9月5日に開催されたセプテーニ主催のイベント「アプリを最大限活用するプロモーション戦略セミナー」の内容を書き起こしにてご紹介します。アプリ/ブラウザ双方でサービスを展開する中で、特にアプリを重要視し、アプリならではのプロモーション展開を行うディップ株式会社(アルバイト求人情報サイト「バイトル」提供)、GMOペパボ株式会社(ハンドメイドマーケット「minne」提供)の方々が、アプリに注力する背景や具体的な施策内容についてお話してくださいました。

登壇者紹介

ディップ株式会社 藤野亮(ふじの・りょう)氏

こんにちは。ディップの藤野と申します。まずははじめに簡単な自己紹介と会社の紹介、バイトルのビジネスモデルについて紹介させていただきます。

私は新卒でディップ株式会社に入社し、はじめはメディアプロデュース部というところに配属され、サイトアプリの設計・企画業務を約5年間担当しておりました。その後2013年よりマーケテイング室に移動し、バイトルのwebプロモーションを担当しております。2014年からはアプリのプロモーションも展開し、バイトル全体のデジタルプロモーションの戦略立案・実行に従事しております。

会社・事業紹介

ディップ株式会社の提供するサービス

続きまして、ディップのご紹介です。バイトルはみなさんご存知かと思いますがそれ以外にも「バイトルNEXT」という正社員・契約社員の転職・求人情報サービスや、「ナースではたらこ」「はたらこねっと」といったサービスなど、求人系のwebサービスを展開しているのが主軸の会社です。最近では、「AINOW」というAI系の情報を提供するサイトや、水を使わずに石灰石で紙を作る「LIMEX」の拡販にも注力しており、今まで求人だけだったところから、いろいろな分野に進出をしております。

さまざまなサービスを展開しているものの、ディップの売上の中心はバイトルで、今年に入ってからもさまざまなプロモーションを行っています。CMで見られた方もいらっしゃるかと思いますが、乃木坂46さんを起用したプロモーションであったり、ゆるふわチューイチのLINEスタンプは第6弾まで出ています。また、今注力している分野が「ドリームバイト」と呼ばれる、普通にバイト探しをしていたら見つからないであろう、少し珍しい仕事や芸能人に関連した仕事などを紹介している、コンテンツです。

バイトルの収益モデル

続いて、バイトルのビジネスモデルについてです。クライアントさんとユーザーさまの間にバイトルがあり、クライアントさんからはお金をいただき、バイトルに掲載いただく。ユーザーさまには無料でバイトルを利用していただくというビジネスモデルになっています。私の所属しているマーケティングの部署、特にデジタル領域に関しては、ユーザーさまの応募を多く集める、かつ低コストで集めるというところ、つまり応募数の最大化とCPAの最適化というところがメインミッションとなっています。

バイトルがアプリ広告に注力する理由

ここからが本題となりますが、「バイトルがアプリ広告に注力する理由」と題してお話をします。ただ、この答えについてはすぐに出てくることになると思います。ただ、この答えに至るまでにいろいろな調査や施策を繰り返してきたので、その経緯について中心にお話をできればと考えています。

先ほどもお伝えしましたが、現在、乃木坂46さんを起用したCMをやっていて、メインメッセージとして打ち出しているのがアプリです。今までは、"バイト探しならバイトル"としていたところを2017年のCMでのキャッチからは"バイトアプリならバイトル"というアプリを訴求しているCMとなっています。直近流しているCMに関してもアプリでスペシャル動画公開中であったり、ドリームバイトでもアプリの応募で採用確率10倍という打ち出し方など、アプリのダウンロードを促すコンテンツが主軸となっています。

バイトルのアプリ広告の歴史

アプリ広告の歴史を簡単に紹介します。バイトルでアプリ広告を実施しはじめたのが2014年の3月からです。この頃は、MobileAppTrackingというSDKを使っておりました。この頃、Nend、i-mobile、AMoAdといったアドネットワーク系とノンインセン系。2015年からは、リエンゲージメント広告を始めています。ただ、IDFA(追跡型広告を利用するために、Appleが発行している広告用のID)とかではなくcookieベースで出来る範囲でやっていました。

2016年からはadjustにSDKを変えて、広告を展開してきました。当時、MobileAppTrackingでは、SNS広告が実施できなかったので、SNS広告をやりたいということでAdjustを導入する形をとりました。そこからは、Twitter、Facebook、Googleであったり、2016年10月からはCriteoや、Googleのダイナミック(これはβ版だったかもしれないですが)も展開しています。この頃にTwitterのリエンゲージメント広告も開始し、現在もアプリの広告は複数実施しています。

2017年1月からはアプリの大幅投資と方針転換ということで、先程のCMのメインメッセージにもありましたが、会社としてアプリにシフトしていくのだというメッセージを持って、広告を実施しています。

ここ3年間アプリ広告をやってきて弊社が導き出した応えは、”単月で見てもCPAが合うから実施できる”というところに結論として至っています。

冒頭でも申し上げましたが、ここに来るまで多くの分析や調査、施策のトライ・アンド・エラーをしてきましたので、その内容についてお話させていただきます。CPAに関しては、今回のお話では1,000円を基準としてお話いたします。

アプリプロモーションの3つの謎

アプリプロモーションにあたって3つの謎と書きましたが、まず、ユーザーは本当にアプリを使っていくれているのだろうか。2つ目は、アプリはLTVが高いと言われるが、バイトアプリでもそうなのか。3つ目は、単月でのCPAは見合うのか、弊社ではCPA至上主義なので、CPAが合わないと難しいというところもありますが。という3つの謎について分析をしていきました。

ユーザーは本当にアプリを使ってくれているのか

まず1つ目、ユーザーは本当にアプリを使ってくれるのかという点に関してです。こちらに関しては、弊社でユーザーアンケートをとりました。

結果としては、バイトアプリを使用したことがあると回答してくれた方は想定よりも多い結果となりました。

次にバイトルのアプリ応募のシェアについてですが、広告投下を強めているということもあり、右肩上がりで応募シェアは伸びています。ユーザーは本当にアプリを使ってくれているのかという質問に対して、上昇傾向であるということは言えるのかなと。このままアプリにシフトしていくことについて、今は問題ないと考えております。ただ、バイト探しのユーザーが100%アプリを使うということは起こらないとは思うので、そこの臨界点というかシュリンクするまでの傾向を見極めて、投資を行うことが重要だと思いっています。ただ、今のところは限界に行っていないので、これからも投下を続けていきたいと思っています。

アプリはLTVが高いと言われるが、バイトアプリでもそうなのか

続いて、LTVです。アプリを使用するユーザーのLTVは本当に高いのかというところです。アプリプロモーションを始めるときは、LTVが高いからやろうというところで始めたのですが、実際に配信をしてみてわかったこととしてお話をします。応募ユーザーについて、流入してから応募するまでの期間を調査しました。

短期間で計測をするとアプリとwebでのLTVは大きな違いはございませんでした。

もう少し長い期間でみてみると、アプリ応募とweb応募の継続利用率。当月応募してくれたユーザーがその後、2ヶ月、3ヶ月後に応募してくれているのかということを調査しました。長い期間でみるとwebとアプリの継続利用率は少し差が出ていました。アプリをダウンロードしてくれたユーザーの方が、2ヶ月目以降1,5~2回ほど多く応募してくれている傾向にあります。ただ、これがLTVが高いからアプリに寄せようという結論には至りづらいと思っています。

アプリを利用するユーザーLTVが本当に高いのか、ということに関しては、バイトルではLTVが高いとはいえないという結論に至りました。ただ、webと比較して少し残存率は高いので、それを加味したCPAの設定は可能だと思っています。

単月でのCPAは見合うのか

アプリで単月のCPAが合うのかという話に進みます。最初に結果をお伝えすると、アプリの広告を始めたときと比べて、予算は数倍にあがっていますが、CPAは予算投下前よりも下がっており安価でユーザーを獲得できる状況となっています。単月でみても、非常に効率的な獲得ができているというのがバイトルのアプリ広告の運用です。

低CPAで多くのユーザーを獲得するために行っている注視していることについて2つお話をします。まず1つはインストール広告の最適化です。インストールのCPIは基準として1,000円というのは設けていますが、実際に応募してくれるかどうかというところがポイントとなりますので、応募してくれる可能性が高いユーザーのインストールを増やすことが目的となっています。広告でインストールしたユーザーでも、応募されやすい広告とそうでない広告があり、それを見分ける指標を設けて、早期に手を打てるようにしております。

合わせてリエンゲージメント広告の導入です。インストール広告で獲得したユーザーは、なかなか能動的には応募につながりづらいので、リエンゲージメント広告を用いて、ユーザーの背中を押してあげることで、アプリ全体の最適化が回りやすいのではと考えております。単独でやっても意味がないので、この2つの施策をリニアに実施することがポイントになると思っております。

インストール広告の最適化

まず、インストール広告の最適化についてです。どのインストール広告が応募されやすいのかを可視化し、予算投下の優先順位を決めていきます。そのために使っているのが、広告ごとのコホート分析です。Adjustを使っている方はお分かりかとおもいますが、コホートで分析できます。弊社ではさらにDMPも設けて、さらに深い分析ができる体制を整えています。

インストール広告の最適化についてお話する前に、メインで見ている2つの指標について紹介します。1つは、当月、当日の応募率とCPA。web広告をやっていても、アプリ広告をやっていても流れ込み応募や後追い応募というものが、結構みなさん問題であったり悩みだったりするのではないかと思っています。この広告自体の純粋の価値・力はどれぐらいあるのかというのは、当月にインストールして当月に応募してくれている数というのが、弊社の1つの指標となっておりますので、こちらを見ています。

もう1つが、各階層への遷移率です。インストールや応募以外のイベントをきちんと取得して、その階層にいくらのコストでいっているのかということを見ています。

これによってインストール後から再起動までの期間で、もっとも最適なのはどれなのかということはわかりますが、実際に応募してくれているかどうかはわからないので、それをきちんと分かるために次のコホートとして、ダウンロードと応募、応募率を当月単位でみています。

バイトであれば、結構応募してもらえますが、他の商材では1ヶ月でそんなにたくさん応募がこないという場合もあると思いますが、先程のイベント設定においてがダウンロードと応募以外のところできちんととって、そのCPAをみることが重要になると考えています。弊社では、仕事検索・詳細閲覧・応募フォームといったイベントをとって、そのユーザーの動きを見ています。

応募以外のイベントを取得して、応募にいたりやすいであろう広告を事前に把握することができるので、こちらもきちんとイベントを設定して、進めていくことが重要だと考えています。

リエンゲージメント広告の導入

続いて、リエンゲージメント広告の導入に関してです。私がリエンゲージメント広告をやるにあたって、自分が抱いていたイメージですが、本当に効果があるのだろうかと。自然流入で獲得したユーザーを刈り取っているだけでは、やらなくても普通に応募してくれるのではと考えていました。その回答としては、半分くらいはオーガニックユーザーを刈り取ってしまっていると思います。リエンゲージメント広告をやらなくてもユーザーを獲得できた、これも1/3ぐらいはその通りだと思っています。

ただ、弊社では、リエンゲージメント広告に今、かなり投下しています。その理由としては、オーガニックでインストールしたユーザーでも、リエンゲージメント広告がなければ応募しなかった可能性があります。ユーザーの応募を獲得するにあたって、許容CPAで収まっているかが実施のポイントになると思っています。リエンゲージメント広告を当てることで、応募率が高まる、こちらは弊社の実績としてCVRの上昇としては、6倍程度上がった実績があります。あわせて、広告を当てて応募に至ったユーザーがいる、これは応募機会の上昇になるので、約3倍程度応募数が上がっています。おそらく、リエンゲージメント広告をやらなければ、オーガニックはとられないかもしれませんが、応募の機会も上がらず、応募数の上昇は見込めなかったのかなと思っています。

こちらは、数字は本来のものと異なる形で話しますが、スライドの1つ目のフローは、インストール広告で、CPI 1,000円で300件ダウンロードをとっていて、自然に応募されるのをまっていると、CPAとしては3,500円で86件とれました場合。スライドの2つ目のフローは、リエンゲージメント広告を併用した場合、インストール広告で30万円使ったとして、CPI1,000円ダウンロード300件、CPAとしては5,000円で、応募数は60件、これはリエンゲージメント広告に多少なりともとられてしまうので数字を減らしています。リエンゲージメント広告を10万円やったとして、CPA600円、応募件数166件とれて、全体としてはリエンゲージメント広告をやったほうがコストは上がりますが、CPAとしては安価で、件数もたくさんとれるという結果になります。これはかなり数字をまるめているのですが、弊社の実績ではあります。

例えばCriteoでいうと、CPAでは1,000円を目標にしている中で、500円、600円でとれていた、さらにボリュームたくさんとれていたという実績もあります。こういった実績もあるということを参考にしてもらえればと思います。

Criteo in-appの利用でCTRが4倍、CPCが半分になった事例

最後に2つ実績です。Criteoのin-app、こちらは他のリエンゲージメント広告と比べて、CTRは約4倍、CVRも平均並みで、効率良く誘導できた実績です。他のリエンゲージメント広告と比較して、CPCも約半分、CPCが低く、誘導率も高い、さらにCVRも平均並みと。その結果多くのCVを獲得できた実績となっています。

TwitterのリエンゲージメントでTwitter全体のCPAを86%まで改善した事例

次は、Twitterのリエンゲージメント広告です。開始する前と比較すると、Twitter全体で、CPAが86%まで改善。予算は150%ほど上昇していますので、多くのユーザーを安く獲得できた事例です。Twitterに関しては、クリエイティブが非常に重要だと考えています。クリエイティブの差し替えは、大小合わせて週5~6本ほど実施して、SNS広告ではクリエイティブのメンテナンスが重要なので、実施いただければより効果がでるのではと考えています。

さいごに、アプリでの単独CPAは合うのだろうかということに関して、応募意欲が高いユーザーをインストールに促して、リエンゲージメント広告で応募を促進することで、応募率・応募機会の上昇につながり、CPAは合うと考えています。

まとめ

本日のまとめです。アプリの方がLTVが高いと一般に言われていますが、本当にすべて高いのかというのは検証する必要があると思います。LTVが高いという妄想というか、実際に調べずにやってしまうと失敗につながる可能性もあります。インストールが目的でない場合は、最終KPIを最大化するための中間指標を設けて、広告運用をするのが良いと思います。

リエンゲージメント広告を活用することで、応募機会とCVRの上昇が可能になり、低CPAでの応募数の増加が可能でした。こちらは弊社の実績ですが、多くのクライアントさまで当てはまるのではと考えておりますので、ぜひ参考にしてください。