本記事は、2018年11月14日に開催された「Growth Hack Talks Osaka 2」での登壇内容をもとにしたイベントレポートです。デジタルマーケティングに関する知見を持つ注目企業の方々をスピーカーとしてお招きし、運営にわったweb・アプリサービスのグロース・改善事例や、そこで得られたノウハウ・Tipsをお話ししていただきました。

登壇者紹介

松廣 駿也 (まつひろ・しゅんや)氏
株式会社アトラエ マーケティングチーム

事業紹介

我々は、”People Tech”(テクノロジーによって人々の可能性を広げる)領域でという考え方を基に、ITウェブに特化した『Green』という求人メディア、ビジネスマッチングアプリ『yenta』、組織改善プラットフォーム『wevox』の三つの事業を運営しています。

グロースハックを進めていく上で

今回はグロースハックについての話題ということで、まずは皆さんもよくあるであろうグロースハックを進めていく上で陥りがちなポイントを三つ、お話ししていきたいと思います。

一つ目:手段が目的化してしまうこと

例えば、本来、目標は「ユーザー体験を良くしよう!」と言うことだったのに、気づけば、KPIの一つだけをずっと追っていて、時間だけ経っていることはありませんか?

グロースハックを進めていく中で陥りがちなポイントの一つに、手段の目的化というのがあります。これはビジネス全般に言えることだとは思うのですが、特にグロースハックや数値改善しているときに結構陥りやすい状態です。

二つ目:視野の狭まっている状態になること

これはなにかを企画する時でもあるあるなのではないかと思うのですが、自分一人で考え込んじゃうパターンですね。

でも少し俯瞰して見ると、同じ組織の隣の席だったり、向こう越しにも、自分と違う得意領域を持った人がいたりします。自分一人で凝り固まらずに、意見を仰いでみることが重要じゃないかと思います。

三つ目:数値への盲信

実は私もやってしまいがちなことではあるのですが、数値ばかりを見てしまって、本来最も大事にしておかないといけない自分たちの正しさの感覚だったり、サービスポリシーに反した行動を気づかずに取ってしまう。

例えば、我々は『Green』という転職サービスを運営しています。その中で、成果の良い広告文を作る必要があるとなったとき、数値だけを追っていると「転職して収入アップ?!」みたいな転職を煽るような広告文は、基本的にCVが高く、一般的には、良い広告文となるかもしれないです。

ただ、我々は転職サービスを運営しているが、別に転職をするべきだとは思っていないし、そういう発信をするつもりは一切ないです。ぶっちゃけ転職するのって結構大変ですし、転職が必ずしも幸せになるとは思わないからです。ですので、我々は転職を煽ったりすることは、サービスポリシー的にあってはならないんですよね。

でも、こういう転職を煽るようなキャッチの広告は、基本的にCVは上がって施策は成功しているように見えるんです。

そこで数値に走ってしまうと、あるべきサービスの軸が失われてしまう。「転職をしたいなと思った方には最適解を提供できるサービスでありたい」というのが我々の立ち位置だと思っています。

これまで紹介したような状態にいる時期が弊社にもあったのですが、ここまでのパターンに当てはまっている場合、グロースハックはうまくいかないんですよね。

しかし現在は、これまで説明した三つの過ちが起こりづらい環境になっているなと思ったのです。

理由を考えてみると、これは結構当たり前のことなんですが、事業メンバーの全員がグロースハッカーになったことで、改善されたんじゃないか、ということなんです。

そこで、全員がグロースハッカーになるためにとにかくこだわるべき三つのポイントについて話していきたいと思います。

一つ目:情報の透明性と共有頻度の高さ

我々は、情報共有ツールを使って、全事業部の施策状況を基本的に誰でも閲覧できるようにしています。色々と見せられない情報もあるので端折ってしまったのですが、このツールを使うことによって、情報を得たいときに誰でも簡単にアクセスできるようにしています。これは能動的に情報を取りに行く方ですね。

次に共有頻度の高さです。弊社は今50名程の従業員がいるのですが、実に月10回以上各チーム内で、他事業のチーム同士でも月に数回、同じように共有を受ける場を設けています。

イベントスペースが会社内にありまして、ちょうど写真にもあるように、それぞれ社員全員が指摘し合ったり、意見をし合えるような場所を作っています。

次に、意見が出やすい空気の醸成が重要だと思っています。これも文章を見ると当たり前だと思うのですが、なかなか難しい。(笑)

実は「意見が出やすい空気の醸成ができている組織」って少ないんじゃないかと思うんです。

弊社はもともとコミュニケーション量は多い会社なのですが、仕事面でももちろん、雑談だったりとかの重要性も今実感しています。チームで何か盛り上がりたいね、という話になって1日合宿して、ビジネスについて、今の自分たちのサービスについて議論し合う場も設けたこともありました。

また、夕方になると、従業員のお子さんがオフィスに帰ってきてオフィスを走っていたり、ママさんでも安心して仕事ができる環境になっています。

意見が出やすい、遠慮せずに自分の考えを言うのって本人としては結構チャレンジだったりしますよね。でもこの自分の意見が言える環境ってとても大事で、これをつくるためには、心理的安全性が重要だと考えています。そのためには日常的なコミュニケーションからなる信頼関係の構築ができているかに拠るところが大きいと思っています。

二つ目:多数決ではなく徹底的な議論

もう一つ、「多数決ではなく徹底的な議論」と書かせていただいているんですが、様々な課題に直面した時に意見が分かれるケースって皆さん必ずあると思うんです。

そういった時に、誰かの裁量で決めたり、多数決で決めることは絶対にせず、一人でも反対意見がいたら徹底的にそこで議論をしています。

効率が悪いと思われるかもしれないのですが、これは長期的に見ると、後になって「実は…」ということがなく物事が進むので、組織としては今すごくうまくいっていると実感しています。

三つ目:社内での問題の取り組み方

最後に、社内での問題の取り組み方についてご紹介します。これは、個人からでも始められることだと思っているのですが、問題を多角的な視点から各チームに共有するということです。

問題が起こった時に、共有の場で「こういう問題が起こってます」だけだと、基本的にみんな意見を言ってくれません。

このときに、問題を共有する側が多角的にその問題を理解して、各チームの視点で話してあげることが重要です。これを続けていると、面白いぐらいみんなから意見が出てくるんですよね。一人になった時とかに、ふと、「さっきのこの数値って、こういうものじゃないですか」みたいに、自分では全然想像していない視点から意見をいただけたりするので、プロジェクトも進みやすくなりました。皆さんもぜひ心がけてみてください。

まとめ

我々はこの組織を運営している中で、「チーム全員がグロースハッカーになる」ことを目標にしてきました。15年間組織を運営している中で、今の状態がサービスをグロースするための限りなくいい環境なのではないかと思っています。

確かに、組織単位で取り組まなくてはならない部分であったり、カルチャー面であったりもしてすぐ取り入れるのは難しい部分もあるかと思います。しかし、これらを意識して日々運営を行うことで、組織もどんどん良い方向に向かっていくのではないかと個人的には信じています。本日はご静聴ありがとうございました。

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