系は来店促進よりCRM・LTV向上領域のニーズは高い傾向があります。

会員カードを発行しているものの、販路が百貨店、直営の路面店など多岐にわたるため、データがバラバラになり、POSデータの情報も紐づいていないことが多い。

そういった状況なので、既存ユーザーをロイヤル化するほうが、効率がいいんですよね。

逆に、アパレル以外の専門小売の場合は、チラシの代替として来店促進を増やすことに注目している印象があります。

 

ー顧客IDの統合に課題を感じている企業は多いと思うのですが、そういった場合はDMPを使用することが多いのでしょうか?

本郷:DMPは主に3rd partyデータを収集し広告のターゲティング等に活用していますが、リテールのマーケターは、性別、名前、居住地、購買頻度、POSデータなどオンライン・オフライン双方の自社データ(1st partyデータ)を統合し活用できるCDP(カスタマーデータプラットフォーム)に注目しています。

 

CDPは必要なデータを蓄積し、活用したいデータを瞬時に取り出せるのがいいんですよね。当社では、そうしたリテール向けのCDPの開発も進めています。

 

ーマーケターがデータを取り出しやすく、ユーザー1人ひとりへのOne to Oneマーケティングにも取り組めることが、御社の強みなのですね。

 

本郷:そうです。オンライン・オフラインのデータをCDPで管理、そのデータを活用してLINE、SNS、アプリ、広告などさまざまなチャネルを通してユーザーと最適なコミュニケーションを取ることで、顧客のUXを最適化する支援もしています。

 

上層部がイノベイティブな企業ほど、OMOを成功させている

 

ーOMOを実践すると決めた企業が、つまずきがちな課題はありますか?

本郷:現場のマーケターがデジタル施策を実行したいと思っているのに、決裁権のある経営層が動かないために稟議が通らない、という話はよく聞きます。

やはり経営層が危機感をもって、下を動かしていくくらいでないと、なかなか進みにくいのが事実です。

そこで当社では、クライアント様向けに中国視察を実施して、実際にデジタルシフトを体感してもらう機会を作っています。

 

また、紙媒体をメインにした集客をミッションとする部署と、デジタルでの販促活動をミッションとする部署が分かれていて、組織間の連携が進みにくいという課題を抱える企業もあります。

こうした弊害をなくそうと、販促とデジタルの組織をまとめて、オムニチャネル推進室を作るという動きも生まれています。

 

ーやはり上層部の理解が必要なんですね。では、現場担当者からOMOを進めたい!と相談されたときに、どのような支援をされていますか?

 

本郷:担当者と一緒に、上層部を説得するための材料を揃えます。説得に必要な材料は、やはり費用対効果がどれだけあるかがわかるデータなので、クライアントの状況に合わせた他社事例や実績を収集しますね。

説得できたら、まず最初は少額の予算で結果を出し、成功体験を積み重ねて徐々に施策の規模を拡大していきます。

 

ー上層部だけでなく、実店舗のスタッフがあまり協力的ではないというケースもあるのでしょうか。

 

本郷:多少はありますね。でも、実際に施策を始めてお客さんが増えた実感があれば、どんどん協力的になっていくケースがほとんどです。こちらも、小さな成功体験を積んでいくことが大事だと思います。

 

ーOMOを成功させている企業に共通点はありますか?

 

本郷:会社の上層部が変化に敏感であることです。旧態依然とした企業はなかなか動かない印象があります。

世の中のデジタル化の動きは待ってくれません。やる・やらないではなく、どう活用していくかを考える必要があります。その流れに乗り遅れたサービスや事業は、最終的には淘汰されてしまうと考えています。

そうした考えを伝えることも、私たちの役割だと思っています。

 

あらゆる販売チャネルで同じ価値を提供する

 

ー今後、OMOのテクノロジーはどう進化し、ユーザー行動はどう変化していくとお考えですか?

 

本郷:オプトはこれまでマーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)のうち、プロモーションの領域でビジネスを展開してきました。今後はより広い領域でクライアントを支援していきたいと考えています。

 

たとえば、接客の手間をいかに削減するのかといった課題の解決にも踏み込めます。

お客様が来店したときに、店内においたビーコンで、購買履歴や好む接客スタイルまでわかれば最適な接客ができます。

データ分析によって雨上がりの数時間は来客が増える傾向があるとわかったら、雨上がりのときは店舗スタッフがバックヤードではなく表に出るように最適なシフトを組む、なども可能になりますね。

 

また、アメリカではポップアップショップが流行っています。ショップは物を販売する場ではなく体験してもらう場で、購買はWebでしてもらうという流れです。Webで購買してもらえれば様々なデータが蓄積しやすくなるので、次のビジネスに活かすことができます。こうした海外の施策を、日本でも実現していきたいと考えています。

 

ークライアントにどんな価値を提供していきたいですか?

 

本郷:大げさなようですが、我々オムニチャネルイノベーションセンターは日本のリテールを救いたいと思っています。アメリカや中国と戦っていくためには、デジタルシフトは欠かせません。

そのためには、店頭、ECなど場所を問わずどんな販売チャネルでも同じ価値を提供して、ユーザーの経験価値を上げていくことが重要だと考えています。

 

 

8/7(水) aCrew for retail 開催!

第一線で活躍する5名が小売業界で勝ち抜く為の差別化戦略について語る

開催日時: 8/7(水)18:30〜

イベントテーマ

今回のテーマは「OMOによる顧客体験向上」 です!

海外の先進国では小売業界のデジタル化が進み、O2Oやオムニチャネルの流れからOMOへ移り変わりはじめています。

OMO(Online Merges with Offline)は、店舗とオンラインの垣根をなくすことを意味し、 “顧客体験(CX)”をベースとしています。 スマートフォンやSNSの普及による顧客接点の増加とデータ取得・活用技術の発展により、顧客一人ひとりにあわせた対応が実現可能となってきています。今後は、顧客体験向上に向けたマーケティング施策が他社と差別化を図るカギとなるでしょう。

そのような業界の流れを踏まえ、今回は小売・EC業界の最前線で活躍する方々をお迎えし、OMOとは何なのか、事業成長や顧客体験向上のために現場ではどのように考えどのように実践しているのか、最新事例を踏まえながらトークセッション形式でお話しいただきます。

 

登壇者

株式会社パルコ CRM推進部 業務課長 塩谷 旬 氏

株式会社ピーチ・ジョン カスタマーデライト向上インフラ推進部 カスタマーデライト向上インフラ推進課 課長 宮澤 雅行 氏

株式会社オプト オムニチャネルイノベーションセンター OMO戦略部 部長 本郷 一也 氏

株式会社アイスリーデザイン 代表取締役 芝 陽一郎 氏

オムニチャネルコンサルタント 逸見 光次郎 氏

 

トークセッション

モデレーター: Repro株式会社 BizDev 執行役員 吉澤 和之

パネリスト: 上記5名

 

↓ イベント詳細・申込みはこちらから ↓

https://repro.connpass.com/event/138935

主催:Repro株式会社

開催日時:8/7(水)

開催場所:Repro株式会社

東京都渋谷区代々木1丁目36−4 全理連ビル4F

参加費:無料

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