はじめに

EコマースアプリにおいてARPU(顧客単価)を上げるためには「購入までのコンバージョン率」、「商品単価」、「一回あたり購入数」、「購入頻度」、「リピート率」などが重要な指標です。

 

特に旅券や家電など購入頻度や購入点数を上げるのが難しい商材を扱うアプリでは、数少ない購入機会を逃さないようにコンバージョンまでのプロセスを最適化し、  オプション商品のサジェストなどによって購入単価を上げることが売上アップにつながります。

 

次々と新しいことに挑戦し、スイーツ業界に革命を起こしているBAKE社のアプリ「ピクトケーキ」も記念日に贈るケーキという特性上けっして1ユーザーあたりの購入頻度は多くありませんが、Repro導入によって購入意欲のあるユーザーを確実にコンバージョンさせ、オプション商品の購入を促すことによって売上増を実現しています。

 

ピクトケーキのプロダクトマネージャー正木さんにお話を伺ったところ「売上増にもつながっていますが、Reproによって開発チームとのコミュニケーションがスムーズになりました。」との答えが。 今日は同社のRepro活用方法について詳しくご紹介します!

 

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株式会社BAKE プロダクトマネージャー  正木 友佳 様

サービス紹介

2016年からBAKEにジョインし、「ピクトケーキ」というスマホから簡単にオリジナルの写真ケーキを注文できるアプリを運営しています。注文から最短2日でお届けでき、アプリから写真のデコレーションも可能です。 誕生日や結婚記念日、卒業式など特別な日のお祝いとして多くの方にご利用いただいています。

 

「お菓子ベンチャーの新しいチャレンジ」としてアプリを提供

弊社は「お菓子にもっと新しい価値を」というミッションのもと既存の製菓業界に囚われないビジネスに挑戦しており、ピクトケーキのアプリもお菓子ベンチャーが行う新しいチャレンジとして始まりました。リリース以降アプリから注文する割合がどんどん増えてきており、今ではオンラインにおける全注文の3割弱がアプリ経由です。

 

お祝い事でご利用いただくケーキなので、アプリのユーザー数は催事によって大きく変動します。例えばクリスマスは年間を通じて一番注文が入る時期ですが、それが終わるとバレンタインの時期までは落ち着きます。

 

お祝い事の無い時期にケーキを注文するユーザー数を増やすのは難しいので、その分ケーキを注文する意思のあるユーザーには確実に買ってもらいたいと思っており「コンバージョン率」や「ARPPU」といった指標の改善に取り組んできました。

 

離脱箇所はわかっても離脱「理由」はわからず

今までも注文までの各プロセスの離脱率はGoogleアナリティクスで計測し、ケーキ選択画面で離脱しているユーザーが多いことはわかっていましたが「なぜ離脱しているのか」という原因まではわからず、ユーザーインタビューなどをしてもあまり示唆は得られていませんでした。

 

私がピクトケーキの担当になってすぐにReproの導入を提案しました。前職でもアプリのディレクターをしていたのですが、以前担当していたアプリも同じような課題があったところをReproのファネル分析と動画分析で改善することができ、ピクトケーキも必ずReproで改善できるという確信があったからです。

 

離脱要因は驚くほどシンプル。UI改善でCVRは20%アップ

Reproの便利なところは「ファネル分析」を使って注文プロセスで離脱が高いところを特定できるだけでなく、そこからワンクリックで「ケーキ選択画面で離脱しているユーザー」の動画を確認できるところです。

 

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離脱率の高いところをファネル分析で特定し、

その場所で離脱したユーザーの動画を見ることができる

 

ケーキ選択画面のユーザー動画をチェックしたのですが、離脱要因は驚くほど単純でした。ケーキの味やサイズを選択するUIはピッカー1)ユーザーに複数の用意された選択肢から1つを選択させる際に使うUIコンポーネント。https://developer.apple.com/jp/documentation/UserExperience/Conceptual/MobileHIG/Controls/Controls.htmlで実装していたのですが、これがわかりづらい上に自分が選んだものをうまく選択できなかったためユーザーのストレスになっていたんです。

 

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改善前のケーキ選択画面。ピッカーというiOSの標準UIで実装していた

 

ピッカーはiOSのデフォルトUIコンポーネントなのでユーザーは当然使い慣れているものだと思っていたのですが、実際は思い込みでした。これを踏まえてケーキの種類、味、サイズをそれぞれ独立した画面で選択させるようにし、大きな画像付きのボタンで自分がどんなケーキを注文しようとしているのかが視覚的にわかりやすいUIにしました。

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改善後のケーキ選択画面ケーキの種類、味、サイズを

それぞれ別の画面に分け、CVRは20%向上した

 

画面数でいうと注文プロセスは長くなっているのですが、この変更を行ってからは注文完了のコンバージョン率が20%も上がりました

 

一度気づいてしまえば「確かにこれは使いにくいな」ということがわかるのですが、常に自社のアプリを触っているとそのUIに慣れてしまってついユーザー視点を忘れてしまうことがあります。そういった慣れや思い込みはReproでユーザー動画を見ることですぐに気づくことができますね。今は毎週決まった時間にアプリの担当者全員でユーザー動画を見るようにし、毎週のように新しい発見があります。

 

ケーキグッズの順番変更で顧客単価上昇

他に動画を見て売上の改善に繋げることができたのはオプション商品の購入単価です。以前は無料のキャンドルを選択肢の一番上に置いていたのですが、キャンドル以外の有料オプションを見ないまま購入完了してしまうユーザーが多いことが動画でわかりました。お皿やフォークといった有料オプション商品の選択肢をキャンドルよりも上にしたところ、ARPPUが約40円上がりました。

 

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オプション商品の順番変更で購入単価UP

アプリ内メッセージで急な施策にも対応

非エンジニアでも簡単に画像付きメッセージを実装できるのもReproの便利なところです。

 

以前からカスタマーサポートを悩ませていたのが台風でした。台風の時期は配送の遅延の可能性があることをユーザーに呼びかけるのが難しく、問い合わせの電話や直前のキャンセルがすごく多かったんです。

 

Reproのアプリ内メッセージを使って台風が来る期間にケーキを注文しようとしているユーザーに対して配送遅延に関するお知らせを表示したところ、遅延に関するお問い合わせやキャンセルするユーザーは半分以下になりました

 

本来であればアプリ内メッセージを出すにはエンジニアに実装をお願いしなければならず台風に合わせて施策を打つなんて考えられなかったので、こういった急な施策もReproで即日実行可能なのはとても助かっています。

 

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急な台風でも改修なしでアプリ内メッセージによるお知らせが可能

 

動画を活用しオフショア開発とのコミュニケーション改善につなげる

売上の改善に役立ったという話をしてきましたが、実はReproに一番助けられているのはオフショア先とのコミュニケーションかもしれません。ピクトケーキのiOS版はベトナムのエンジニアに開発してもらっているんですが、言語の問題もある上にベトナムにはケーキをデリバリーするという文化がないため、アプリのコンセプトや機能について全然理解してもらえなかったんです。そのため課題感や改修の意図を共有するのが大変でした。

 

その点Reproであればエラーの箇所やユーザーが迷っている様子を動画で見せることができるので説明がすごく楽ですし、彼らもずいぶんアプリについて理解してくれるようになりました。コミュニケーションが取りやすくなったことでアプリの改善スピードはかなり上がりましたね。

 

Reproは「UXの重要性を啓発できるツール」

個人的にReproは「UXの重要性を啓発できるツール」だと思っています。アプリを担当していない人にとって、ちょっとした操作やボタンの変更が売上に大きく影響することってなかなかイメージしにくいと思うんです。そういう人たちも注文プロセスで離脱している動画などを見てもらうことで「アプリの使い勝手って大事なんだな」というのを理解してもらえるので、弊社のようにアプリ開発の経験が浅い会社で上司をなかなか説得できていない方はReproを導入するといいと思います。動画はかなり強力な説得材料になりますよ。

 

 

注釈   [ + ]

1. ユーザーに複数の用意された選択肢から1つを選択させる際に使うUIコンポーネント。https://developer.apple.com/jp/documentation/UserExperience/Conceptual/MobileHIG/Controls/Controls.html