時に戦国武将と、時に世界の偉人と…。ゲームの中だからこそ、普段味わえないようなときめく時間を堪能できる――。 「すべての女性に、恋のはじまりのような心うきたつ毎日を。」をコンセプトに様々なイケメンたちとの恋愛が楽しめる「イケメンシリーズ」は、今や日本国内だけでなく、海外にも展開し、国内外たくさんの女性を胸キュンさせてきました。

9年で14作品もリリースしてきた「イケメンシリーズ」。新タイトルが出る度に注目を集め、その人気は衰えることを知りません。シリーズ化にあたって、どのようなプロモーション施策を実施してきたのか。株式会社サイバードの諸井伸吾さんと朝木奈都子さんにインタビューし、巧みな戦術を教えてもらいました。

イケメンコンテンツは可能性を秘めている

Repro:累計会員数1,700万人を誇る「イケメンシリーズ」は、今や人気ゲームタイトルの1つとしてその名を馳せています。まずはリリースのきっかけについてお伺いさせてください。

朝木:「イケメンシリーズ」は、2009年の『イケメン大奥◆恋の園』を皮切りに現在では10タイトル以上を展開しています。 当時は落としきりのシナリオゲームが流行っていて、中でもイケメンを主題とした恋愛ゲームは女性のお客様から支持を得ていました。イケメンコンテンツは社内の女性社員からも人気が高かったため、「この分野は大きな可能性とポテンシャルを秘めている!」という事業判断を行い、事業化することとなりました。

Repro:落としきりのゲームから始まったとのことですが、現在はFree to Playでプレイができます。移行になったきっかけは?

朝木:シリーズ1作目の『イケメン大奥◆恋の園』は、落としきりタイプのゲームをリリースした当初からお客様の評価が高く、2011年8月、GREEで同じ世界観をベースにしたFree to Play版の配信をスタートしました。

よりリアルな世界観を楽しんでいただきたいという気持ちから、Free to Play版以降は時事ネタを盛り込んでみたり、著名な絵師さんにキャラクターのデザインをお願いするようになりました。一日に無料で読めるシナリオには制限があり、それ以上読みたい場合は、課金いただくモデルを確立しました。

アプリの運営体制

Repro:シリーズとなると、多くの人が関わっていそうなイメージがありますが「イケメンシリーズ」各タイトル何名ぐらいのチームでしょうか。

諸井:通常、20人ほどで運営しています。初期の開発段階では、30人ほどのチームで開発します。1タイトルにつき、プロデューサー1名を中心にプランナー、デザイナー、シナリオライター、エンジニアなどの役割の人がいます。

マーケティングはタイトルを横断して、プロモーション担当、広告営業担当が数名。それとは別にメディアミックスを担当しているチームもありますね。

朝木:毎月、各タイトルのプロデューサー全員が集まって会議をしていますが、成功した施策はもちろん、アプリの市場動向や効果のあった広告クリエイティブを共有し協力しあっています。困っていたり、立ち止まっていたりしたら手助けする。チームは別でも、互いにアプリの成長を促し合えるような組織体制を作っています。

シリーズ展開について

常に新しさを届けるために

Repro:これまでに10タイトル以上がリリースされていますが、タイトルごとの違いや工夫していることはありますか。

諸井:どのシリーズもストーリーを読み進めてゲームが展開していく流れや基本機能は変わりません。お客様の多くがシリーズを横断して利用していただいているので、UIの違いで困惑させないよう根本的な操作性やシステムの作りを変えないようにしています。

そう言うとどれも変わらないように聞こえてしまうかもしれませんが、新タイトルを出すたびに新イベントの企画やガチャの種類を増やすなど、常に新しい体験の提供を心掛けています。そのために、女性の間でいま何が流行っているか、どんなことが興味や関心を引くのか、いろんなヒト・モノ・媒体をウォッチして情報感度を高めていますね。

Repro:シリーズとして唯一無二の価値を定義しながら、常に新しい要素も追加していく。そうすることで固定ファンも飽きることなく、長く愛されるタイトルになっているんですね。 シリーズの中で一番反響が良かった施策を教えてください。

朝木:効果が大きかったのは『イケメン革命◆アリスと恋の魔法』の時に実施した、マイページの変更でしょうか。変更前はマイページにアバターと呼ばれるキャラクターを表示していましたが、今作からイケメンたちが描かれた「彼カード」と呼ばれるイラストを設定できるようにしました。これはリアルで美しいイラストともに、イケメンな彼との会話も楽しめるというもので、お客様の気持ちを盛り立ててくれる、ゲームには必須の機能となりました。           

彼カード。『イケメン革命◆アリスと恋の魔法』『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』

カードごとに会話の内容が異なったり、特別なイラストを見ることができるので、キャラクターとの接点が増え、ゲームへの没入感がより深まります。集めれば集めるほど楽しめるカードはガチャや特典として入手できるのですが、今回の変更により、課金率が一気にアップしました。 「イケメンシリーズ」を利用している多くのお客様は単にゲームを楽しむだけでなく、キャラクターを気に入ってくださることで、プレイを継続なさっているお客様もいらっしゃいます。つまり、お客様が本質的に求めているのは、アバター機能よりも、キャラクターそのもの=イラストやキャラクターとの会話ではないかと考えたのです。私たちの狙いとお客様のニーズが見事に一致した例になります。

諸井:シリーズ11作目の『イケメン戦国◆時をかける恋』から、キャラクターにボイスが付くようになりました。キャラクターをもっと身近に感じてもらえるということで、そちらも反響が大きかったですね。著名な声優さんを起用したことで、声優ファンの方にも利用いただけるようになりました。カードもボイスも、成功した取り組みは旧作タイトルにも採用しています。

Repro:なるほど。効果があった施策を旧作タイトルにも展開することで、新旧ユーザーのどちらも楽しめることができますよね。

シリーズの特性を活かしたクロスプロモーション

Repro:タイトルにもよるかもしれませんが、新規ユーザー獲得のためにどのようなプロモーションを行っていますか。

諸井:広告はさまざまなチャネルで検証を行っています。ですが、「イケメンシリーズ」は複数タイトルを利用しているお客様が多いので、シリーズの他タイトルに回遊してもらう施策の方がインパクトは大きかったりしますね。

Repro:相互送客のため行っていること、どういったタイミングで送客しているかなど具体的な施策について教えてください。

諸井:定常的に行っているのはアプリ内のバナー。新作タイトルの場合、旧作タイトルに飛ぶバナーを設置するとか。

朝木:本日分のシナリオを読み終えたタイミングで他タイトルへバナーで誘導し、回遊を促しています。分析の結果、各タイトルにはそれぞれ相性の良いタイトルが複数あるとわかったので、表示する割合やタイミングを考えてバナーを出すようにしていますね。

諸井:その他、シリーズを横断した「合同イベント」も定期的に開催しています。2016年には複数タイトルをプレイすると特典がもらえるアプリ内イベントと同時に「イケメン夏祭り」というリアルイベントを開催しました。

@CYBIRD イケメンSUMMER FESTIVAL2017

「イケメンシリーズ」はシリーズ5周年を迎え今年で3回目となる「イケメンシリーズ総選挙2018」を開催。アプリ内では複数のタイトルをプレイすればするほど投票券がもらえるイベントを行い、当日は多くのお客様が見守る中、『イケメン戦国◆時をかける恋』の織田信長が1位を獲得しました。 さらに、アプリではシリーズ横断のイベントも開催し、イベント終了後にリアルイベントで感謝の気持ちを届ける。両者を連動させることで、さらにお客様のボルテージを引き上げることができます。

朝木:新タイトルのリリース時には新旧それぞれのタイトルに特典を用意し、それぞれのタイトルをプレイしたくなるような仕掛けを作っています。 新作のリリース直後は各所で取り上げられやすく、たくさんダウンロードいただく機会があります。そのタイミングで、新規ダウンロードいただいたお客様が、他タイトルとの接点を持ちやすくしたり、逆に既存タイトルを遊ぶお客様に、新作への興味を促したりというように、全タイトルで良い循環が生まれるように心掛けています。

メディアミックスについて

よりユーザーに楽しんでもらうために

Repro:クロスプロモーションの他に、コミックや小説、アニメなど幅広く展開されていますが、特に上手くいったものはありますか。

©CYBIRD/イケメン戦国THE STAGE

諸井:舞台は非常に好評で、2018年4月上旬に開催した「イケメン戦国 THE STAGE 〜織田信長編〜」の舞台は5,000人近いお客様に来場いただきました。 来場者には『イケメン戦国◆時をかける恋』が好きな人と俳優が好きな人、主に2つの傾向がありました。舞台化することで、既存のファンの皆様には「イケメンシリーズ」をリアルな空気と質感で楽しんでもらえたんじゃないかって思っています。一方、舞台をきっかけにアプリをプレイしてくださる方もいますので、「イケメンシリーズ」をより多くの方に知ってもらえるきっかけとして、成功した事例と言えるかもしれません。

Repro:今までとは異なるチャネルからユーザーを獲得するというのは、今までのアプリにない面白い取り組みですね。舞台に関してはプロモーションという意味合いで目標の設定はしていますか。

諸井:プロモーションという意味で目標設定はしていません。あくまでも「イケメンシリーズ」というIPを強化して、色々な局面でファンの皆様に楽しんでもらうことを意識しています。 今までシリーズを支えていただいてきたファンの皆様に恩返しする気持ちを忘れてはいけないと思っていますので、収益化も大事にしつつバランスを見ながらビジネスを展開しています。

Repro:他にはどんなイベントを行ってきたのでしょうか。

朝木期間限定のカフェや戦国時代がテーマの居酒屋とのコラボを実施しました。コラボした居酒屋さんは戦国時代が好きな女性のお客様や若い方も多いので、「イケメンシリーズ」の認知拡大をはかるにはピッタリです。

今後の取り組み

既存とは異なる層にリーチさせる

Repro:ここまではイケメンシリーズを横断してユーザーに楽しんでもらうための工夫からクロスプロモーションやメディアミックスといった取り組みをお聞かせいただきましたが、今後のマーケティング施策で挑戦したいことを教えてください。

諸井:今まで、新規のお客様の獲得は広告をメインとしてきましたが、今後は色々なIPとのタイアップを強化していきたいです。

とはいえ、親和性の低いIPとタイアップしてしまうとギャップの大きさでファンの皆様から批判されたり、流入が見込めなかったりする可能性がありますし、逆に似通ったIPだと特段変化がなく、新規の流入が見込めないことになってしまう。 タイアップ先は慎重に検討し、新たなプロモーションを展開していきたいですね。

新しい取り組みに挑戦し、新しいものを提供し続ける

Repro:シリーズ全体としては、どんなことに挑戦してみたいですか。

朝木:「イケメンシリーズ」はストーリーありきの恋愛ゲームですが、今後はゲーム性や演出を強化してインタラクティブかつお客様と密にコミュニケーションを取れるようにしていきたいです。

諸井:今後は新作タイトルと連動したイベントや企画で、より幅広い層の方々にアピールしたいと思っています。

朝木:最新作『イケメンライブ 恋の歌を君に』は、初めてリアルな歌を取り入れた作品です。今までよりもさらに大型のIPとタイアップし、IP先の歌を歌うパターンも実現できるかもしれません。常にお客様がワクワクしたりトキメクことができるように、躊躇せず新たな取り組みに挑戦しつづけていきたいですね。

アプリデータ
アプリタイトル:「イケメンシリーズ」
ジャンル:女性向け恋愛ゲーム
OS:Android/iOS
価格:無料(一部課金アイテム有)

識者プロフィール
諸井伸吾(もろい・しんご)
株式会社サイバード
エグゼクティブオフィサー ゲーム事業本部 事業本部長

朝木奈都子(あさき・なつこ)
株式会社サイバード
開発統括部 プロデューサー


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