季節ごとに変わるファッションやメイク、コスメに美容、さらには恋愛や占いまで。女性の興味関心に合わせた幅広い情報を発信し、トレンドに敏感な読者を満足させるべく進化と発展を遂げてきた女性向けメディア市場。女性誌をはじめとする雑誌の発行部数が全体的に減少傾向にある一方で、スマホやタブレットで読む「webメディア」や「メディアアプリ」のユーザー数は年々増加し続けています。 大手出版社からベンチャー企業まで、熱戦が展開されている市場において、多くの女性から支持されるメディアの担当者はいかにしてメディアをグロースさせてきたのでしょうか? グロースハックのノウハウをシェアする「Growth Hack Talks 11」では、話題の女性メディアアプリの担当者が登壇しました。メディアのコンテンツ戦略からブランディングへの取り組みまで、貴重なノウハウをイベントレポートでご紹介します!

『C CHANNEL』のHow to make Growth Team

登壇者紹介

C Channel株式会社 執行役員 テクノロジーデザインセンター長 齊藤健太(さいとう・けんた)氏

事業の紹介

C CHANNEL』は女子の「知りたい」を1分で解決する、日本最大規模の女性向け動画メディア。2015年のリリースから1年半で月間動画再生数が6億回を超えました。現在はアジアを中心に海外10ヵ国に配信しているグローバルメディアです。

今回お話するのは、試行錯誤の上に見つけたベストプラクティスを作るための組織体制についてです。

タスクフォース

会社の規模が大きくなるにつれ、社内でのコンセンサス(合意)が取りづらくなってしまいました。そこで新たに導入した組織体系がタスクフォースです。タスクフォースとは、職能や部署に関係なく、プロジェクト単位で人が集まる一時的な組織のことをいいます。この体制を導入した結果、コンセンサスが取りやすくなりました。

コンセンサス

コンセンサスを取りやすくするために、毎日のように定例を実施しています。定例には社長も含め各部署の意思決定者が全員集まります。高い頻度で行うことで会社が小規模だった頃のようなスピート感のある開発ができます。この制度を導入したおかげで効果検証や意思決定を迅速に行えるようになりました。

施策決め

施策決めをする時は、各事業部から提案を集めてそれぞれの提案をスコア化します。少ない工数でできるのものなら工数ランクはA。施策を打つことでユーザー数が増えるのであれば効果はAという具合に、施策をスコア化してスプレッドシートで順位を付ける。最終的に各事業部の代表とディレクターが集まって施策の優先度を決定しています。

仕様策定

施策を決めた後の仕様策定は、リーンスタートアップの考え方と同じように工数を重視して考えます。本質を外さないように、施策のインパクトを細かくチェックしながら効果があれば工数をかける。少ない工数と細かいスパンでPDCAサイクルを回していきました。

最近では女性社員がだいぶ増えましたが、少し前までは意思決定者に男性が多くなってしまう傾向がありました。男性ばかりだと女性目線の判断が難しくなりますので、都度ターゲットに近い女性のインターン生にインタビューをして、フィードバックをもらうようにしています。

レポーティング

毎日、アプリのKPIが一枚でわかるレポートをタスクフォースのメンバーに配布したり、会議でしつこく同じKPIを共有したりしています。これを続けていると、全員が同じようにKPIへの理解を深め、目線の高さを合わせることができます。 このようにして、全員が同じKPIを追いかけることで、組織に一体感が生まれました。

『ARINE』が話す、女性メディアをグロースハックする上で意識したい6つのこと

登壇者紹介

グリー株式会社 プロダクトマネージャー 加藤里実 (かとう・さとみ)氏

事業の紹介

ARINE』は、なりたい自分がきっと見つかる美容メディアをコンセプトに、編集部や専門家、インフルエンサーなどが記事や写真を発信しています。

女性メディアをグロースハックするには何をすべきか。今日は私たちが実践した6つの方法をお話しします。

①正しい事をやる

メディアにおける正しい事とは、利他の法令権利に注意を払って最低限のルールを守る事です。このルールを守るためには、そもそも「正しいとは何か」を理解し、その「正しいがどれだけ大切なのか」、チーム全員が目線を合わせなくてはなりません。『ARINE』ではメディアガイドラインを作成して全員がルールを学び、ルールの理解力テストを定期的に実施しています。なおかつ記事の公開までには必ず監査を2~3回行い信頼性を担保しています。当たり前の事ですが、メディアを運営する上では一番大事な事だと思います。

②3つの目を持つ

私たちは3つの目を持つようにしています。3つの目とは、視座の高い鳥の目、近距離で複眼の虫の目、時流をつかむ魚の目です。その結果、天気に合わせたヘアやコスメ情報を提供する「美容天気機能」を追加しました。この機能を追加することで起動率を改善することができました。(より詳しい背景は登壇資料をご覧ください)

③点だけでなく、常に線で捉える

例えば、プッシュ通知をベースに考えてみましょう。点の視点だけだと「プッシュ通知をもっと配信して起動数を上げよう!」と数のみで判断してしまいますが、線の視点で捉えると「短期的に起動数は増えるかもしれないが、許諾率が下がって長期的には継続率が下がり悪影響ではないか?」ということまで考えることができます。 線で捉えた結果、私たちは当初1日3回配信していたプッシュ通知を1日5回に変更して、月の来訪頻度を大幅に改善することができました。

④ユーザーを観察し共感する

自社の製品を使い倒すようなドッグフーディングはやるべきですが、あくまでも「ユーザーのフリをした自分」にしかすぎず、ユーザーになりきることはできません。 『ARINE』ではユーザーテストやヒアリングを常に行っています。メンバーとしてユーザーを迎え入れられるとベストですが、難しい場合はユーザーがいる場所に出向きましょう。

女子大生を対象に行ったユーザーヒアリングでわかったのは、メイン画像にはかわいいアプリアイコンを優先的に並べるということでした。この意見を聞いて、ブランディングを損なわないようにクリスマス仕様でアイコンなどを少しかわいくしたところ、いいねと1日の来訪頻度を増やすことができました。

⑤確証バイアスに陥らない

確証バイアスとは、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視、または集めようとしない傾向のことです。 新規DL直後から7日間、広告を表示するユーザーと表示しないユーザーを比較したのですが、後者の方が継続率が高かったので、施策は成功したと思い、この期間内は広告を出さないようにしていました。しかし、8日目以降、突然広告が表示されたことに驚いたユーザーが多かったのか、ARPUがダウン。 このように、自分の都合の良いように解釈をしてしまうと、確証バイアスに陥る可能性があるため注意が必要です。

⑥類推思考を持つ

施策を出し続けるにはためには“引き出し(材料)”がなくてはなりません。それにはまず、直接的競合や間接的競合、幅広く類似したものを調査してインプットしていきます。そしてインプットした“材料”を元に推し量り、施策としてアウトプットしていきましょう。

『ARINE』では直接的競合に当たる他の女性向けメディアを参考に類推したところ、PV/SSを改善することができました。

一方で失敗した事例もいくつかあります。例えば、初回起動で記事を読まずにアプリを閉じるユーザーの割合を減らして継続率改善に繋げたいと考え、DL直後にオススメ記事のポップアップを出しました。しかし、結果的にユーザーの継続率を下げてしまいました。原因としては私たちがこれはオススメだ!と思って選出した渾身の記事がユーザーに刺さらず、アプリ全体への期待値を下げてしまったのではないかと考えています。

まとめ

安心して攻めるために正しいことをやり、 長期的にもスムーズに進めるために3つの目を持ち、 最大効果を発揮するために点ではなく線で捉え、 独善的な改善にならないようユーザーを観察する。 その際、確証バイアスに陥らないよう注意し、 類推思考を持ってPlanを実行する。 今後も成長を加速させるために以上の事を愚直にやっていければと思います。ご清聴ありがとうございました。

※ 今回の登壇資料はこちらからご覧できます。

ユーザー目線で価値を追求し届けることが大事!『ローリエプレス』的グロースハック術

登壇者紹介

エキサイト株式会社 サービスプロデューサー 宇佐美冴岐子(うさみ・さえこ)氏

事業の紹介

ローリエプレス』は自分磨きに悩む女の子に向けて、本当にかわいくなれるヒントをお届けするメディアです。

大事なのはユーザー視点に立つこと

様々な女性向けメディアが存在する今日。ユーザーの情報収集の選択肢が増えるにつれ、「選ばれるサービスになること」はこれまで以上に難しくなっています。いくら目先の数値の改善をしようと、ユーザーにサービスの良さが正しく伝わっていないと、「このサービスを使う必要がない」と思われてしまう状況になりかねません。

『ローリエプレス』も競合が増えるにつれて、ユーザーの定着を維持する難しさに直面する場面が増えました。

日々サービス改善をしていると、短絡的に「数値を伸ばすこと」にフォーカスしてしまいがちです。「再訪率が低い」という問題が見つかった時に、背景も考えず「プッシュ通知の回数を増やす」という施策をとってしまう、などは最たる例かと思います。

そこで改めて、『ローリエプレス』が選ばれるサービスになるために行うべきグロースハックとはなにかを考え、試行錯誤を行いある程度結果が出てきたので本日シェアしたいと思います。

まず着手したことは、『ローリエプレス』のサービスの定義付けです。『ローリエプレス』のコンセプトは自分磨きに悩む女の子に向けて、本当にかわいくなれるヒントをお届けすることです。 ユーザーが『ローリエプレス』のアプリを利用する目的とそのゴールはどこか。ユーザーがゴールに辿りつくまでにどのようなステップを踏んでどういう体験してもらうことが適切であるのか…。ユーザーヒアリング等を通し、ユーザーがゴールとする理想状態と、そこにたどり着くまでの行動ステップを定義し、サービスの価値を体感するまでのフローを可視化しました。

この価値体験フローがターゲットユーザーにとって最適であればあるほどサービスの価値が高まるので、とても大切です。

選ばれるサービスになるためには、常にユーザー目線で「これがゴールにたどり着くための最適な行動ステップかどうか」考えながらサービスの価値を高めていくこと、そしてこの行動ステップを経てゴールにたどり着き、サービスの価値を体感できているかの2つの視点を持ちながら改善を行うようにしました。

この2つの視点でどのような改善を行っているのかを実例交えてお話します。

常にユーザー目線でサービスの存在意義を考えサービスの価値を高める方法

選ばれるサービスになるために、サービスの価値を高めるにはユーザーヒアリングをすることが一番の近道です。ユーザーヒアリングを通して、「かわいくなる」というゴールにたどり着くための最適な行動ステップは何なのか、解像度をあげていく必要があります。

『ローリエプレス』は若年層がターゲット。好奇心旺盛なユーザーたちは、日々、たくさんのサービスに接しています。その中でどういうサービスを主に使っていて、どこに良さを感じているのか、逆にどこに煩わしさを感じているのかを主にヒアリングしています。

他社メディアなど競合について聞くのも大事ですが、そのほかに意識していることはユーザーのゴール目線での競合です。

ターゲットユーザーが「かわいくなる」というゴールのために、オンラインでの行動に限らずどういうことを普段行っているのかを重点的にヒアリングします。我々はユーザーに対して、「かわいくなる」を叶えるためにあらゆる方法の中で一番最適な方法を提供する必要があるので、そうしたヒアリングは非常に重要です。

こちらは実際にヒアリングをした上で出た例です。

「自分にあった情報」と認識するためには、彼女たちの理想とする“かわいい”の方向性や世界観と合っているということが伝わることが大事ということがわかりました。さらに、有益な情報かどうかの判断は、「情報が嘘っぽくなくリアルな情報かどうか」が重要なポイントであることも気付くことができたのです。

これらユーザーヒアリングを元に行動ステップを適宜見直し、ブラッシュアップしていきます。これを作ることによって、本質的に何が足りずにどのような施策を打たなければならないのか、コンテンツ戦略およびコンテンツを届けるアプローチ方法が明確になったのでオススメです。

サービスの価値を体感させる

それぞれの行動ステップの解像度を高めて、価値を高めたとしても、ユーザーがゴールに辿り着かなければサービスの価値にちゃんと気づいてもらえません。フローの中で、ユーザーがサービスの価値を体感しきっているかを突き詰めて考える必要があります。

どの行動ステップがボトルネックになっているのかKPI分析を元にチェックします。このように行動ステップと数値化を掛け合わせることで、どこにユーザーがつまづいているのかが分かるのと、優先度の高い課題がわかるため、早急に問題を把握、改善することができます。

どの行動ステップで問題が起こっているのか可視化できたら、ユーザーが期待していることと実際の画面の体験のギャップを照らし合わせ、さらに問題を深掘りを行います。

実施した施策の一例をご紹介します。

新規のユーザーの再訪率が低いという問題が発覚した際、行動ステップとKPIの分析で、「かわいい情報と出会う」という部分がボトルネックになっていることがわかりました。

その際は、どこでボトルネックが生まれたのか可視化するために、シチュエーション×アプリ起動時にユーザーが期待していること×現状の画面の要素とを照らし合わせると、一連のフローの中で問題点が見つかりやすくなります。

“かわいい情報”を求めてきたのに、初回トップ画面で表示されたクリエイティブが異なると、ユーザーに「自分が求める”かわいい”情報に出会えない」と思わせてしまい、離脱の原因になっているようでした。

ユーザーが期待する“かわいい”と相違がないように、初回トップ画面にはオススメのかわいい情報やコンテンツの良質さを図る指標である“お気に入り率”の高い記事を表示させました。その結果、ボトルネックであった新規ユーザーの再訪率を改善することができました。

選ばれるサービスを目指すなら、まずはユーザー目線になることが大事。ユーザー目線でサービスの価値を追求すると同時に、アプリの価値を高めていきましょう。

つづき : Growth Hack Talks 11 女性向けメディアアプリ特集 ②


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