重厚な世界観と作り込まれたシナリオで、リリースから4年が経ってもなおユーザーを惹きつける『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団』。

オルタンシア・サーガ展を行うなど、オフラインでのイベントも積極的に行っている。

ユーザーに長く愛される理由は、こだわり抜いたシナリオと、KPIを重視しすぎない運営にあるという。

オルタンシア・サーガのプロデューサーで、株式会社f4samuraiの創業メンバーでもある田口氏が、ゲーム業界へと転身した理由や、長く愛されるゲームを維持する運営について語った。

プロフィール

f4samurai

田口堅士

株式会社f4samurai 取締役COO

2003年新卒で野村総合研究所に入社。銀行系システムのプロジェクトマネジメントを経験した後、同期入社の3名でf4samuraiを設立。開発運用および総務・経理などを統括。「オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-」「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」のディレクターとして、設計からシナリオまで開発プロセス全体を担当。

 

 

ー田口さんが、f4samuraiの創業メンバーになった経緯を教えてください。

田口:f4samuraiの創業メンバーである代表の金、CTOの松野とは新卒で入った会社の同期でした。帰り道に金から一緒に会社をつくろうと誘われたことが創業メンバーになったキッカケです。

ちょうどその頃は、ソーシャルゲームアプリが始まったばかり。mixiやモバゲーでゲームを公開すると、新着でエンドユーザーに通知される。たった3人しかいないベンチャー企業が数万人のエンドユーザーにサービスを届けられる、という世界観がすごいなと感じました。

そこにチャレンジしようと決め、mixiのプラットフォームでゲームを提供し始めたんです。

しかし、創業から2、3年ほどは全然うまくいきませんでした。僕は経理も担当していたので、日々会社のキャッシュが減っていくのを目の当たりにしていました。

 

ーうまくいかない時期もあったのですね。最初からスマホゲームを作られていたのでしょうか?

f4samurai

田口:最初はガラケーのゲームを制作していました。初めてのタイトルの初月売上が1万円だったことは今でも覚えています(笑)

実は、当社の転換点になったのはレベシェアで作ったカードゲームでした。(※レベニューシェアの略。提携してリスクを共有しながら、生み出した利益を取り決めた配分で分け合うこと)

シンプルなゲームで面白みがないと思っていたのですが、意外に売上がよかったんですよね。普通のものを作れば、それなりに売上が上がるんだという発見がありました。

その頃から、徐々にスマホが普及してきて、ガラケーからスマホへのサービス展開が始まります。展開方法として特に演出面などでガラケーのものを変換するツールを使用した会社が多かったのですが、当社ではうまくいかなかった。

そこで私が初心者向けのJavascript、CSSなどの本を読みながら、変換ではなく、最初からスマホ用にコーディングしました。それが意外にサクサク動いて、売上も徐々に上がっていきました。大手の会社さんから「どうしてこんなに早く動作するのか教えてほしい」と聞かれたこともありました(笑)

 

ーそうなんですね(笑)。田口さんがプロデューサーをしている「オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団」について教えてください。

f4samurai

田口:「オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団」(以下「オルサガ」)は、4周年を迎えました。

中世をモチーフとした重めのファンタジーで、シナリオが多く世界観をがっつり作りこんでいることが特徴です。

今でこそシナリオが多いゲームは増えましたが、リリース当時は珍しかったんですよね。ユーザーの方から「ストーリーを思い出すと、泣いてしまう」という声をいただいたこともありました。

リリースから今まで変わらないのは、ベタで王道だけど、ユーザーの皆さまが感動できるゲームを作りたいという想いです。

 

ーそうなんですね。f4samuraiさんのタイトルはとてもシナリオを作りこんでいる印象があります。

田口:当社はシナリオをすべて内製しているので、こだわりは強いかもしれません。

当初、シナリオライターは私一人しかいなかったのですが、ユーザーにキャラクターを好きになってもらうことにこだわってきました。

例えば一見シナリオが関係なく思えるカードゲームにおいても、シナリオに引き込まれてキャラを好きになるからカードを手に入れたい心理になると思っていたからです。

 

ーそういったシナリオへのこだわりが、「オルサガ」が長く愛されている秘訣なのでしょうか?

f4samurai

田口:そうですね、一番はシナリオがあるかなと思います。

「オルサガ」では、4年の間、シナリオを1~2ヶ月ごとにコンスタントに追加してきました。

ユーザーのためにも、長く続けられるタイトルを作りたいという想いは強いです。

これまでリリースしてきたゲームの傾向をみていると、スタートから2年目の売上が一番大きく、その後下がっていきます。

そのため、ゲームをリリースする際には2年分のマスターを作っておきます。すると、ゲームのバランスを崩さずに運営を続けていけるからです。

その場しのぎで運営をしていくと、その時の状況に左右され、ゲームのバランスが崩壊してしまうと考えています。

 

ー 運営方針が明確であることが、f4samuraiの特徴のように思います。

f4samurai

4周年を迎えた「オルサガ」ですが、新規・既存のどちらのユーザーに力をいれていますか?

田口:4年経つと、デザインは少し古くなりつつあるので、なかなか新規ユーザーの獲得が難しいのが現状です。逆にガラッと変えてしまうと既存ユーザーの反応も気になります。

ただ、「オルサガ」はプレイヤーが集団で戦うGVGなので、新規ユーザーが入ってこないとゲームがさびれてしまいます。

そのため既存ユーザーから「もっと広告を出して新規ユーザーを入れてほしい」と要望がくることもあります。既存ユーザーを大事にしつつ、既存ユーザーのためにも新規ユーザーの獲得もしていきたいです。

 

ー2019年春にオルタンシア・サーガ展を開催するなど、オフラインの施策を多く手がけていますよね。どんな目的で開催されているのでしょうか?

f4samurai

田口:オフライン施策の目的はふたつあり、ひとつ目は私たちオルサガ開発チームのモチベーションアップ、ふたつ目は既存ユーザー同士のコミュニティ形成です。

正直にお話しすると、ゲームをリリースして3、4年経つと、徐々に開発チームもモチベーションを保てなくなってきます。モチベーションがなければ、いいゲームを維持できません。

そんなときにオフラインのイベントを行うと、ユーザーが喜んでくれる姿や期待を目の当たりにすることができ、開発メンバーが「オルサガ」の良さを再認識できます。

先日のオルサガ展でもユーザーコメントが1,000以上集まり、みんなのモチベーションが上がりました。

ふたつ目の目的は、ユーザー同士がリアルに集まれる場を作ることです。イベントを行うと、全国からユーザーが集まってきて、「オルサガ展に行ってからオフ会をしましょう」という流れができます。

「オルサガ」をきっかけに親友になったり、なかには結婚したりするユーザーもいるんですよ。

正直なところ、オフラインイベントによって、売上が上がったりユーザーが増えたりといった直接的な効果はそこまでありませんが、開発チームとユーザーが楽しむことに重点をおいています。

 

ーオフライン施策はKPIを考えず、ユーザーと開発チームが楽しむことを重視しているのですね。タイトル毎のKPIはどのように決めていますか?

田口:一般的なゲーム会社と比べると、当社はKPIをあまり重視しない方だと思います。

なぜなら、KPIを細かく決めて達成を追いかけていくと、その場しのぎの施策が増えてしまうからです。

たとえば、ログインボーナスを出したら、ユーザーがアクティブになり一次的に売上は上がりますが、その期間が終われば結局は下がる。1ヶ月単位で見たら大きな変化はないことがほとんどです。

そういった目先のことに捉われるより、本質的にユーザーが感動してくれるものをつくりたい。その結果としてユーザーはプレイしてくれると思っています。

そのため、KPIありきで施策を立てるのではなく、こんなことを実現したら楽しんでもらえそうだという感覚と経験をベースに、運営しています。

もちろん数値を見て分析することもありますが、あくまで参考程度にして、数値に追われないようにしています。

 

ーKPIより本質的なものづくりを大切にされているんですね。売上目標はどのように立てているのでしょうか?

f4samurai

田口:目標はありますが、がっちりと固めないようにしています。毎月の売上目標を追うのではなく、年間ベースで売上の推移をみています。

たとえば、どうしても開発が遅れて、リリースが遅れたことによって売上が下がることもありますよね。そんなときに、毎月の売上目標を追いかけていたら、その月に達成するために無理やり施策を実行することになる。そういった運営はしたくないんです。

 

ー開発メンバーが納得のいくものを作れる環境ですね。最後に、今後のオルサガの展望について教えてください。

田口:現在、オルサガは1部~3部のリリースを終え、ゼロが始まった段階です。

ゼロはここから更に1~2年ほど続くシナリオで、ゼロのエンディングが「オルサガ」全体のエンディングともなります。

最後の集大成なので、ユーザーが「これまで『オルサガ』をやってきてよかった」と思えて、私たち自身も満足できる内容にしたいと思っています。

そのために大きな改善も入れる予定なので、楽しみにしていてください。

 

ーありがとうございました。

田口:ありがとうございます。また、弊社の運営スタイルに共感をもってくれるメンバーを積極的に募集しています。こちら記事をご覧になり興味わいた方は是非お願いします。

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