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本記事は、2016年8月2日に開催した「Growth Hack Talks #1」での発表内容を元にしたイベントレポートです。登壇者には「アプリの立ち上げ〜リリース初期のグロースハックあれこれ」をテーマに、立ち上げ前からリリース直後のフェーズでどういった施策を行い初期ユーザー獲得に繋げ、その後ユーザー数を伸ばしていったかについてお話していただきました。前編と後編に分けてお届けします。後編はこちら

登壇者紹介

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株式会社アトラエ 岡利幸(おか・としゆき)氏

2007年にアトラエの新卒一期生として入社後、転職サイトGreenの立ち上げの新規営業として3年間従事した後、エンジニアに転向して復数の新規事業を開発、事業責任者を務め、現在はCTO兼新規事業統括としてTalentBaseyentaの責任者を務める。

 

自己紹介と事業の紹介

株式会社アトラエと言う会社でyentaというアプリを作っている岡利幸と申します。今31歳です。アトラエという会社で取締役CTOをやっています。新卒一期生として入社してから4年間はGreenという転職サイトの立ち上げ期で、ずっと新規営業をやっていました。途中でエンジニアに転向してTalentBaseというサービスをきっかけにプロダクトを作る側に回って、今はyentaというアプリを開発しています。

 

ビジネスマン向けTinder「yenta」

yentaを知らない方もいらっしゃるようなので、サービスの説明から話したいと思います。ざっくりいうとビジネスマン向けのTinderです。pairsとかomiaiといった男女のマッチングサービスのビジネスマン版ですね。まだiOSにしか対応していませんが、「yenta」と調べてみれば出てくるのでぜひDLしてください。

 

まだリリースして半年のアプリですが、もう既にビジネスマン同士が17万マッチングしているアプリです。比較できる数字がないのでこれが多いか少ないかはわからないのですが、ユーザーにはかなり活発に使って頂いていて、MAU率は約80%を維持しています。MAU80%は日本でいうとfacebookやInstagtramよりも高くて、LINEの次くらいのアクティブ率です。

 

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ビジネスマン向けのマッチングアプリ「yenta」

yentaのグロースのプロセス

サービスはまさに今グロースの最中です。バリバリ数字を分析したりご紹介できるノウハウがめちゃめちゃあるというわけではありません。iOSのネイティブアプリをつくったのは初めてでしたし、専任のiOSのエンジニアもいませんし、BtoCのサービスをリリースしたこともありません。ただ素人なりに試行錯誤しながらグロースハックに挑戦してきたので、その辺りを今日のテーマ「アプリの立ち上げ〜リリース初期のグロースハックあれこれ」に沿って、企画・検証フェーズからグロースまでの各フェーズでやったことについてお話しようと思っています。

 

企画段階での社内評価は最悪だった

yentaというアプリは僕が企画しました。当時役員だったんですが、役員だから企画が通る会社ではないので社内に展開して社員の意見を聞いてみました。

ほぼ全社員が「ビジネスマン向けのTinder」というアイデアに懐疑的でした。僕は面白いと思っていたのですが社内の反応は冷たかったので、これを覆すには実際にサービスを試してもらうしかないなと思いプロトタイプ開発に取り掛かりました。iOS開発の知識はなかったので、3、4日くらいかけて表示されるプロフィールに対して「興味あり」「興味なし」を選択できるプロトタイプをWebで作ってみました。

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Web版として作ったyentaのプロトタイプ

このプロトタイプを使って社内でテストしました。社員全員に「15人から60人くらい自由にスワイプして、疲れたら止めてください。」とお願いしました。15人スワイプした時点で一旦休憩を挟んで、何人くらいスワイプが続くと「まだやるのか」というバッドイメージを持ってしまうのかといった心理的なところも含めてテストをしました。

 

詳細プロフィールを見た人の数、「すぐに会いたい」を押す人の数、facebookへの遷移率など色々数字を取ってみたんですが、テスト結果は散々なものでした。yentaの企画の話をした時の社内の反応とほぼ一緒で、数字からニーズがないことははっきりわかりました。

 

そもそも思っている以上に皆ビジネスマンに会いたくないという結果が出てきました。僕は結構、社外の人と話をするのが好きなタイプなんですけど、社内のテスト結果は思った以上に良くなかったです。

 

でもあきらめきれなかったんですね。せっかくプロトタイプも作ったので強行突破をしようと思って、社外のユーザーにもテストしました。自分の友人・知人の300人のイケてるビジネスマンにfacebookメッセージを送って、社内で実施したテストと同じルールでプロトタイプを試してもらいました。社外でも結果が良くなかったら諦めようと思っていました。

 

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そうしたところ社外ユーザーのテスト結果は社内の4倍以上も数字が良くて、元々自分たちで仮説として想定していた数字に限りなく近い結果となりまして、この結果を元にようやく社内を説得できました。社内テストだけだったら絶対にGoサインの出ない企画だったので、テストはターゲットとしているユーザーに対して実施すべきという良い教訓になりました。

 

良いプロダクト作りには良いチームであることが不可欠

社内の承認が得られてから本格的なプロトタイプ作りに着手しました。それまでは自分一人でしたがこのフェーズでチームでの開発になったので、サービスのビジョンやペルソナ設計を改めて具体的に考え、チーム内ですり合わせを行いました。

 

サービスのビジョンはサービスによって全然違うので、チームビルディングとUXについて話していきます。

 

チームビルディング

チームはプロジェクトのスタートから今まで変わらず4人でやっています。iOSエンジニア1名、サーバーサイドエンジニア1名、デザイナー1名、あとは僕もサーバーサイドエンジニアなんですがプロダクトマネージャーも兼ねて、責任者的なポジションでやっています。この4人で議論しながら開発を進めるので、プライベートや家族構成なども含めてチームとして腹を割って話せる空気作りをしてチームの信頼関係を築きました。

 

UX

Tinderもスワイプの気持ち良さが流行っている理由の一つなので、「ビジネスマン向けTinder」であるyentaもUXデザインが相当重要だと考え色んな本や論文を読んで勉強しました。色んなインプットして色んなことを学びましたが、この「ハマるしかけ」という本が個人的には一番実用的だと思いました。応用が聴きやすく、学問過ぎないのでおすすめです。

 

実際のプロトタイプ作りはprottを使いました。ワイヤーは下手すると1,000枚以上書いたかもしれません。iOSエンジニアが誰もいなかったので、作りたいと言ってくれたサーバーサイドのエンジニアに、1ヶ月間だけSwiftを勉強してもらって、その間僕らはprottでより良いyentaのUXを1ヶ月間追求し続けました。ちょうどプロトタイプが完成したタイミングでエンジニアのSwiftのレベルが上がってきたので、あとは実践で学んでもらおうということでコーディングのフェーズに入りました。

 

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膨大なプロトタイプ画面。より良いUXを追求し続けた

 

プロトタイプ作りにはかなり時間をつかって、自分たちの間で「コレはハマる」という確信が得られるまでやり続けました。iOSアプリ開発のそもそものノウハウがなかったので、どんなページ遷移が何を意味するのかというAppleの思想みたいなところから学んでいきました。

 

リリース直前~グロースのフェーズについてお話しいただいた後編はこちら