アプリのマーケティングにおいてLTVを計算することは必要不可欠ですが、情報があまりなく、どのように計算すれば良いのかわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

今回はLTVの計算方法と、その値をどのように活かせばいいのかをご紹介します。

LTVの計算方法

基本的なLTVの計算数式は、ユーザー1人当たりからの生涯平均収益をDAUで割ったものになります。ここでいう「生涯」とは、基本的には継続率から算出されたユーザーのアクティブ日数を指します。データが少ないときは、関数を使うことで算出することもできます。

以下にLTVを計算するときに気をつけるべきポイントをご紹介します。

  1. LTVの計算は、プラットフォーム、国、流入チャネル(オーガニックチャネルなのか有料チャネルなのか、さらに有料の場合FacebookなのかGoogle AdWordsなのかなどの区別を含む)ごとに行う必要があります。

  2. LTVの計算時には、どの程度の期間を見据えているのか、おおよそ決めておく必要があります。90日という短期間で設定している企業もある一方、365日という長期間で設定している企業もあります。どちらが良いというわけではありませんが、アプリのカテゴリや、各社の戦略によって期間を設定する必要がある場合もあります。 例えば、ゲームアプリの中でも一般的にサイクルが短いと言われているカジュアルゲームや短期間で収益をあげたい場合は短期間で設定するといいでしょう。

  3. アプリ内の収益以外に、広告でも収益を得ることができます。ただし、すべての地域で同一のeCPM (有効インプレッション単価) が得られるわけではありません。eCPMは広告費用をインプレッション数で割り、1000をかけたものになります。

正確な数字を求めているのであれば、プラットフォームや国ごとでアプリ内広告の収益を分析する必要があります。

バイラリティ

バイラリティとは、SNSや口コミなどを通してアプリが拡散されることをさします。このバイラリティは、企業によって大きく異なるので、正確にLTVを出したい場合にはバイラリティを加味する必要があります。LTVの数式からバイラリティを無視してしまうと、UA(ユーザーエージェント)にアプローチするにあたって慎重にならざるを得なくなり、モバイルビジネスの拡張性が制限されてしまう可能性があります。

以下にデベロッパーたちが実際に行ったLTVへのアプローチを4つご紹介します。

  1. バイラリティは完全無視

この方法はLTVが最も誤差なく出せる方法です。しかし、ユーザーエージェントの規模を制限してしまう可能性のある、最も保守的なアプローチでもあります。

  1. 有料トラフィック以外のすべてのバイラリティを考慮する

最も簡単にLTVを算出できます。しかし、すべてのオーガニックトラフィックがバイラルトラフィックというわけではないので、最も非正確なアプローチでもあります。

  1. オーガニックトラフィックから発生したもののみを考慮する

シンプルではあるものの、効果的にバイラリティと収益を結び付けることができます。

  1. アプリ内に、バイラリティやフィーチャリング、ユーザーチャートマップなど複数の「K-factor」を持つ

これは最も複雑な計算方法です。大量のデータセットを長時間かけて用意する必要がありますが、最も正確なLTVの推定値を算出してくれます。

以下3つの項目の度合いにより、適切なアプローチ方法は変わってきます。

  • ビジネスインテリジェンスの技術力
  • リスクの管理能力
  • 会社が行っているUAに対するアプローチ

実例

上の表はあるゲームの実際のデータですが、過去30日間、DAUがアプリを新規インストールしたユーザーの9%になっています。その間、キャンペーンは実施されていません。特定の地域で有料キャンペーンを開始して、DAUの変化を分析します。有料キャンペーンでDAUが新規インストール数の14%になる可能性があることから、バイラルユーザーが5%以上増えたことになります。K-factorは1.05となり、LTVにこの係数を掛けることができます。

再帰的なバイラリティをデータとして使う場合、別のバイラリティがもたらしたユーザーをカウントします。ユーザーが別のユーザーを呼び、そのユーザーがまた別のユーザーを呼ぶことの繰り返しです。どの程度まで 考慮するかは自由ですが、3段階まで考量するのを推奨します。

こういったアプローチは基本的なものですが、多くの企業にとっては良い出発点となるでしょう。「Miniclip」のような最先端企業は、数年分にもわたるデータを活用し、複数のバイラリティを区別することができています。結果として、アプリのシナリオとライフサイクルがはっきり分かれた、正確なモデルを持つことが可能になります。

LTV自体が重要なのではない

本当に重要なのは高いLTVではなく、インストールにかかる値段や会社のランニングコスト、製品の開発コスト、税金など、すべてのコストを支払った後に残される利益です。新規ユーザーを獲得すれば儲かるはずだと仮定してCPIに資金を割き過ぎてしまい、最終的に赤字になってしまうことも有り得ます。

利益計算の際には、以下のポイントを考慮してください。

どのくらいROIを目標とするのか、経営陣と話し合いましょう。LTV推定値にバイラリティを含まず、推定値の80%だけを目標とし、収益の残り20%+はオーガニックであると推定している企業があります。一方で、ROIを100%とすることを目標とし、開発や事務所の運営費などのランニングコストをカバーする資金としてオーガニックの収益を利用する企業もあります。さらには、バイラリティを含む140%のROIを目標として、すべての開発コストやマーケティングコストを含めても利益が出ているかどうかを見ている企業もあります。

ROI計算では細かく(プラットフォーム > 国> アドネットワーク > キャンペーン)見ていくほど収益性は高くなります。このためにはデータ分析を自動化する必要があるでしょう。「App Attribution Partner」からデータを取り、それをGoogle スプレッドシートにまとめて、そのシートを手動で操作するだけで、分析を簡単に始められます。これはモバイル業界の90%がまだ取り組めていないことです。

収益の計算方法を定義しましょう。総額や実際に手元に残る利益、税金控除後の額、どれで計算するのか判断する必要があります。経営陣とCFOとの間で明確にしておきましょう。

LTVの回収

LTVの考察において、最終的に予想通りLTVを回収できるかどうかはもっとも重要です。基本的にLTVは目標期間の最後に出た値を指します。以下のグラフでは180日としています。ユーザーがアプリを使う限り、時間が経つにつれて収益は増えていきます。それぞれのアプリには新規ユーザーを獲得するチャネルが複数あり、その結果LTVも変わってきます。

以下にLTVを回収しなくてはならない理由を説明します。

いつ収益を回収できるのかを把握するためです。数週間の無料プレイ後にユーザーから収益を得られた場合と、最初の15日間で収入の50%を得られた場合を比べると、後者のほうがより速く収益を回収できます。UAの予算が増えるほど、キャッシュフローは重要になります。

短期間でキャンペーンの収益性があったかどうか知るためです。LTVの推移が得られれば、トラフィック収益化の可能性について早く知れます。ることができるようになります。「Rovio」のような企業は、3~4日でキャンペーンを続行するかどうか判断します。収益の回収や支払人数などの指標も、将来の収益を見るために不可欠なKPIになります。

さいごに

LTVの計算と、日々の利用状況の統計は非常に重要な指標であり、アプリビジネスの基盤になるものです。今回はLTVの重要な側面に着目しました。LTVの計算はとても複雑かつ困難なのであまり公共には出回っていないのではないでしょうか。皆さんがLTVを計算する際に参考にしてください。

この記事は、APPAGENT社のブログ”CRACKING THE COMPLEXITY OF LIFETIME VALUE IN FREEMIUM GAMES“を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on APPAGENT in English under the permission from the author.

関連記事はありません