本記事は、2018年8月30日に開催した「アプリの虎Vol.3」fの講演内容を元にしたイベントレポートです。ここ数年で、Web中心に展開していたサービスをアプリにシフトする企業がますます増えてきました。IT企業でなくとも、事業のアプリ化によって成果を伸ばしている企業も少なくありません。 今回は自社事業でアプリを活用している企業のアプリ担当者様から、自社アプリの開発体制やリリース後の運営ノウハウについてお話しいただきました。

登壇者紹介

株式会社IDOM 中澤伸也(なかざわ・しんや)氏 デジタルコミュニケーションセクション セクションリーダー

自己紹介と事業の紹介

株式会社IDOMは中古車の買取・販売する「ガリバー」の運営会社です。「ガリバー」はwebサイトと『ガリバーオンラインアプリ』で展開しています。 いずれも、常時2万台ほどある中古車の在庫からお好みの車を検索していただくことができます。アプリならではの機能はチャットで会話ができること。店頭に行かなくても、それに近い接客体験の提供を目指しています。

アプリを始めた目的と理由

私たちのマーケティングの特徴は、最終的に店舗で接客するモデルになっているという点です。ただ、上の図のように、webサイト経由で申し込まれるお客様の場合、経由するポイントが多いため離脱率の高さが課題となっていました。

ガリバーのお客様には、もともと中古車を所有している方が多くいらっしゃいます。顧客行動を分析すると、7年ほど中古車に乗り、新たに車を買い換えるときは平均検討期間が約3カ月もかかっている。この購入検討期間に何度も接触をしなければ、なかなか店舗にまで出向いていただくことができません。 加えて、近年はモバイル経由のお客様の増加が顕著であったため、お客様と迅速かつより多くの接点を持つためにはこちらから積極的にアプローチをしなければならないと思い、アプリを開発いたしました。

PDCAサイクル

定型モニタリングによる行動観察

アプリの一番の特徴はチャット機能なのですが、チャット機能を利用した瞬間からユーザーの行動データが取得できなくなるという難点も併せ持っています。

右目左目分析

そこで、デジタルマーケティングを行うチームでは、基本的なKPIの帳票とユーザー行動観察を同時に見る、右目左目分析という手法で毎日モニタリングしています。 実際に右目左目分析で原因を追求できた事例を紹介しましょう。 アプリの中古車問い合わせ画面のチャット利用率が伸び悩んでいたとき、中古車一覧のページにチャット機能を追加する施策を実施ました。改善前は、一覧画面から詳細ページへと移動しなければチャット画面に辿り着けず、ここに原因があるのではと考えたからです。

施策を実施した後は、チャット画面へのログが大幅に増加したので、成功したかと思いました。 しかし、右目左目分析で見ると、多くのユーザーが通勤時間帯にアプリを開いていて、そこで検索結果をスクロールしている際に誤ってチャットボタンを押していることが原因であるとわかったのです。 行動観察をしていると、詳細ページのチャット画面に移ってもほとんどがすぐに検索結果画面に戻る様子が見てとれました。それが決定的な証拠です。動画による行動観察をしていると、ログだけでは気付かない原因さえも可視化できるのです。

課題管理表・施策管理表

行動観察を続けていると、あれこれと課題が出てきます。それらの課題はすべて、課題管理表や施策管理表を利用し、仮説を立ててから施策を打つようにしています。課題管理表の役割は気づいたことをなんでも落とし込み、チーム全員が把握できるようすること。施策管理表の役割は、組織のナレッジを蓄積することです。

そして、施策一つひとつに対して、実施することで何が解決できるのか、ターゲットKPIとそれに伴うKGIの両方を設定して、施策の目的をブラさないように心がけています。

真因訴求

仮説を立てたら次に仮説検証を行うのですが、そこで必ず行うのが真因訴求です。キーポイントになりそうな数字を見つけたら、「so why? 」を繰り返し問いかけ、背景要因は何かを分析しています。

まとめ

ログだけでは決してわからないユーザーの行動は、動画による行動観察で明示されます。「ガリバー」のPDCAには、定量分析にも増して動画分析が欠かせません。それによって、課題解決への近道が記されるようになるのです。