「何だか難しい」を克服すること!〜セプテーニが教えるアプリを成長させる広告活用〜

 

本記事は、2017年3月9日に開催した「Growth Hack Talks #3」での発表内容を元にしたイベントレポートです。

 

登壇者紹介

 

 

株式会社セプテーニ 野村知己(のむら・ともき)氏

2009年九州大学芸術工学部卒業後、株式会社セプテーニ入社。2015年1月、アプリソリューション室を責任者として立ち上げ、同年10月、同室を部に昇格。アプリマーケティングにおけるソリューション活用のコンサルティングなどを通じ、大手企業のプロモーション支援に従事。2010年、セプテーニグループ最優秀スタッフ賞受賞。2014年、同期入社社員中最速でマネージャー昇進。

 

自己紹介と事業の紹介

株式会社セプテーニの野村と申します。本日はよろしくお願いします。

 

セプテーニはインターネット広告の代理店で、特に運用型の広告に強みを持ったデジタルエージェンシーです。直近はモバイル・ソーシャル・グローバルの領域にフォーカスしています。

 

特に最近取り扱いが増加しているのがアプリと動画の領域で、この二つは我々としても再注力しており、専任の部署を設けてお客様にサービスをご提供しています。

 

 

私自身は、アプリソリューション部という部門の責任者として、アプリ×リテンション、特に“×”広告という軸で、先進的なチャレンジを色々と行なっています。

 

色々というのを具体的にいくつかご紹介すると、リテンション周りの支援というところで、KPIの設計やデータの分析をお手伝いしていたり、SDK関連の導入サポートや、広告媒体の方からご相談いただき、仕様定義のサポートを行うなどアプリ向けの商品開発のアドバイザーのようなことも行なっています。

 

広告を活用してアプリのグロースを目指す

本日は、広告を活用して、アプリないしサービスのグロースを目指していくということをテーマにお話しできればと思っています。特に、既にアプリをインストールしたユーザーをいかに活性化させていくかというところで、リテンションの広告に関する話をしていきます。

 

先進的な企業はリテンション広告に既にチャレンジしている

リテンション広告とは、アプリをすでにインストールしているユーザーに対し、アプリ内で何かしらのアクションを促すために配信する広告のことです。本日、別の方のお話にもあったのですが、やはり先進的な企業は既にこの広告を積極的に利用しています。つまりこういった企業は、アプリユーザーの獲得はもちろん、アプリユーザーの継続に注力するという段階まで既に進んでいるのです。

 

例えば本日いらっしゃるリクルートさんは、アプリ向けのCriteoを早期に活用され、CPA及びコンバージョンに関して、かなり大きな成功を収められています。

 

このように、特にWebからアプリに転換された企業が、インストールだけでなくリテンションにも着目し、先行して成功を納める事例がすごく増えてきている、というのが最近の傾向です。

 

App×Retention領域にチャレンジする上で知っておくべきこと

ただ一方で、このアプリ×リテンションの領域でチャレンジしていく上で、実は知っておくべきことがあります。本日は、その「知っておくべきこと」に関して2つほどお話したいと思います。

 

1つ目は開発という視点で、リテンション領域にチャレンジしていく上でアプリにどういう実装や準備が必要なのかということについてです。

 

そして2つ目が、計測周りに関してで、実際に数字が反映される時にどういう定義でその数字が計測されていて、管理画面にどう反映されるのかということについてです。技術的な話が多くなりますがネットでも意外とこういった情報が少ないので今回お話します。

 

 

開発編

まずはリテンション広告活用のための開発領域ということで、アプリ向けの広告計測ツールの「adjust」を例にお話しさせていただきます。

 

・実装漏れをなくすこと

この開発領域で、最も重要なのが実装の漏れを無くすことです。みなさんがadjustを導入される際にご覧いただくのがこのdocsなのですが、ここにSDKの組み込みガイドがあり、ベースとして導入すべきものなどが説明されています。例えばiOSの場合で説明すると、目次は大きく分けて5章あり、それぞれ細かく説明があります。インストール目的のプロモーションを行うだけだと、基本的にはこれに沿って導入していけば問題はないのですが、ことリテンション広告に限っていうと、このガイドをみて実装するだけでは機能が足りないケースが多々あります。

 

 

例えばCriteo(ユーザーの行動履歴などを分析して、一人ひとりに最適化された広告を配信するリターゲティング広告)は、adjustで広告配信をして計測ができるのですが、配信や計測をするには個別のプラグインの実装が必要になります。しかし先ほどの5章の目次にこちらは入っていません。Criteoに限らず、リテンション広告に関してはプラグインを実装していないと配信も計測もできないことがあるので注意してください。

 

後は、adjustで「Universal Links」という機能があります。この機能は先程の目次には書いてあるのですが、機能をよく理解していないため導入していないという企業が結構あります。しかしこれを導入しないと、iOS9.0以降の端末でアプリの起動がうまくいかなくなることがあります。具体的には、既にアプリのインストールが済んでいる人に対しリテンション広告の配信をして、再度アプリを起動してもらいたいと思っても、広告をタップするとアプリ自体の起動ではなくアプリストアに飛んでしまうということが起きたりします。

 

・開発編:まとめ

以上のように、必要な機能が入っていないため要件定義書を書き直して、ストアに上げなおすという事が頻繁に起きないよう、開発領域では気を付けなければなりません。

 

結局重要なのは、プロモーションの方も開発の方も、どちらか一方ではなく双方が、必要な機能、及びそのために必要な要件を、基礎知識としてしっかり理解できていることだと思います。

 

 

計測編

2つ目は、特にリテンション広告のための計測に関して知りましょうということで、これもいくつかのツールを例にお話ししていきたいと思います。

 

・正しい計測定義を理解すること

これはツールの良し悪しではなく、正しい計測がどういう風に行われているのかという定義をしっかり理解することがすごく重要です。

 

・adjustとAppsflyerの「リアトリビューション」の定義の違い

まず先ほども例にあげたadjustの管理画面について説明します。

 

インストール広告を実施した際、管理画面には広告の媒体とインストール数が表示されます。そして各広告媒体からどのくらいインストールが発生したのかをみて、投資の判断を行います。

 

リテンション広告の場合は、インストール数の少し横にリアトリビューションというカラムがあります。(下図)このリアトリビューションとは、既にアプリインストール済みのユーザーが、リテンション広告媒体からアプリを起動し、その広告媒体に再定義された、というフラグのことになります。

 

言い換えると、そのユーザーが今までは別の広告媒体に紐付いていたけど、その広告媒体(管理画面に表示されている広告媒体)に新しく紐づけられた、という状態がadjustにおけるリアトリビューションです。

 

 

次にAppsflyerの管理画面を見ていきます。

 

左側にリターゲティングというタブがありまして、中央にリエンゲージメントとリアトリビューションという項目が大きく表示されています。(下図)これがリテンション広告の計測に関わる所です。この画面にあるリアトリビューションというのは、アプリをアンインストールしたユーザーの再インストールの数(インストールから90日以内のみ)を表しています。リエンゲージメントというのは、インストール済みのユーザーの再起動です。

 

 

ご説明したように、adjustとAppsflyerの両方でリアトリビューションという項目がありますが、

adjustではアプリの再起動の事を指していて、一方のAppsflyerではアプリの再インストールの事を指しています。

これを知らないと、普段adjustメインで利用している方と、AppsFlyerメインで利用している方では、認識の齟齬が起きる可能性があるので注意が必要なわけですが、こういった齟齬の起きやすい言葉の定義の違いや計測の定義の違いが思ったよりたくさんあります。

 

・リテンション広告の計測される期間

リテンション広告が計測される期間もそれぞれに異なります。

 

adjustの場合、先ほどのリアトリビューションという再起動のフラグがついてから、他の媒体でリアトリビューションされるまで、半永久的にその媒体に紐付き続けます。ただし、エクスポートしたデータで一定期間だけ抽出することもできます。

 

Appflyerの場合、先ほどのリアトリビューション及びリエンゲージメントが発生してから、一定期間だけそのリテンション広告に成果を紐づけることができ、どの期間紐付けるかというのも媒体によって個別に指定が可能です。ただし、それができない媒体もあり、例えば、Facebookの期間は30日間と固定されています。

 

 

・知らないことで、プロモーション以前の問題が起きる

また案外知られていないのは、主要な計測SDKがGoogle Analytics(以下GA)などの分析ツールとデータ連携できることです。

 

例えばWebの数値を全部GAで報告している場合は、adjustのデータをGAに流した上で、GAのレポートとして報告したりすることもできます。

 

このように実際に行った施策や広告配信が、どんな結果として計測されるのか、どのように社内で報告できるのか、というのを把握しておかないと、プロモーション以前の問題が起きることがあります。

 

・計測編:まとめ

計測編の冒頭でもお伝えしたように、ツールの良し悪しではなく、正しく計測定義を理解していないと、

「Webとアプリってどっちの方が効果いいんだっけ?」

「媒体毎でどれが効果いいんだっけ?」

「それって本当に正確なの?」

といった疑問が生まれ、しっかり評価することができないという根本的な問題が発生するため、計測定義はしっかりと理解しておく必要があります。

 

 

まとめ:「なんだか難しい」を克服することでアプリを成長させることができる

以上のような知識はGoogleで検索しても出てこず、市場的にも正しい知識が浸透していないので、まだ成功事例もあまりなく「リテンション広告ってなんだか難しい」と考えてしまうためチャレンジしづらかったりするのではないかと思います。

 

実際、

「うちのアプリまだイケていなくて、、、」

「Webとアプリで社内の体制が別々で、、、」

「社内で追わされる目標がダウンロード数だけなので、、、」

のようなお声をたくさん耳にします。

 

一方で冒頭でも触れましたが、先進的な企業は着実にWebとアプリの両方でサービスをグロースさせたり、リエンゲージメントで評価されたりしています。

 

アプリ数がものすごく増えている中、みなさんのアプリが成長できるかどうかはこの「なんだか難しい」を克服し、いかにチャレンジできるかにかかっていると思っています。

 

本日はありがとうございました。