アプリ業界で今もっとも勢いのある市場の一つ、動画メディアアプリ。従来の動画メディアやVODサービスに加え、料理レシピやライブコマースなどユニークなサービスが続々と誕生し、日に日に盛り上がりを見せています。 また、スマホで動画サービスを見る時にネックとなっていた通信速度制限も、携帯キャリアによる大容量データプランの提供によって解消されてきているため、今後益々の市場拡大に期待がかかっています。

3月20日に開催した「Growth Hack Talks 10」では、人気動画メディアアプリの担当者からユーザーの獲得方法から継続率の維持、さらにはマネタイズやコンテンツ戦略まで、3社が取り組んできた施策についてお話し頂きました。参考になる事例が満載のイベントレポートをお届けします。

ペット動画PECOのグロースハック成功失敗事例集

登壇者紹介

株式会社PECO プロダクトマネージャー 清水悠司(しみず・ゆうじ)氏

事業の紹介

PECO』は月間2億再生を誇る国内最大のペット動画メディア。多くのインフルエンサーと提携した動画を独自に編集・配信しています。 アプリの評価はiOSで4.7、Androidで4.8と高評価を獲得しています。

アプリをグロースさせる上で大事な4つのこと

1.FTUX (First Time User Experience)

First Time User Experienceとは、ユーザーとサービスが最初のタッチポイントとなるコミュニケーションのこと。ユーザーの継続率向上のために、私たちは次の施策を実施しました。

①迷わずいい動画を観てもらう

リリース当初はアプリの起動後のチュートリアルがなく、動画が並んでいるだけのシンプルなUIでした。「Repro」を使ってユーザーの動きを動画で追ってみると、初回起動後の画面をただ下にスクロールしてそのまま離脱している。ここを早急に改善しないと、継続率の話はできません。

このアプリはかわいい動画が一番の強みなので、まずは初回起動直後にかわいい動画のコンピレーションを見せるようにしました。1枚目のチュートリアルで動画を見てもらい、3枚目のチュートリアルの後に「アプリの使い方動画を見てみよう!」と動画プレイヤーを自動的に立ち上げ、チュートリアル動画が画面に残るUIに改修。 この施策によって、新規ユーザーの動画視聴率が60%から95%に大きく向上しました。

**②いいねの仕方を理解してもらう< **

新規ユーザーのいいね率が低いという課題を解決するために、チュートリアル動画の中でいいねを教えるようにしました。「犬がお手を失敗しました」のように、かわいいポイントが明確にわかる動画でいいねを押してもらいやすくしました。このチュートリアルにしたことで、いいね率が20ポイントも改善されました。

③プッシュ通知の許諾率を上げる

プッシュ通知の許諾を取る前にチュートリアルで犬好きには犬の動画、猫好きには猫の動画のみを見せてあげれば、満足度が上がりプッシュ通知の許諾も取りやすくなるだろうという仮説を立てました。しかし想定していた結果とは違い、許諾率は10ポイントダウン。 原因はチュートリアル動画を閉じた後、さらにポップアップがあることにユーザーが嫌悪感を抱いたのではないかと考えています。

2.動画プレイヤー (コア機能)

動画プレイヤーというコア機能の体験を良化していくことは、動画メディアアプリにとって欠かせないこと。私たちも常に改善を途絶させないようにしています。 何もないシンプルな動画プレイヤーから自動的に関連動画が流れる仕組みにしたり、いいねボタンやお気に入り(マーキング)ボタンも設置したりしています。他にもハートがたくさん出るような仕組みを作って「かわいい」という気持ちの盛り上がりを可視化できるようにしました。

また、『LINE』でのシェアが多かったので、もっと簡単にシェアできるようにショートカットボタンを作ったところシェア数が一気に増加。さらに関連動画を10件から30件に増やすことで視聴数も増えました。

その一方で、いいねボタンの位置を右に寄せたり、いいねボタンに音を加えたりもしましたが、結果としてはいいね率を下げてしまうことに…。他にもコメント機能リリース初期に「コメントが動画にかぶって邪魔になる」というフィードバックを多くのユーザーからいただいたこともありました。

3.トップページ

トップページで達成すべきは、見たい動画が簡単に見つかること。 そこで、既存ユーザーも新規ユーザーと同じように、アプリ起動後は自動でプレイヤーを立ち上げて新着動画が流れるようにしました。

しかし、DAUあたりの動画視聴率は上がりましたが、アプリをすぐに閉じてしまう人も多いことが判明。これについては、ユーザーが予期しない動作であったこととユーザーが自分自身で見たい動画を選びたかったことが原因ではないかと考えています。

当初はテキストで人気タグを表示していましたが、あまり使われていないことに疑問を抱いていました。実態を知るべくユーザビリティテストを行ったら、テキストのタグに気づいてないユーザーが多いことがわかったため、テキストを『Instagram』のような画像に変更。なんと、クリック率が10倍になりました。

4.プッシュ通知

継続率を上げるために「Repro」を使ったプッシュ通知の運用を開始したところ、1日のリテンションレートが15ポイントも改善されました。プッシュ通知の効果は大きいということを改めて実感しました。

プッシュ通知は画像の有無やテキストの長さなど、色々試してきました。犬好きか猫好きかの好みを回答した人へプッシュ通知の中身を変えて配信するとどんな結果になるかをテストしたのですが、開封率は5ポイントから10ポイント大幅にアップ。この結果を踏まえて、ユーザーの好みに合った動画をプッシュ通知で通知するようにしたら、全体の開封率が3ポイント上がるという結果も得られました。

360度VR動画配信プラットフォームを通して考えるユーザーとの接し方

登壇者紹介

株式会社360Channel 代表取締役社長 中島健登(なかしま・けんと)氏

事業の紹介

株式会社360Channelは、360度VR動画配信プラットフォーム『360Channel(サンロクマルチャンネル)』の運用とそのプラットフォームで培ったノウハウを用いて、クライアントにVR映像およびアプリを提供するtoB向けサービス『VR PARTNERS』を手掛けています。

プラットフォーム事業『360Channel』

現在配信しているコンテンツ数は合計1000本以上で、新作コンテンツは毎月数十本ずつ追加しています。対応端末はスマートフォンですとApp StoreやGoogle Play ストアから、VRデバイスですとOculus HomeやDaydreamで対応しており、マルチプラットフォームとして展開しています。 現在、『360Channel(サンロクマルチャンネル)』は無料でコンテンツを提供していますが、これまでの視聴データなどを基に今後はマネタイズスキームを実装していく予定です。

エージェンシー事業『VR PARTNERS』

プロジェクト企画から撮影編集、CG・アプリ制作、VR映像を用いたイベントプロモーション、そして効果測定までワンストップで提供している『VR PARTNERS』。 具体的な事例としては、2017年8月に公開された映画、「劇場版 仮面ライダーエグゼイド」のVR映像を制作し、その映像を用いてPS Store向けにVRアプリを開発から配信するまでの全工程を手掛けています。

通常の映像とVR映像の制作フローの違い

企画や撮影・編集、CGの制作過程でVRならではのノウハウはあるものの、通常の映像制作のフローとほぼ変わりません。ただし、VRは“スティッチ”という、映像を繋ぎ合わせる工程が1つだけ増えます。

VRコンテンツにおけるデータ

平面動画でも取得できる視聴データはもちろんですが、VRならではのデータとして特徴的なのはユーザーがどこを見ているかを可視化するヒートマップをみることができる点です。 またそれだけでなく、ホーム画面やそれぞれのシーンでユーザーが何を選んでいるのか、どこに注目しているのかがわかるので、これらを一つの重要なデータとしてグロースハックに活かせると考えています。

VRの良さ

VRの良さを噛み砕いた言葉で伝えると「その場にいる感覚や近距離感を補完してくれる間接視野・能動的体験ができる」ことだと思います。これが俗に言う、視覚における“没入感”だと私たちは考えています。

2018年がVR元年

2016年がVR元年と言われていましたが、私は今年がその年だと思っています。今年の中旬から年末にかけて各社から他の機器やネットワークに接続の必要がない単独で動作するスタンドアローンと言われる一体型のVRデバイスが発売されます。今後のユーザビリティの向上やキラーコンテンツの増加、VRデバイスの高性能化によって、人々の生活に欠かせないテクノロジーの一つになっていくと信じています。そのキラーコンテンツを我々が提供できるよう、今後も様々なアクションをしていきます。

明日に繋がるキャンペーン施策 〜Google Play Best of 2017受賞とこれから〜

登壇者紹介

株式会社ビデオマーケット VM企画室 濵田愛一郎(はまだ・あいいちろう)氏

事業の紹介

『minto』は好きなときに好きな作品を見たい分だけ視聴ができる、カンタン・おトクなスマホ動画アプリ。月額無料、登録不要で作品ごとに動画を購入するサービスです。

1.Google Play Best of 2017への道のり

minto』は昨年受賞した「Google Play Best of 2017」に合わせて、新規ユーザー獲得や継続率の向上を目的としたキャンペーンを展開しました。

その前に、私たちが今回の受賞に至るまでに行ってきたことについてご紹介します。

①Googleの動きに最速で反応して関係値を築く

2014年5月はChromecastの発売日に、2015年2月はAndroidTV(NEXUS Player)の発売日に合わせて『ビデオマーケット』を対応。Googleの動きに最速で反応することによって、まずはGoogleとの関係値を築きました。

②Googleにアプリを見てもらう

関係値を築けたとしても、『minto』のサービスを見てもらわなければ意味がない。 2016年9月中旬に完成した『minto』のプロトタイプを、同年9月末にGoogle主催で開催された動画配信関連イベントに参加して見てもらいました。その際にGoogleからレビューを頂き、ブラッシュアップをしていきました。

③Googleにフィーチャーされる

アプリのリリースは2016年12月末でしたが、2017年2月にGoogle Play ストアのトップバナーに『minto』がフィーチャーされました。立て続けにGoogle Play ストア上で開催された「春のアプリセール」、「GW限定アプリセール」への参加を打診され、初期登録時のポイント付与を倍増するキャンペーンを実施しました。

④Google主催のPM向けイベントで登壇

2017年6月にはGoogle主催のイベント「Product Manager Boot Camp」に弊社PMの後藤が登壇。 その後、11月下旬にGoogleから今回の賞の受賞連絡が届き、またGoogle主催のイベント「PLAYTIME 2017」に招待され、参列しました。 スマートフォンアプリだけに限らず、Googleの多角的な動きに反応することで受賞に至ったのではないかと思っています。

2.受賞記念&1周年記念キャンペーン

さらに、2017年12月8日から1ヵ月間、受賞記念とアプリリリース1周年に合わせて「ポイント大還元キャンペーン」を開催しました。このキャンペーンで友達紹介が130%前後、インストール数が110%近くもアップ。

また、キャンペーンに合わせプッシュ通知をタイミングよく打ったところDAUも増加し、キャンペーン終了後も伸び続けてDAUのベースアップに繋がりました。 課金額は134%、課金UU数は118%。平均課金額は113%、そして月額会員登録者数は118%向上しました。

これらの中でも最も効果があったのは、アクティベーション数値です。全ての数値で大きな結果を残しました。

3.課題と学び

これらのキャンペーンを実施することで得た学びがあります。

①プッシュ通知許諾率を改善したい

プッシュ通知は効果があることがわかりましたが、そもそもの許諾率が上がらないと効果を最大化できないため、新規ユーザーの許諾獲得と既存ユーザーの許諾転換に力を入れて取り組んでいきたいです。

②相乗効果は大事

キャンペーンの効果を最大限にするには、キャンペーンを構成する要素がそれぞれのシナジーを生むことが必要だと実感しました。今後は課金額と課金者数を増やすために、これらの相乗効果を意識してキャンペーンを打たなくてはと思っています。

③平日と土日祝日のギャップ

DAUのベースアップには成功しましたが、“休日中心に利用する”アプリからは脱却できていません。映画などある程度の時間が必要となるコンテンツだと、どうしてもアプリの利用が休日に偏ってしまうからです。 今後はどう全体のリテンションレートを上げ、平日のDAUを底上げしていくかが目の前の課題ですね。

そして『minto』だけでなく、『ビデオマーケット』本体のアプリにも「Repro」を導入予定なので、こちらのグロースにも力を入れて取り組んでいきたいです。


モバイルアプリの成長支援パートナー「Repro」

「Growth Hack Journal」を運営している「Repro」は、アプリ解析・マーケティングツールの提供からユーザ獲得やユーザ定着のためのマーケティング支援等のソリューションまでワンストップで提供、アプリの成長を支援しています。

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