本記事は、2017年7月18日に開催した「アプリの虎 Vol.1」での発表内容を元にしたイベントレポートです。アプリに積極的に投資している企業がどのような考えでアプリに投資しているのか、開発体制はどうなっているのか、マーケティング活動全体のアプリの役割などをテーマに、「MyJALCARD」への簡単アクセスや、スマートフォンの位置情報を活用したJALカード特約店の検索、クーポンの取得等ができるアプリ「JALカードアプリ」のご担当者様に自社アプリのノウハウをお話していただきました。

登壇者紹介

株式会社JALカード 鳥海淳一(とりうみ・じゅんいち)氏

営業・マーケティング本部 営業部
業務・企画グループ マネジャー(DBM総括)
流通小売会社では現場で子供服売場の販売を担当。その後流通系カード会社から2012年よりJALカードに所属。

自己紹介と事業の紹介

みなさんこんにちは、JALカードの鳥海と申します。私からは、アプリで拡げる会員コミュニケーションについてお話しさせていただきたいと思います。

現在JALカードの営業マーケティング本部営業部の業務企画グループに所属しておりまして、データベースマーケティングをメインで担当し、売上やリテンションあげていくことをメイン業務としております。まだアプリ専任者はおらず、私を含めて3人でアプリの運営を行っているところです。
JALカードは、「人生に旅という喜びを」というキャッチコピーを掲げた、JALマイレージバンクカードにクレジット機能が付いたカード。1984年10月の設立で従業員は228人、会員数は2017年3月時点で327万人ほど。主にマーケティングを中心とした会社でございます。

JALカードアプリは男性比率が7割

JALカードのアプリは2015年の1月28日にリリースしました。主な機能としては、簡単に会員専用ページ「MyJALCARD」へアクセスできたり、JALカード特約店へ誘導するために位置情報を活用した検索とアプリ限定クーポンの取得ができたり、マイルが貯まるお楽しみコンテンツが搭載されています。

元々の会員比率は、男性55:女性45と男性の方が若干多いのですが、アプリに関しては男性比率が7割程度となり、40代を中心に利用されています。さらに特徴を言いますと、ゴールドカードやプラチナカード所持者やクレジットカードの利用額が高いというようなアクティブユーザーにアプリを多く利用していただいているようです。

アプリを使っている方と使っていない方のクレジットの年間利用金額を比較すると、大体1.7倍ほど違いがございます。特約店に限っては、アプリ利用者の方が約2倍、利用金額が多いというデータも出ました。アプリの累計のダウンロード数は2017年5月までで35.8万、直近(2017年7月18日時点)では37万ダウンロードを超えています。

MyJALCARDという会員専用のページにログインいただくことで会員情報とアプリの情報を紐づけることができるのですが、会員のみなさまにはログインを積極的にしていただいて、アプリの情報を活用してほしいというのが私たちの目的でもあります。ダウンロードいただいているおよそ8割の方がログインをしていただいているので、残りの方はJALカードの会員ではないかもしれませんが、基本的な狙いとしては、会員の方にアプリを使っていただきたいという思いがありますので、ここについては成功していると言えるのではないでしょうか。

マイルがたまるお楽しみのコンテンツですが、まず、2016年3月に「JALカードスクラッチ」というゲームを作ってリリースし、今年の4月からは、JALカードフライトというコンテンツを開始しました。これは、飛行機を離陸させ、到着した地点のマイルを差し上げるというゲームです。両方とも会員専用で毎日1回挑戦できます。私たちはユーザーにログインをしてもらいたい、毎日アプリを利用してほしいという思いで運用をしております。

元々のユーザー数の推移をゲームと合わせて見ていきますと、お楽しみのコンテンツにつられて訪問いただくユーザーも多いかもしれませんが、アプリの利用者は増えつつある状況です。

カード会社がアプリを作ったワケ

アプリ導入への構想は2012年6月に始まりました。
最近ではその頃よりスマートフォンで決済するということが身近になってきましたよね。当時私たちの業界ではNFC決済という、非接触クレジット決済が流行るんじゃないかという噂がありました。ここで乗り遅れてはいけないという思いとともに、スマートフォンでクレジット決済ができて尚且ついろいろな機能をつけられないか、とアプリの構想を練り始めたのがきっかけです。しかし結果としてはNFC決済というものが思いのほか流行らず、全然話が進まなかった。そこで方向転換を行い、元々やりたかったことの中で今できることは何かを考えた結果、以下の三つが出てきました。

・JALカード特約店検索の利便性向上、クーポン発行による送客
・プッシュ通知での情報の発信
・ゲーム性を持った「お楽しみコンテンツ」の提供

社内での規定上、送ることができるメールの数が限られており、私たちがメールで情報発信できるのは月に3~4回のみ。伝えたい情報を迅速に伝えられないという葛藤もあり、私たち独自で情報発信できるツールを考えた時にプッシュ通知を思いつきました。新たなお客様とのコミュニケーションツールを開発したいという思いで慎重に検討を進め、開発会社を通して一年後に開発がスタートします。

開発〜リリース後での失敗談

開発中からリリースまで、いくつかの壁にぶつかります。

「利用規約」作成に四苦八苦…。

まず、立ちはだかったのがアプリの提供には利用規約の作成が必要だということ。クレジットの利用規約とはまた違うためどうやって作ればいいのかわからず、何度も顧問弁護士と相談しながら作成致しました。これからアプリの開発に着手される方は、こんなこともあるんだ、と念頭に置いていただければと思います。

Googleアプリ申請したら疑われてしまった。

事前に開発会社さんから、「Appleは申請時にアプリの審査があるから大変だけど、Google(Android向け)はすぐリリースできますから」というようなお話を聞いていたので安心していたんですね。慎重に準備を進めたAppleの審査が通ったので、リリースに向けてGoogleにも登録しようとしたら、JALの名を語る偽物なのではと疑われてしまった(笑)。JALカードとGoogleの日本法人とは以前から別のお仕事を通してお付き合いがあったので、日本法人を通して本物であることを証明し、2015年の1月になんとかリリースに至りました。

プッシュ通知の全配信でサーバーがダウン!

手元のスマートフォンプッシュ通知がくると、みなさん反射的に開封されるんですね。一斉送信してしまうと一斉に開封される。そのためサーバーが耐えきれなくなってしまったんです。システムの担当者には滅茶苦茶怒られましたが、これを機にサーバーを増強しました。

更新手続きを忘れてアップルストアからアプリが消えた!

リリース前の2014年10月にアプリのデベロッパーアカウントを作っていたのですが、これは一年に一回更新があります。しかし一年目に更新を忘れてしまい、Appleストアからアプリが消えてしまったんですね。急いで手続きを済ませましたが、次の年からは忘れないようにロケーションバリューさんにお願いしています。

様々な山場を乗り越え、バージョンアップ

このような失敗や経験を踏まえて、リリースから一年後の2016年1月にクーポンや検索機能の強化やセグメントプッシュ通知の実装、お楽しみコンテンツなどの機能を追加するなど、アプリのバージョンアップを行いました。

加えて今年の1月には羽田、伊丹、千歳、福岡、那覇空港の5大空港にGPSを利用したジオフェンスを仕掛け、ご当地のおすすめ情報、つまり私たちの特約店情報の提供をしています。JALの飛行機を利用して沖縄や北海道に行かれた方はご存知かもしれませんが、到着の前に「ちゅらナビ」や「ハピリカ」などクーポン冊子を配っているんですね。それを特約店×アプリでできないかと。行き先はみなさん様々なので、じゃあ空港にそのような仕掛けを作ればいいんじゃないかと言うことで仕組みを作りました。

エリアに入るとプッシュ通知が届く。そうすると、空港近郊の特約店情報、私たちがおすすめするお店の紹介が出てきます。羽田空港の場合だと1日1,000人くらいの方にプッシュ通知が出ていますので、1,000人ほどの方がGPSをオンにして私たちのアプリを使っていただいているようです。

今後はアプリのデータを取得し有効活用したい

現在、約37万人ほどの方にアプリをダウンロードいただいておりますが、JALカードの会員様は前述したように330万人弱おります。会員のみなさんにアプリを利用いただきたいので、早期に50万ダウンロードを達成することが目先の目標です。また、ダウンロードいただいた方には継続して使っていただきたいので、機能の改善や追加をしていきたいと思っております。

今はできていませんが、本来、アプリは幅広くデータが取得できるんですよね。ですので、今後はアプリの運用していく中でユーザーのログやGPSデータを取得して蓄積しながら、それらを活用していきたい。さらに、プッシュ通知をもっと色々試して効果的なパターンを見つけたいと考えております。

以上、ご清聴ありがとうございました。