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“アプリの成長請負人” Reproが語る、アプリ内マーケティングの理論と実践

本記事は、2017年3月9日に開催した「Growth Hack Talks #3」での発表内容を元にしたイベントレポートです。

登壇者: 平田 祐介氏

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プロフィール

戦略コンサルタント出身のシリアルアントレプレナー。大手コンサルティングファームに入社後、主にメーカーに対して経営戦略立案支援や成長支援業務に従事。2011年から複数の事業の立ち上げに関与したのち、2014年にReproを創業し、今は世界46ヵ国3,200以上のアプリに導入されているアプリのグロースハックツールを提供している。

 

世界46カ国のアプリを支援する「モバイルアプリの成長支援パートナー」

Reproの平田と申します。今日は広告周りの話が多かったかなと思うのですが、私の方からはアプリ内マーケティングというものについてお話させていただきます。

 

簡単に自己紹介なんですけれども、今36歳で、17歳の時から起業しようと思ってたんですが自信が無かったので、最初は外資の戦略コンサルタントをやっていました。実は3回目の起業で、過去に2回失敗しております。3回目のこのReproでようやくうまくいき始めています。

 

「Repro」は平たくいうとアプリの成長支援ツールです。出来ること大きく2つあって、アプリのユーザー行動を分析する機能とマーケティング活動ができる機能を提供しております。分析にGoogleアナリティクスのような定量分析機能だけではなく、ユーザーがアプリを利用している様子を動画で見ることができる定性分析の機能もあり、多くのクライアントにご評価いただいています。

 

最近はマーケティング機能もご評価いただいていまして、今日のテーマでもありますが、プッシュ通知やアプリ内のポップアップといったCRMの機能と、FacebookやTwitterと連携して「よく買い物するユーザーと似たユーザーだけをターゲティングして広告配信する」といった広告の機能も持っています。

 

現在世界46カ国、3,200以上のアプリに導入されておりまして、最初は分析ツールを提供する会社として始まったんですけれども今ではアプリを新しく作る際の戦略立案とか、すでに我々のツールを使ってくださっているクライアントのアプリ内マーケティング運用代行なども行っています。アプリのグロースに関しては何でもやる会社です。

 

アプリの成長に不可欠な「アプリ内マーケティング」とは?

本題に入らせていただきます。

 

我々はアプリの成長には「インプルーブ・アプローチ」「マーケティング・アプローチ」の2つがあると思っています。かっこつけて横文字にしていますが、要するに前者はUIなどアプリの使い勝手に関する改善、後者は更に2つに分かれて広告とCRMの2つのアプローチがあるかなと思いますが、本日は我々の主戦場であるCRM、アプリ内マーケティングの話をしたいと思います。

 

最初に重要性の話からさせていただきます。

 

アプリ内マーケティングという言葉を聞きなれない方も多いかと思いますが、定義があるのでご紹介します。「アプリ内マーケティングとは、必要なユーザーに、必要なコンテンツを、必要なタイミングで届けることで、ユーザー体験を最適化するマーケティング手法。エンゲージメントの高いユーザーを大きく増やし、アプリにとっての価値を最大化することを目的とする」ものです。
具体的な手法としては「プッシュ通知」と「アプリ内メッセージ」の2つがあります。

アプリ内マーケティング

アプリ内マーケティングの代表的な手法2つ

 

米国ではアプリ内マーケティングを専門に行っている人を置くのが当たり前になっていて、これはマクドナルドの求人なんですが、プッシュ通知やアプリ内のポップアップを通じてユーザーとコミュニケーションをとるのを仕事としてやっていた人が重宝されたりしています。日本だとまだアプリ領域でがっつりCRMやられている方あまりいないので、この領域で専門家になればかなり市場価値高いと思います。

アプリ内マーケティング 米国

米国ではスタートアップに留まらず、
非ITの大手企業もアプリ内マーケティングの経験がある人材を求めている

 

広告費換算で100万円以上の削減につながっている例も

じゃあアプリ内マーケティングやるメリットって何なの?というところですが、端的に言うとアプリの「リテンションレート」と「コンバージョンレート」が上がります。より長くユーザーに使い続けてもらったり、より多くのユーザーが商品の購入やマッチングなどのコンバージョンポイントに到達するようになるんですね。

 

我々がアプリの運用を代行しているクライアントを例にリテンションレートの改善がもたらす経済効果についてもう少し丁寧にお話させていただきます。

 

例えば新規ユーザー獲得に500万円の広告費をかけているアプリだとします。新規ユーザーを1万人獲得したらCPIは500円ですよね。このアプリの1ヵ月後のリテンションレートが15%だとすると、1か月後もアプリを使っているユーザーは1,500人です。

 

弊社の支援させていただいたクライアントだとリテンションレートが平均で4~5%伸びているんですが、5%伸びたら1か月後もアプリを使うユーザーが500人増えることになるんですね。リテンションレートが15%の場合だと1ヵ月後も残っているユーザーを500人増やすためには獲得時点で3,300人位獲らなきゃダメで、獲得コストは500万の広告予算の3分の1なので167万円に相当するんです。いかにリテンションレートの改善がおわかりいただけたでしょうか?

 継続率改善の価値

この結果をお見せして広告費を抑制しようと主張したいわけではなくて、リテンションレートを改善すると投じた広告費がより「有効に」活用できますよという話です。アプリ内マーケティングはしっかりやるとこれくらいの効果は出るので、これから実践の話に移っていきますがぜひ取り組んでみるといいと思います。

 

アプリ内マーケティングを成功させるコツとは?

実践の話に入っていきます。やることはシンプルに2つです。1つ目はプッシュ通知の許諾率を最大化してくださいということ。もう一つはプッシュ通知を許諾してくれた人たちに対して適切なコミュニケーションをとることによって効果を最大化しましょうということです。順番も重要なのでしっかりと覚えてください。まず円の半径、つまりプッシュ通知が届く対象者を増やすために許諾率を最適化してから円の面積、つまり対象者のなかでリテンションやコンバージョンしてくれる割合をどれだけ増やせるかを考えるべきです。

アプリ内マーケティング 概念図

 

プッシュ通知許諾率の最適化は「タイミング」と「クリエイティブ」

まず許諾率を最適化する方法から話していきますが、その前にこの図を見てください。これ弊社のコンサルティングチームが調べたプッシュ通知の許諾率とリテンションレートの相関なんですが、許諾率が上がるとアプリを使い続けるユーザーが増えるということは証明されてるんですね。

 

プッシュ通知と継続率の関係

許諾率が高いアプリは継続率も高いことがデータからわかっている

プッシュの許諾率は、プッシュの開封率などと比べるとあまり改善を意識していないアプリ事業者の方が本当に多い。勿体無いことだと思います。

 

特に工夫していないアプリときちんと工夫しているアプリだと許諾率が25%くらい違ってきます。Androidアプリだとデフォルトで許諾はオンになっているので特に意識する必要はありませんが、iOSアプリを提供しているアプリ事業者の方はまず許諾率の改善に取り組んでいただきたいというのが私の一つ目のメッセージです。

タイミング

各論に入っていきます。プッシュ通知の許諾率改善でまず意識していただきたいのは許諾のダイアログを出すタイミングの最適化です。許諾を許可するユーザーが増えることで、こちらからアプリ内マーケティングでコミュニケーションをとれるユーザーの母数が増えます。

 

先に結論からお伝えしますが、タイミング最適化のポイントは「ユーザーが最初にサービスの良さを体験したタイミング」で許諾のダイアログを出すことです。

 

例えばフードデリバリーアプリ「Uber EATS」では初回起動に許諾ダイアログを出すようなことはしていません。ではいつ出しているかというと、ユーザーがアプリで初めて注文を完了したときです。「あなたがたった今注文したオーダーの配達状況をプッシュ通知で受け取りますか?」と、ちゃんとユーザーが受けとってもいいと思うタイミングで訴求しています。グローバルで成功しているアプリほどこういった細かいグロースハックもぬかりなく行っているんですね。

プッシュ通知 許諾率 タイミング

 

他の事例としては弊社のクライアントの「ゲーマグ」というニュースアプリですが、こちらは「記事を読む」というこのアプリのコアバリューをユーザーが体験し終わったタイミングで許諾ダイアログを出して、20%の改善に成功しています。

 

【関連記事】人気ニュースアプリが語る!プッシュ通知の効果を高める許諾率の最適化とは?

人気ニュースアプリが語る!プッシュ通知の効果を高める許諾率の最適化とは?

 

クリエイティブ

タイミングだけではなく、クリエイティブも重要です。ユーザーにプッシュ通知の許諾をお願いするダイアログはiOSの標準のものがありますが、そのダイアログを表示させる前にオリジナルのダイアログを出しましょう。ポイントはABテストなどを行って、どんどんクリエイティブの最適化を行うことです。イラストだけではなく、承認ボタンとかも許諾の有無に結構関係してくるので重要です。

 

プッシュ通知 許諾率 クリエイティブ

 

コミュニケーションの最適化に近道なし。地道にPDCAを繰り返す

コミュニケーションの最適化ですが、はっきり言って近道はありません。アプリでユーザーに達成してもらいたいゴールを明確にして、そこに至るまでのシナリオを作って施策を実行し、施策の効果検証をする。その繰り返しです。

 

アプリ内マーケティング シナリオ

 

効果が出なければ施策内容を見直して、施策を変えてもダメだったらシナリオ自体の見直しを行います。施策の最適化は「Who」「When」「What」で考えることが重要で、一度に3つをすべて見直すのではなくて、一つずつ改善のポイントを探っていったほうが何が良くて何が悪かったかが見えやすいと思います。

 

弊社の支援事例も一つだけご紹介します。「艶が~るプレミアム」というシナリオゲームアプリのアクティベーション(新規ユーザーの定着)周りの支援です。
このアプリはわかりやすくいうと沖田総司や坂本龍馬といった幕末のイケメンたちと恋愛ストーリーを楽しむゲームなんですが、初回起動時のチュートリアル中にお気に入りのキャラクターを一人選ぶので、初回起動の翌日にキャラクターのセリフ別にパーソナライズしたプッシュ通知を送りました。同時に起動したユーザーに対してはアプリの使い方を教えるアプリ内メッセージも表示し、3%近い継続率アップにつながりました。

 

アプリ内マーケティング 事例

 

本日はアプリ内マーケティングという比較的新しいアプリマーケティングの重要性と具体的な実践方法についてお話させていただきました。
長くなりましたが、今日お話したことが少しでも皆さんのアプリの成長につながれば幸いです。我々の持っているノウハウは自社メディアでも発信していますし、ご相談いただければいつでも伺うのでお気軽にお問い合わせください。本日はありがとうございました。