アプリストアの市場調査から読み解くアプリマネタイズのトレンド

 

先日、App Storeの動向に明るいApp Annieは、今後4年にかけて、アプリを開発する企業や個人に莫大な収益をあげるチャンスがあることを予想した最新のアプリ市場データを公開しました。

 

アプリを取り巻く経済は素晴らしい成長率を見せています。メディア関係の企業から銀行、はては行政サービスまで、ありとあらゆる業界の企業がアプリをリリースしているのです。

 

App Annieのデータはこれまでもアプリを取り巻く経済の重要なトレンドを明らかにしてきました。その中で、BuzingaではUIデザインと、UXが競争の重要な原動力となるという予測を心強く思っています。

 

この記事では、App Annieの調査の中からそのほかのデータについて解説し、その市場の状態を受けて、まさに今日から企業がどのようにアクションを起こすことができるのかについて述べたいと思います。

 

1. 2020年までに、App Storeの収益は2倍の21兆円に到達する2)原文1,890億ドル、1ドル113円で計算

世界中のアプリ内広告収益と、アプリ開発側のApp Storeでの収入の合計は2015年には8兆円3)原文700億ドル、1ドル113円で計算だったのが、2020年には2.7倍の21兆円に増加すると予想されています。

 

 

これは、世界でスマートフォンやスマートウォッチなどの機器の使用台数が2倍になったのと、ユーザーがアプリにかける時間が大幅に増えたことが原因です。(過去2年間だけでアプリの平均利用時間は2倍になったのです!)

 

このような変化を有効活用するために、企業はアプリで「モバイルならではの体験」を生み出し、エンゲージメントを高めることに注力しなくてはいけません。

 

UXが優れているだけでは、もはやアプリの優位性を生み出すには足りなくなりました。ユーザー調査によると、それは全てのアプリユーザーが期待している最低限の水準なのです。

 

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今後2年間で増えるであろうユーザーがアプリに費やす時間のシェアをとるためには、ユーザーをエンゲージメントさせ続けるために、定期的なアップデートで新しいコンテンツを届け続けることが必要でしょう。

 

そのためには以下の手法が効果的です。

 

  • ユーザーの行動パターンを学習させ、よりよいパーソナライゼーションを実現するために、アプリにAIの技術を導入する
  • ユーザーの記憶に残る瞬間を生み出すために最新のUXの手法を実践する
  • シェアをしやすくし、オーガニックにユーザー基盤を成長させるために、バイラルループを作り出す

 

2. 利用時間が収益になる

アプリにおける収益成長率の一番の指標はアプリの使用、特にユーザーがアプリに費やす時間であるという傾向がますます強くなっています。

 

 

ダウンロード数や利用状況といったアプリのパフォーマンスの指標は、マネタイズのモデルがどのようなものであれ、多くのものが収益と相関関係があります。

 

Uberは明らかにこのトレンドを意識しています。先日リークされたUberの財政報告によると、彼らは新規ユーザーを獲得し、ユーザー基盤を成長させるために、多額の投資をしているのです。これは極端な例ですが、会社の長期的な収益性というものを考慮すると、ユーザー数の増加がどれだけ優先度の高いものかがわかると思います。

 

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今やオーストラリアとアメリカのアプリ市場は成熟したものだと見なされています。そのため、この2つの市場はアプリの使用時間の増加と収益の増加が顕著に見られるのです。

 

インドのような発展途上の市場ではいまだにアプリのダウンロード数の増加を顕著に見ることができます。

 

アプリはコミュニケーション、エンターテインメント、ショッピング、便利ツールなど、いつでも利用できるものになりつつあります。FacebookWhatsApp MessengerといったコミュニケーションアプリやSNSアプリはユーザーがアプリを使う時間の内訳の中で最大の割合を占めています。

 

3. AppleとGoogleはサブスクリプションモデルを基本とした成長を促進している

ターゲットユーザーとアプリの機能によって企業は様々なマネタイズの手法を採用しています。異なるターゲットユーザーと行動パターンに対応するために、多くの企業は複数のモデルを組み合わせたものを利用しています。

 

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どんどん変革するマネタイズの手法に企業は臨機応変に対応しなければいけないというのも重要なポイントです。アプリの他の側面と同じように、マネタイズの手法も凝り固まったものではないのです。

 

サブスクリプションはアプリ内の課金要素としてますます効果的なものであるとみられるようになりました。現在ではApp Store内のすべての収益の中で15%をサブスクリプションが占めています。

 

サブスクリプションは様々な業界に影響を与えました。例えば、健康アプリ(Apptiv)、音楽、動画ストリーミングサービス(HBO NOWTidal)、そして出会い系アプリ(Tinder)が挙げられます。

 

注意すべき変更:

2016年の6月、AppleとGoogleはサブスクリプションによる収益の成長率が上がり続けることを踏まえた変更を行いました。

 

どちらのアプリストアもサブスクリプションによる収益のうち、開発側が受け取る割合を増やしたのです。また、Appleはゲームを含めたすべてのジャンルのアプリがサブスクリプション型課金を利用できるようにしました。

 

サブスクリプションは新規ユーザーにも高いエンゲージメントを要求することになるので、まずは無料、または値引きした体験版を作成してユーザー数を増やす戦略を考慮するべきでしょう。

 

4. 2020年までアプリ内広告とフリーミアムモデルがマネタイズの基本戦略であり続ける

ゲームではないアプリにおいてはアプリ内広告とフリーミアムのマネタイズモデルが一番利用されてきました。

 

上記調査内で予測されている期間で、アプリの合計収益のうち、この2つのモデルが合わせて90%以上を占めることになると算出されています。

 

これらのモデルは支払いが後からでよいことからより多くのユーザーに利用される上、開発側には定期的な収入が入るのです。

 

 

アプリ内広告

アプリ内広告は邪魔で役に立たないものだという評価が広まってしまいました。賢い広告はターゲットを絞ったもので、ユーザーとの関連性が強く、役に立つものです。

 

ユーザーの購買行動を予測するために機械学習を利用することでさらにエンドユーザーに関わりの深いものを生み出すことができます。

 

2015年から2020年にかけて、アプリ内広告は、アプリストアでの収益の成長率におけるリードを大きく伸ばし、58%から62%になることが予測されています。

 

フリーミアム

フリーミアムモデルはますます有名になってきています。というのもこのモデルでは、ユーザーは「買う前に試す」ことができ、一方、開発側は購入を促す前にユーザーをとらえ、信用とエンゲージメントを築くことができるからです。

 

アプリの開発者はアプリの機能とユーザーの要求を考慮して、いくつかのフリーミアムのテクニックから利用するものを選ぶことができます。

 

フリーミアムモデルには以下のものがあります。

 

  • 利用制限 ― 無料で利用できる機能、容量、もしくは帯域などに制限があるもの(例:Dropbox
  • 無料体験版 ― 全機能が利用できるアプリを無料でダウンロードできるが、無料で利用できる期間が設定してあるもの(例:The Wall Street Journal
  • 機能拡張 ― アプリ内で課金することで追加の機能、コンテンツ、サービスが利用できるもの(例:SkypeEvernote
  • UX ― 無料版は広告版が表示され、課金することで広告を非表示にできるもの(例:Spotify

 

多くのアプリはこれらのモデルを複数組み合わせて利用しています。
より多くの知見を手に入れたい方はApp Annieの調査結果全文をこちらからご覧ください!

 

この記事は、buzinga上の記事 “Latest Data: App Monetisation Trends And Drivers 2015-2020“を著者の了解を得て日本語に抄訳し掲載するものです。Repro published the Japanese translation of this original article on buzinga in English under the permission from the author.

注釈   [ + ]

1, 2. 原文1,890億ドル、1ドル113円で計算
3. 原文700億ドル、1ドル113円で計算