はじめに

私たちの生活必需品となりつつあるスマホ。スマホの普及拡大とともに、アプリのダウンロード数や利用時間も右肩上がりに伸びています。

アプリ市場データを提供するApp Annieが2017年5月に発表したデータによると、日本人の一人あたりのアプリ所持数は100以上で世界では一位、1日あたりの利用数は10以上。この数字を聞くと、スマホの利用時間がほとんどアプリの利用時間だと言っても過言ではないかもしれません。

アプリはWebサービスよりもユーザーとの接点が近いため、マーケティングの観点でも非常に有益な情報が取得できます。そのため、業種を問わずアプリを開発・リリースし運用をしている企業は多くいますが、そこでまず、立ちはだかるのが「ユーザーを定着させたり活性化させたりするアプリ内マーケティングを実施ができているか」という壁。

インストール後はアクティブ率をいかに上げるかがポイントとなるため、ユーザーの行動を分析しながら状況に応じてこまめな改善や施策が必要になってきますが、アプリを運用する企業の中にはまだアプリ内マーケティング専任の担当者がおらず他業務と兼任している、という話も少なくはありません。アプリはうまく活用すれば大きな効果を得ることができますが、効果検証から改善対応まで業務の幅は広く深く、なかなか手間がかかるもの…。

今回ご紹介するシンクトワイス株式会社の武田さんは、リリース当初からほぼ一人で就活ツールアプリ『速効内定』の運用を担当されてきました。試行錯誤しながら、通常は就職活動の状況によって下降する就活アプリのアクティブ率向上に成功した、その理由に迫ります。

シンクトワイス株式会社 マーケティングチーム 武田 紗永子(たけだ さえこ)さま

現役の就活生を支える就活支援アプリ

シンクトワイス株式会社は、新卒に特化した人材紹介事業を中心にサービスをいくつか展開する中で就活ツールの一つとして、新卒者向けに『速効内定』というアプリを運用しています。就活ノウハウやビジネスマナー、エントリーシートの事例集など、就活に役立つコンテンツを盛り込み、1000問以上のSPI学習問題を収録しているので事前に対策ができること、さらには定期的に開催される本番さながらのSPIテストによって自分の実力を確認できるところがこのアプリの一番の特徴です。

『速効内定』自体はもともと株式会社ウェブクルーから2015年3月にリリースしたアプリ。同社で運営していた落としきりのSPI問題集が学生たちに人気だったため、普段づかいしているスマホで移動時間などにも気軽に利用してもらえるよう、学生向けのアプリとして転換したものでした。

経団連が「採用選考に関する指針」で選考の開始を6月に早めたこともあり、就活生は複雑化したスケジュールで就活しなくてはならないため、ナビサイトだけではなくより多くの手段を利用して情報を収集しています。現存のナビサイトや情報交換ツール、SPIテストなど、就活に必要なものを全てつめこみ、より最適化したツールが必要になるのでは…と考えて形にしました。

シンクトワイスは「エンジニア就活」などのウェブサービスの事業買収や自社でウェブサービスを作っていましたが、さらにITの力を使って企業と学生をスムーズにマッチングさせる世界を実現すべく、ウェブクルーと2016年1月に業務提携を行い、その後2017年1月に事業譲受しました。

2014年から2017年8月までで、アプリ総DL数は13万5千DLに達しています。例年、就活中の大学生・大学院生の数はおよそ40万~50万人と言われておりますが、そのうち一割程度の方に利用いただいております。月間のアクティブユーザー数はナビサイトが解禁される3月がピークで2万ほど、そこから選考開始する6月に向けて緩やかに減少していきます。

アプリから価値と可能性を創出する

はじめはアドネットワークの広告課金モデルで運営していたのですが、学生たちは学習がメインで利用しているのでなかなかクリックされず、ユーザー課金もあったのですが、学生さんが利用するものであるため課金までのハードルが高く、このビジネスモデルは崩壊していました。

そこで改めて『速効内定』本来の目的は何かを考え、就活中の学生たちが大手新卒ナビサイトでは探せないような優良企業を発見して応募につながるように、このサービスを通して企業と学生の出会いの場を作ろう——と。

ウェブクルーは『速効内定』のデータを活かしたスカウト型採用ツールの提供もしていたのですが、もともと人材系のノウハウがあるわけではなかったため一旦その事業を停止しました。それもあって、年間12,000人以上の学生との接点をもち、新卒人材紹介の領域において実績とノウハウを兼ね備えたシンクトワイスに事業の譲渡をした…という経緯があります。

そこで、学生にはシンクトワイスの事業の柱とする企業説明会へ積極的に参加してもらい、出会いを広げてもらう。本来の事業の強みを生かすためにも、企業側に対し説明会への送客を課金モデルとする方向へシフトしました。

学生さんたちは自分たちが名前を知っている企業だから行こうかな、という“なんとなく就活”が多かったりします。このままではたくさんのチャンスが目の前にあっても気づかないまま通りすぎてしまう。大手以外の中小企業やベンチャー企業にもたくさん優良企業があります。そこで私たちが架け橋になって、「説明会に行ってみようよ!」と学生さんたちに促し、彼らの視野と可能性を広げたい。そこでマネタイズモデルと目的が一致したわけです。

Repro導入のキメテは動画が録画できるトコロ!

アプリに関しては新規事業扱いであったため、リリース後の運用は私一人が主導で行い、あとはサポートとしてちょこちょこ手伝ってもらっている人がいるだけでしたので、実質は1.5人ぐらいで運営をしていました。担当領域がアプリのサービス企画から開発ディレクション、記事コンテンツの外注コントロールに加え、定期SPIテストが本体のデータベースとの連携が取れていないので手動で設定を行ったりと、とにかく日々の運用だけで手一杯。

一つのKPIとして「説明会参加」があったので、アプリと言ったらプッシュ通知だと思い、「新着の記事はこちら!」など、全てのユーザーに同じ内容のプッシュ通知を送っていました。

Googleアナリティクスで効果検証はしていたものの、プッシュ通知も自前でしたし、本当に効果があるのかどうかははっきりとわかっていませんでした。もっとしっかりアプリの効果を検証・分析して、プッシュ通知の施策を考えたり、送客の強化をはかりたい。

そういった思いから、プッシュ通知のツールで何か効果的なものはないかと手探りで探していたところ、知人にご紹介いただいた複数社のツールと比較検討をしましたが、ユーザーがアプリをどのように利用しているのか、その行動を動画に録画できることが決め手となりReproの導入を決定しました。

Reproにはアプリ改善のための分析機能が豊富にあるし、学生の迷いや使い方の遷移などが動画ではっきりと見えるため、仮説だけで考えていたものに対して問題の発見や気づきを得ることができました。

アプリ内マーケティングを行うためのツールを導入したはいいものの、たくさん機能があるけどどうすれば分からず、とにかく最短の目的を果たそうと説明会に送客するために●年卒というセグメントで「企業の説明会に行ってみては?」や説明会へ誘導するためのプッシュ通知をとにかく送りまくっていましたが、そもそもの運用メンバーが少ないために改善にまではなかなか手が回らず…。

Reproのカスタマーサポート担当者にこの悩みを相談したところ、KPIの設計から施策の立案・実行までを支援いただけるアプリ内マーケティング支援サービスをすすめられ、今の状況を打破したいとの思いで即決しました。

アプリ内マーケティング支援サービスを初めてからはリッチプッシュで加速!

説明会申込実行をゴールとした、KPIツリー

アプリ内マーケティング支援サービスを依頼後は、まずビジネスモデルを元にReproの担当者にKPIツリーを作成してもらい、説明会申込というゴールに対してどのように導くのかというシナリオ設計とシナリオにおけるユーザーのフェーズごとの施策を行うことになりました。

ユーザーの行動を分析していくと、アクティブ率が上がった後に説明会の申し込みが増える傾向にあるので、継続的に利用してもらえるようにアプリの初回起動後に「ありがとう」というメッセージを送ったり、新着記事を知らせるメッセージを送るなど、A / Bテストを積極的に実施。さらに、一番開封率が上がるSPI対策のプッシュ通知を休眠復帰対策として促しました。

そうすることでアクティブ率は前年比約130%にアップ!通常、3月から6月に向かってアクティブ率は下がるものなのですが、上がっている状況を目の当たりにしたことで効果を実感できましたね。

5月以降はリッチプッシュ通知を送って更にアクティブ率を維持、スカウト系のプッシュ通知やアプリ内メッセージの施策により、昨年同時期よりも多くの説明会へも申し込みを獲得できました。説明会への訴求は普通のプッシュ通知だと弱いのでどうしようと悩んでいたら、Reproの担当者に通常企業がメールで送るスカウトをリッチプッシュ通知として送ることをすすめられ、すぐに実施。この施策は一番大きな効果が見られた気がします。

一人ではリソースがなくて改善まで手が回せない状態だったところ、アプリ改善への具体的な施策を実施できたことに感謝しています。

月に一度の訪問で共有いただくレポートや、翌月の施策案やディスカッション…。運用を任せて最もよかったと思うのは、担当者が私たちに寄り添い、どんな時も挫折しそうな気持ちをサポートしてくれたこと。また、知識やノウハウがあるので安心してお任せすることができましたし、効果のある施策やプッシュ通知を通してユーザーとのコミュニケーションも近くなった気がします。

プロの視点で的確な運用をしてもらえますし、私自身も教えていただきながらスキルやノウハウを蓄積できることもメリットだと思っています。

「可能性を広げる」ための就活を、学生たちに伝えていきたい

今後はReproを利用して、さらに学生の立場に立ったアプリとして確立させていきたいですね。そのためにはユーザーとどのようにコミュニケーションをとっていくべきか、アプリやサービスを通して考えていかなくてはと思っています。

具体的な施策としては、広告運用やアプリストアでの上位表示の最適化を行いつつ、説明会に参加する学生たちに対してパーソナライズしたプッシュ通知を送りたい。去年利用したユーザーの動向やデータを分析して、今後刈り取っていきたいユーザーの獲得をしていきたいと思っています。

どんな学生にもどんな企業にも、同じように可能性を与えられないかと考えています。また、ネームバリューだけで企業を選ぶのではなく、自分が社会人として将来どうありたいか、そのために就活をするのだ、ということをアプリの中で体現して伝えて行けるよういきたいですね。