iPhoneの登場から早10年。モバイルアプリ市場の拡大に伴い、アプリマーケティングへの関心が高まっていますが、webと比べてアプリの運用ノウハウはまだまだ少ないのが現状です。

そこで今回は、アプリマーケティングに関する知見を持つ方々をお招きし、自身が担当するアプリにおけるユーザー獲得、定着からマネタイズなどの取り組みについてお話しいただきました。パネルディスカッションでは各担当者を集め、それぞれが抱える課題やベンチマークしているアプリなど、気になる話題を深掘りします。

パネルディスカッション登壇者紹介

モデレーター:Repro株式会社 佐々木翼(ささき・つばさ)
株式会社メルカリ 坂田博昭(さかた・ひろあき)氏
株式会社フラミンゴ 山下恵(やました・けい)氏
株式会社スクー 坪内宏典(つぼうち・ひろのり)氏
株式会社Loco Partners 上田涼平(うえだ・りょうへい)氏

アプリマーケティングのチーム体制はどうなっている?

佐々木:まず、はじめにこの質問から。この中で、アプリマーケティングを専任で行っているチームはいますか?

山下:アプリ専任ではないですね。アプリ内外のマーケティング、オフラインイベントの実施など幅広い施策をチームで行っています。

坂田:当社もアプリ専任のチームはありません。集客のためのオンライン・オフライン担当と、ユーザーが流入した後のIn-App施策担当とに分けているだけです。
オフラインが認知度の向上、オンラインがCPAとCPIの改善というKPIを立てています。

佐々木:成長しているアプリであっても、なかなかアプリ専任のマーケティングチームはないんですね。

それぞれが抱える課題

佐々木:目下、一番の課題として捉えていることはなんですか。

坪内:『Schoo』はもともとwebからはじまったサービスなんですが、ユーザーとの接点の多さや距離の近さで考えると、モバイル(アプリ)の方が利用頻度を高くできると考えています。そのためには、コンテンツやプロダクトを含め、モバイルでも利用しやすいUXにする必要がありますが、まだまだ改善の余地がたくさんあるなあと。

上田:弊社はマジックナンバーの発見とアプリのオンボーディングが現状の課題ですね。
マジックナンバーについてはまだ見れていないのでまず見ることができれば…という感じなんですが。オンボーディングの方は、チュートリアルで何をどこまで丁寧に説明すべきか、落とし所が決めきれなくて模索中です。その結果、正しい評価指標を持つことができず、現段階でのチュートリアルやオンボーディングのどこがどの程度良く、悪いのか、明確な評価が行えていないし、そのために改善のための開発の工数も取りづらい状況です。

A/Bテストでアプリを改善

佐々木:A/Bテストはどのように実施してアプリの改善に繋げていますか。

山下:アプリでも本格的なA/Bテストを実施しています。例えばですが、「111」のユーザーにはホーム画面Aを見せて、「112」のユーザーにはホーム画面Bを見せて効果検証をする、みたいな。テストが完了して大きな開発が必要とされる場合は、この改修がKPIにどんな影響が与えるかを考えながら、週次、または2週間で意思決定をします。その後、全体的なPDCAを回して改善する、という流れで進めていますね。

佐々木:ホーム画面の改善のKPIも、仮説を立てながらA/Bテストを行ったのですか。

山下:そうですね。前のホーム画面と新しいユーザーに沿ったホーム画面、どちらが有効か、ある程度「こっちの方が有効だろう」という考えはありましたが、しっかりA/Bテストをして確かめました。改善のKGIにはレッスンリクエスト率、KPIは講師とのマッチング率を設定。このテストによってユーザーに沿ったホーム画面に変更した結果、お気に入り率やメッセージの送信率が改善されたので、A/Bテストをしてよかったと思います。

佐々木:webのA/Bテストで得た知見をアプリでも展開できるとは思うのですが、やはりアプリのA/Bテストは障壁が高いのでしょうか。

山下:アプリの方が多少のリソースはかかりますね。iOSだとAppStoreへの申請段階でリジェクトされることもありますし…。また、A/Bテストをしたけれども、結局は開発サイクルに合わせた結果、2週間後にしか元に戻せないなどリスキーではあります。

ベンチマークはどのアプリ?

佐々木:ベンチマークとしているサイトやアプリはありますか。

坪内:マーケターとしての目線で、「NewsPicks」さんは、ライブサービスとしてベンチマークしています。落合陽一さんのレギュラーなど、大人が学べるライブコンテンツとして面白いですよね。また、大人向けコンテンツという文脈でいうと「Voicy」さんも、ベンチマークに入れています。ボイスメディア「Voicy」は音声がメインで、スマートフォンでラジオを聴いている感覚に近く、モバイルならではの学び体験をすることができるため、とても学びが多いです。パーソナリティ(インフルエンサー)のボイスコンテンツを定期的に更新されていることは『Schoo』とも近く、インフルエンサーやファンの巻き込み方の上手さは学ばせてもらっています。

アプリを継続的に利用してもらうために

佐々木:『Relux』が1dayRRを重視している理由は?

上田:まず、旅行業界のサービス全般に言えることなんですが、利用開始(アプリのDL)から旅行の予約までに30日かかるのが普通だったりするんですよ。それなのに、なぜ一見指標として乖離しているように見えるDL翌日の起動率を重視しているかというと、実際『Relux』が勝たなければいけないのは、ユーザーのスマホ内にある、異業種を含めた他のアプリすべてとのスマホ内の居場所争いだからです。日本人が最低月に1回起動するアプリは平均して30個であるというニールセンの調査があります。我々はこの30個のアプリの中に入れるように戦わなければなりません。DLしたことを忘れられてしまっては元も子もありませんから。「旅行の情報が欲しい」と思った時に『Relux』を思い出してもらうため、ユーザーのアプリへの定着率を評価する定量的な指標として初回起動翌日のRRを意識しています。

1dayRRは、業界関係なく大事にすべきことだと思いますね。

グロースさせるための施策とは

佐々木:グロースするために、「これだけはするべし!」という施策は?私は、8月から日本でも始まるAppleの「Search Ads」は必須かなと考えているのですが。皆さんのオススメする施策は?

坂田:2つあります。まず、1つはPWAです。『メルカリ』はPWAを未導入なんですが、ぜひ実施すべき施策だと思っています。
現在でも『メルカリ』を知らないユーザーはたくさんいますが、彼らとのはじめの接点を作ることができるのはwebだと考えています。『メルカリ』を知らないとしても「これが欲しいな」「購入したい」というニーズはすべて拾って行きたい。とはいえ、webサイトでの買い物に慣れている方が、いきなりアプリをDLするのって意外とハードルが高いこと。その隙間を埋めるように、アプリへの導線として、webとアプリの中間であるPWAを利用できれば可能性が一気に広がるんじゃないかと。

もう1つは動画プロモーションです。YouTubeなどの動画は、短時間でも十分にアプリの特徴や魅力を伝えることができるので、もっと活用していきたいですね。

上田:私も2つあります。1つはGoogleの「ユニバーサルアプリキャンペーン(UAC)」です。管理コストが低いのに、高いパフォーマンスを出せるのでオススメです。

もう1つは、逆説的かもしれませんが、定量化できない、イケてるUXを提供することが大事だと思っています。「『Relux』って、何かおしゃれでカッコいい」というブランディングを構築できたことで、App Storeでもフィーチャーされるなど、定量的な効果につながりました。

坪内:実は、自社の開発者と一緒に飲みに行くことが大事だったりして。
私たちは元々、リリースされる情報が社員間でキャッチできないような体制でした。そのため、リリース後に新機能の仕様を知ることもあり、ヒヤヒヤすることもありました。しかし、何度か飲みに行き、腹を割って話せたことでお互い意見が言いやすくなり、結果として施策のスピードも上がり、定例やSlackなどのやりとりでスムーズに連携を取りやすくなりました。

山下:まずはASOです。結局、ユーザーがアプリを探している時に一番利用されるのってアプリストアだったりする。そう考えればASOは大事すべき項目だし、CPIを大きく下げるポイントにもなると思います。特に、広告との整合性を取ることはしっかりと意識すべきですね。

もう1つは初回DL後のオンボーディングです。ユーザーに取ってもらいたいアクションをなるべく早く体験してもらうことが大事です。『フラミンゴ』の場合、プロフィール画面を改善する際に「メッセージを送る」から「レッスンを予約する」にCTAを変更しただけでCVRが1.2倍になりました。

佐々木:今後厳しい競争に勝ち抜いていくためには、どの施策も必須だといえそうですね。ありがとうございました!


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