注意(Attention)・関心(Interest)・欲求(Desire)・行動(Action)、の頭文字をとったAIDAとは、消費者が購入に至るまでのプロセスを説明する上で何年もの間使われてきた理論です。近年は、さらに満足(Satisfaction)も加え、AIDASとも呼ばれています。

オンボーディングは顧客満足度の向上には不可欠な要素であり、様々な形があります。従来のオンボーディングでは、商品に取扱説明書を同封するという方法が一般的でしたが、最近では、実際にアプリを使ってもらいながら説明するチュートリアルや「YouTube」でアプリの使い方を説明した動画を見せる例も出て来きました。こうしたオンボーディングは効果的ではあるものの、必ずしも顧客満足度の向上に繋がるとは言えません。

特にモバイル業界では、オンボーディングがユーザーのエンゲージメントに大きく影響します。マイクロラーニングを利用することで効率の良いオンボーディングを作成できるようになります。

マイクロラーニングとは?

マイクロラーニングとはeラーニングのひとつで、短期集中型の学習方法です。1つのコンテンツにつき3分から6分の長さになっているので、集中力を切らさず、継続的に学べます。

マイクロラーニングをオンボーディングに利用することで、ひとつひとつのチュートリアルをユーザーが行ってくれる可能性が高くなります。「Journal of Applied Psychology」によれば、マイクロラーニングは従来のeラーニングの学習形態と比べ、およそ17%効果的だと発表しています。また、マイクロラーニングを導入した企業で、投資額が30%安くなり、ROIを2倍に高められたという事例もあります。

オンボーディングにおける効果

マイクロラーニングを活用したオンボーディングと、従来のオンボーディングには大きく2つの違いがあります。従来のオンボーディングでは、各チュートリアルで達成すべきことや学ぶことが複数あるのに対し、マイクロラーニングでは、それぞれのチュートリアルで一つずつの目標に集中します。

さらに、構造自体も異なります。デュイスベルグ学習研究所 (Duisberg Learning Lab) のMichael Kerres教授は「従来のオンボーディングには一時的なドラマツルギー」が含まれていると述べています。ここでのドラマツルギーとは、そのコンテンツにおけるイントロダクションから説明、実際の使い方、そして結論までの一連の構造を指しています。マイクロラーニングを活用したオンボーディングでは不要な部分を取り除き、要点のみを抑えています。

また、マイクロラーニングを活用したオンボーディングは、顧客に合わせて学ぶコンテンツを自由にカスタマイズすることが可能です。

マイクロラーニングを活用したオンボーディングの実践

ここからは、マイクロラーニングがどのようにオンボーディングに活用されているのか、いくつかの実例をご紹介します。

アプリ内メッセージ

ユーザーが使おうとしている機能のチュートリアルをアプリ内メッセージで送信することで、ユーザーが全てのチュートリアルの中から探す手間を省くことができます。

「Canadian Center of Science and Education」の研究では、イントロダクションからまとめまで、一連の流れをすべて抑えた構造的な学習よりも、学習の意味探求を重視した文脈学習の方が絶大な効果があると発表しています。

プッシュ通知

プッシュ通知は、ユーザーが嫌がることも多く、あまり活用されていないケースも多いです。しかしながら機能が多いアプリにおいては、プッシュ通知を活用して素晴らしいオンボーディングを設計することが可能です。

プッシュ通知を利用することで、機能を一つずつ紹介できます。これによりユーザーがチュートリアルを行う確率を高めるとともにリテンション率を向上させ、さらにエンゲージメントも高めることができます。

コーチマーク

プッシュ通知は、アプリの様々な機能をユーザーに学んでもらうのには役立ちますが、その機能の詳しい説明にはあまり適していません。コーチマークは、ユーザーが初めてアプリを起動した時に実際のアプリの画面上にオーバーレイで表示される、操作方法を記したテキストのことを指します。コーチマークを活用すれば、ユーザーに機能の詳細を提供することが可能です。

プッシュ通知とコーチマークのもう1つの大きな違いは、これらの2つのツールで発生する伝えられる機能の量です。プッシュ通知は、ユーザーが使っていない、または使い方がわからない機能に関してのチュートリアルを、その機能の数に応じて提供することができるのに対し、コーチマークは、ユーザーがアプリを初めて使うときにのみ表示されるため、伝える機能が限定されている場合にのみ活用できます。

2つのそれぞれの利点を活かし、コーチマークでまずエンゲージメントを高め、プッシュ通知を活用してリテンション率を高めると効率がいいでしょう。

eラーニングのモジュール

上記の方法は、消費者向けのアプリにおけるオンボーディングに効果的です。しかし、法人向けの企業では、新しいクライアントを獲得するのに何週間も掛かります。この場合、プッシュ通知やコーチマークは、あまり効果的ではありません。

ここでは、eラーニングが大いに役立ちます。その際マイクロラーニングを活用することで、関連するトピックごとに、何種類ものチュートリアルを提供することができます。チュートリアルを行なって、機能の使い方が身についているか確かめるクイズを作成することも可能です。

このように、膨大なチュートリアルを、小さなセッションに分けて提供できることから、マイクロラーニングの活用がオンボーディングには効果的であることが分かります。また、eラーニングでは、プッシュ通知やコーチマークとは異なり、クライアントが自分のペースでチュートリアルを進めることができます。

さらに、eラーニングは既存のクライアントの学びの場としても利用することができます。もう一度特定のチュートリアルを行いたいという顧客に対応することも可能になります。

スマホ以外でのマイクロラーニングを活用したオンボーディング

前述したようなオンボーディングのテクニックが、リテンション率やROIを向上させるのに効果的であることから、こうしたテクニックはスマホ以外のプラットフォームでも利用することができます。ここでは、そのオンボーディングテクニックを用いた例をいくつかご紹介します。

YouTubeビデオ:YouTubeは、チュートリアルを顧客に提供するのに効果的なプラットフォームです。既に数多くの企業がYouTubeを利用して、個人レッスンやオンラインセミナーを実施しています。マイクロラーニングもコストパフォーマンスの良いオンボーディングのテクニックとして認知されて来ています。例えば、「Salesforce」は、CRMのプラットフォーム上で特定のタスクを行う方法を顧客に教えるため、マイクロラーニングを活用したビデオを数多く配信しています。 チュートリアル/ユースケース:マイクロラーニングは、単に膨大なオンボーディングのレッスンを分割するだけではなく、より効果的にカスタマイズすることもできます。つまり、マイクロラーニングを活用したオンボーディングテクニックとは、従来の一連したeラーニングとは違い、臨機応変さや過去の事例から修正する柔軟さを持ち合わせています。こうしたオンボーディングのテクニックは「状況 (Situation) – 探求 (Seek) – 解決 (Solution)」と呼ばれる3S手法に基づいています。顧客は状況を見て判断し、適切な解決策を見つけ出すのです。

このテクニックは有効ではあるものの、ユースケースをベースとしたオンボーディングシステムを使用できるのは、主にゲーム開発者 (新しいプレーヤーがゲームで様々なキーや武器を使用出来るように促す目的など) に限定されています。ユースケースをベースとしたオンボーディングは、他の業界では未だに主流ではありません。

いかがでしたでしょうか?今回紹介したマイクロラーニングをオンボーディングプロセスに活用することで、モバイルビジネスの成功の可能性を高めることができるでしょう。

この記事は、Apptentive社のブログ”Bite-Sized Learning Techniques for Mobile Customer Onboarding “を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on Apptentive in English under the permission from the author.

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