9月5日に開催されたセプテーニ主催のイベント「アプリを最大限活用するプロモーション戦略セミナー」の内容を書き起こしにてご紹介します。チャレンジする企業が増え、その市場も伸びてきている「リエンゲージメント広告」。効率的に活用し、効果を上げていくために必要な準備・運用のTipsをご紹介してくださいました。

登壇者紹介

Septeni Japan株式会社 野村知己(のむら・ともき)氏

私の方からは「リエンゲージメント広告を最大化する戦略と運用」というテーマでお話をします。私はSepteni Japan株式会社でアプリソリューション部の責任者をしています。簡単にいえば、アプリをインストールしたユーザーにそのアプリをしっかりと使ってもらうことをミッションとして、さまざまなお客様にサービス提供を行っています。

このアプリ領域に特化した組織で3年ほど、最近では広告周りを中心に取り組んでいます。また、今日のようなイベントへの登壇や、広告媒体側からリエンゲージメント関連の商品を作る上でのご相談をいただき、それをサポートするといった取り組みが増えています。

会社・事業紹介

セプテーニは運用型の広告に強みを持った、デジタルエージェンシーです。近年では、従業員がグループ全体で1,000人を超える規模まで拡大しており、国内外に多くの拠点を持っています。

当社ではアプリの領域にかなり注力しており、インストールのみでなくそれ以降のアプリユーザーの活性化についてもしっかりと見ていこうということで、早いタイミングからアプリ領域専任のチームがあります。クリエイティブまわりに関しては、動画広告が伸びてきているので、そこにも注力していて、アプリ領域・動画領域ともに任せていただく機会や範囲が増えています。

リエンゲージメント広告とはなにか

リエンゲージメント広告やリテンション広告とは、アプリをインストールさせるための広告ではなく、すでにアプリを持っているユーザーに対して、アプリを継続的に利用してもらい、そのあとのコンバージョンやゲームでの課金などをしてもらうために配信する広告のことです。

今日はその戦略と運用というテーマでお話します。大きく分けると2点あり、1つ目はリテンション広告にチャレンジするうえでここを知っておこうというポイントとそのために必要な環境の設定について、2つ目はリエンゲージメント広告のコツについて、簡単にお話したいと思います。

リエンゲージメント広告のための基礎となる環境設定

まず、1点目、リエンゲージメント広告を実施するうえで、基礎となる環境の設定についてお話します。

実はこれについては、Reproさんと一緒に実施したセミナーでかなり細かくお話させていただき、記事にもなっているため、詳しくはこちらをご確認ください。環境設定を行う際は、SDKの導入の仕方やリエンゲージメントに関する数字の紐付き方、計測定義が特殊なところがあるので、そのあたりをしっかり知っておきましょうという内容です。

リエンゲージメント広告に必要な機能

具体的には、リエンゲージメントをやるうえで必要な機能がアプリに適切に実装されていないと、そもそもやりたくてもできないということが起きたり、再実装のために要件定義書を書き直して再度開発のメンバーに共有し、当然ながらストアの再申請が必要になったりということが起きてしまうことがあるので、注意いただく必要があります。

以前、弊社のお客様に、「リエンゲージメントをやるのであれば、こういった機能を実装する計画はありますか」「しっかり機能実装についてチェックされていますか」というお話をした際に、ご存知なかったということで、すごく参考になった、とおっしゃっていただきました。開発のチームと連携するときに、1回実装すると次の開発が上げづらいという事情もあるので、事前に把握しておくというのは大きなポイントだと考えています。

誰がきちんと必要な機能を把握しておくべきか

アプリプロモーションにおける関係者を大きく2つに分けたときに、プロモーション担当と開発担当の方がいると思うのですが、プロモーション担当の方は、どんな機能がSDKの中にあるのかということがわからず、(とりあえず)計測SDKを導入しましょう、という形で開発担当の方に依頼するという場合があるかと思います。

一方で、開発担当の方や外部の開発会社の方は、SDKの機能はドキュメントを見ればわかるものの、プロモーション担当の方が何をしたいのかがわからないということがあると思います。そうすると、言われたとおり最低限の機能は実装したけれど、本来やりたかったことを実行するための機能は足りていない、ということが起きるケースがあります。ここは代理店など、サポートができる人を中心として、業界全体でのスキルアップが重要だと考えています。

リエンゲージメント広告のコツ

ここからは、リエンゲージメント広告を行う上でのコツをお話したいと思っています。今回、お話するのは「初回○○」を評価しましょうという内容です。

これはROASだったり、CPAを追うのはもちろん必要ですし重要なことですが、それだけを評価基準にしてしまわなくても良いのではないか、というお話です。

ROASやCPAだけをKPIにしてしまうワナ

例えば、アプリをインストールした後に、リエンゲージメント広告Aに接触して初めてコンバージョン、その後リエンゲージメント広告Bに接触してコンバージョンし、継続的にコンバージョンするようになったという場合に、ツールの数値の計測され方を考えてみましょう。広告Aが初回のコンバージョンとして計測される一方で、その後のコンバージョンに関してはすでに広告Bに接触しているため、最終接触である広告Bに紐づいて計測されることになり、広告Aはその後のコンバージョンを生み出しているとみなされない、ということになります。

この場合、例えば、広告AはCPA5,000円、広告BはCPA1,000円というように、計測数値上は広告Bの方が費用対効果が高い、ということになります。結果として広告Aを抑え、広告Bに予算を投下しようという判断をすることが多いと思いますが、これだと縮小最適に陥りがちです。そうではなく、初回コンバージョンを生み出している広告Aも評価すべきではないかというのが、ここでお話したい内容です。

アプリは初回CVを生み出すことが重要

なぜなら、アプリの場合は、コンバージョンに限らず、お気に入りや商品閲覧、会員登録、ゲームアプリであればギルドのようなコミュニティへの参加など、1度サービス内で何かしらの経験まで到達すると、その後継続的にサービスに接触してくれるようになるといったポイントが存在していることが多く、非ゲームアプリの場合は、購入や申込みなど、初めてコンバージョンするとその後広告に接触しなくても継続的にコンバージョンしてくれる、つまり初回のコンバージョンが重要であるというケースが多く見られるためです。なので、その後のコンバージョンを単純に広告Bのみに紐づけて評価しまうのではなく、広告Aに対しても適切に評価する必要があります。

「初回○○」を計測して正しくリエンゲージメント広告を評価する方法

「初回○○」を計測SDK「adjust」で評価する方法

例えばSDKがadjustだとした場合、チュートリアル突破やコンバージョンといったアプリ内のイベントを設定する画面で、ユニークというボタンがあります。

ここにチェックを入れると1端末IDに対して1回のみ計測されるイベントが設定できます。これを利用すると、1ユーザーに対してそれぞれのイベントは最初の1回しかカウントされないので、「初回の○○」が計測できるようになります。こういった設定は、可能な限り早いタイミングで、色々なイベントで設定頂くことを推奨しています。

DMPや計測SDKのログデータの活用

一方で、計測SDKの管理画面のみだと、分析できるデータに限界があります。膨大なデータなので、環境をきちんと整えないと頻繁にできるものではないですが、ログデータをチェックすることをおすすめしています。

ログデータの活用事例を1つご紹介します。例えば、8月にインストールしたユーザーのログ、つまりいつ誰がインストールしたのかというリストと、以降の8月・9月のリエンゲージメント広告の接触ログを出します。同じように、8月・9月に誰がいつコンバージョンしたのかというログを出すと、インストールしてから、1ヶ月以内に広告に接触したかどうかというのが真ん中のログでわかり、さらに右のログと照らし合わせるとそのユーザーが接触していないユーザーとくらべてどの程度コンバージョンに差があるのかが確認できます。

例えば、インストールから30日以内のユーザーが、リテンション広告に何回接触したかによって、1インストールに対してのコンバージョン発生にどの程度差が生じるのかを見ることができます。先ほどお話したように、かなりのデータ量になるので、特定のサンプルに絞ってデータを抽出する、継続的に分析する場合はBIツールを利用するといった方法をとる方が現実的かと思います。

まとめ

リエンゲージメント広告はセグメントによって結果が異なるケースが多いので、インストール広告の延長で捉えるというよりも、別の広告として捉えることがおすすめです。運用上のKPIとしては同一で評価しても問題ないですが、運用のコツは、けっこう両者で異なります。もちろんケースバイケースですが。また、お話した通りアプリは積み上げデータが多いという特徴があるので、それを正しく評価できる環境を整備することがポイントになると思います。その1つの考え方として「初回の○○」を評価するということがあると思います。

アプリならではの特性や、リエンゲージメントならではの特性といったものがある中で、知識でカバーできるものと、結果を積み上げたことで得たノウハウでできるものがあります。これらの特性をしっかりと理解すること、積極的にリエンゲージメント広告にチャレンジしていくことは、弊社でもサポートしていきたいですし、しっかりとみなさんも行っていただければと思います。